海の香りがするね、と外国人も絶賛『膳処天ぷら 片山』
一度の仕込みに7kgのアサリを使い、ゆっくりエキスを抽出して完成させる出汁。牛乳のように白濁していて、見た目だけでも濃厚さが伝わる。この出汁を、一滴も逃さずご飯に絡める調理法を試行錯誤し、あんかけがひらめいた。「日本料理でいう、銀餡です」と、店主・片山博孝さん。砂糖やみりんは一切使わず、ドボドボ注ぐ日本酒の甘みが、アサリを引き立てる。熱々だが、塩味が後味をあっさりさわやかにするので、胃袋に効く。
『膳処天ぷら 片山』店舗詳細
蓋を開けるとふわっ、ショウガの香りが粋『割烹 みや古』
「ショウガがいい仕事をしているのよ」と、老舗割烹3代目の谷口栄子さんが微笑みながら、種明かし。朝一番に、アサリと油揚げを入れて強目に炊き、丸わっぱへ。注文ごとに一気に蒸しあげるのだが、仕上げに入れるショウガが、アサリと昆布出汁をビシッと引き締めるのだ。追い込み座敷の小さな座布団にひょいと座って蒸し上がりを待つ間、アサリのヌタやかき揚げ、アサリずくめの一品を。日本酒(菊正宗1合605円)は必須。
『割烹 みや古』店舗詳細
クラムチャウダーを彷彿させる洋丼『下町食楽酒房 深川いちばん星』
本かつお厚削りで出汁を取り、昆布の粉末を加える。この昆布がとろみを生み、アサリを覆って水分の流出を保護。口に運ぶまでアサリがぷっくりそのまんまというわけだ。味噌は、麦味噌と赤味噌、信州味噌を合わせ、洋食屋らしく、バター香るベシャメルソースを加える。具の栃尾油揚げがスープを吸い、じゅわ~。
『下町食楽酒房 深川いちばん星』店舗詳細
魚が旨い料理屋のサラサラぶっかけ『深川 一穂』
アサリの産地は? と質問すれば、祭男の大将・大山敏博さんの深川めし講義が始まる。「今日は熊本。もうすぐ木更津で揚がるよ。昔、アサリ剝きは漁師の母ちゃんの内職で、漁師のぶっかけ、大工の炊き込みってねぇ」(続く)。かつお節とアサリの出汁を合わせ、信州味噌で仕上げるぶっかけは、肝臓も喜ぶ締めなのだ。
『深川 一穂』店舗詳細
大盛りご飯が埋もれる量のアサリが!『深川釜匠』
釜飯屋として開業したが、深川めし人気で「今は、専門店のようですね」と、女将の池畑里美さん。アサリとシメジ入りの炊き込みは、釜飯屋時代のレシピで作る秘伝の出汁が要だ。仕上げにもその出汁で煮たアサリをトッピングするが、ご飯が見えないほどの量に驚く。深川めしが売り切れたら、早じまいすることも。
『深川釜匠』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=松井一恵(teamまめ) 撮影=高野尚人