味よし、佇まいよし、雰囲気よし『ブウちゃん』[金町]
1本100円の安くておいしいもつ焼き。横長で店内奥まで続く大きなコの字形のカウンターの佇まい。写真やフラメンコの同好会まで作られる、お客さんとの距離の近さとアットホームさ。すべてが完璧な老舗だ。仕込みの工夫で柔らかくしたシロ、血管まで丁寧に取り除いた新鮮なレバーなど、1本1本おいしいが、珍しいのがノド仏部分の希少部位・大ガリ。1日20本ほどしか出せないそうなので「もしあれば……」程度の心づもりで!
『ブウちゃん』店舗詳細
ホルモン×イタリアン、驚きの邂逅『ホルモンリキ』[金町]
食肉卸業者の直営で、新鮮なホルモンが自慢の焼き肉店。イタリアン出身のご主人・石出博さんならではのアレンジメニューがあるのも特徴だ。ハーブシロ473円は、シロをハーブオイルで風味付け。“爽やかな風味で味わうホルモン”も絶品で驚かされる。焼き肉の〆に人気というリキスパゲティ990円は、トマトとテッポウを煮込んだソースに、ホルモンの旨味がたっぷり沁(し)み出している。洋風ホルモン、全然アリ!と思えるはずだ。
『ホルモンリキ』店舗詳細
50年分の旨味が作るタレ『江戸っ子』[亀有]
16時には店前に列ができ、開店後すぐ1階は満席に。そこから1500本のもつ焼きを提供し、8時半には閉店。怒涛の勢いで酒飲みが通過する亀有の関所だ。「継ぎ足し継ぎ足しで使うタレも、特別なものは入れてないよ。焼き続けたモツの旨味が一番の調味料」と店主の山岸公雄さん。岩手から毎月通う常連さんは「この全てが好き」と話す。創業50年以上の店構えも、その空間がにぎわう楽しさも、秘伝のタレと同じくここでしか味わえないものだ。
『江戸っ子』店舗詳細
プリプリ脂ジュースにただ恍惚『ホルモン青木』[亀戸]
民家を改装した店の先には“内臓専門”と書かれたいかつい提灯が。軒先では店員が汗をたらしつつ、ドライヤーで炭を熾(おこ)している。「肉の水分を閉じ込めるような、強い火力で味わってほしいから」。付き合いの長い専門業者から脂のつきと質のいい牛・豚の内臓を仕入れ、さらに厨房でトリミング。鮮度・質ともに最高のホルモンと邂逅(かいこう)できるのだ。喧騒の店内でシマチョウ660円の脂のジュースなどを成敗した客たちは、店を出るとみな恍惚とした表情!
『ホルモン青木』店舗詳細
焼酎で肉汁を洗う禁断の快感『小野田商店』[中目黒]
ホルモン&焼酎愛の深い小野田慎史さんが16年前に開店。芝浦と大宮の内臓専門卸から仕入れる国産牛・豚のホルモンを藻塩だけで味つけし、内臓本来の旨みを引き出す。特に角の立った美しいハツにかぶりついたときの、肉汁シャワーの旨さときたら! スモーク豚バラやゆでタン各540円など酒に合う品書きも多く、100種近く揃う焼酎をついもう一献。「ガツガツ食って飲んでる客を見てると、うれしくなっちゃう」(小野田さん)。
『小野田商店』店舗詳細
特上ハラミが誘う官能の新世界『ホルモン焼き大力』[亀有]
コの字カウンターがドンと鎮座し、大衆酒場感がムンムン。徹底した温度管理で鮮度を保つ豚の肉と内臓が自慢ゆえに、看板メニューは特上ハラミだ。横隔膜の中でもやわらかい芯の部分を使っており、マグロの赤身に少し野趣味を足したような味とねっとり感がやみつきに。さっぱり味のピートロ(豚トロ)やミノを、みりんやニンニクなどで味付けした秘伝ダレでがっつけば、常連曰く「殺人ハイボール」がガンガン進み、本当に昇天しちゃいそう。
『ホルモン焼き大力』店舗詳細
取材・文=鈴木健太、古澤誠一郎 撮影=本野克佳、金井塚太郎