ピピネラ

お酒とスパイス料理の〆カレー!

スリランカプレート(本日のカレー)1650円。カレーと総菜がご飯を囲み、皆で支え合っているプレート。

「何だこれは? 味がどんどん変化する!」と、初めて食べたスリランカのカレーに開眼した店主のタケイ・E・サカエさん。それは、スリランカのミックススパイス「トゥナパハ」を使ったシンプルな料理の数々を、食べる人が皿の上で混ぜて味が無限大に広がる世界だった。何を隠そう、飲食業とは無縁のイラストレーター。約10年前、知人のバーを手伝って以降、カレーを作る喜びに目覚めた。開店する前はヤドカリで、「さすらいのカレーマダム」と呼ばれたほどだ。自店を構えたが、毎年本場でホームステイして家庭料理を習い、食材を背負って帰る。

スリランカ前菜盛り1100円とインドのビール880円。ワインや果実酒も充実。
アイスチャイ660円。スリランカのミルクティー文化を思わせるすっきりタイプ。お酒の後にも。
タケイさん。「この通りと『高円寺』が好き」

『ピピネラ』店舗詳細

住所:東京都杉並区高円寺南4-11-1/営業時間:18:00~22:30LO(土は16:00~20:30LO)/定休日:日・月・火/アクセス:JR中央線高円寺駅から徒歩5分

妄想インドカレー ネグラ

八百屋で出合う旬を、てんこ盛り

本日のカレー1200円(+タンドリーチキン300円)。「穂紫蘇を散らしてどうぞ」。

「インドは未踏だけれど、架空のインドカレーを作ろう」。飲食の仕事をしてきた大澤思朗さんが、友人で絵描きの苦虫ツヨシさんと妄想した時、方程式皆無、自由に自己表現できるカレーに心を奪われた。すぐに、パートナーの近藤麻衣子さんと、「イベントに合う特別カレー作ります」を掲げて無店舗で開業。奇天烈なライブには奇天烈なカレーをと、次々に新カレーを考案する中、旬の野菜のおいしさを存分に引き出す、スパイス最小限の独自のカレーに行き着いた。昼と夜でも内容が変わるゆえメニューはない。まずは口頭で説明される今日の皿を妄想してみよう。

今日の一品は、豆アジとペッパーキャビアの唐揚げ、ラタトゥイユ。共に600円。仏手柑酒ソーダ割600円。
自称・皿洗いの大澤さんとシェフの近藤さん。
痺れるチャイ(アイス)500円。痺れの素はネパールの山椒。茶葉はアッサム、甘みは黒糖とキビ砂糖で。

『妄想インドカレー ネグラ』店舗詳細

住所:東京都杉並区高円寺南3-48-3/営業時間:12:00~22:00(完売で夕方まで「仕込み中」になることも)/定休日:月・火・水(不定休)/アクセス:JR中央線高円寺駅から徒歩5分

高円寺メタルめし

メタラー集う食堂のだじゃれカレー

絶頂ウマ死カレー 980円

ヘヴィメタルのバンド名や曲名を延々つぶやき生み出すメニューは、すべてだじゃれ。炭水化物と肉が多めの洋食揃いだ。「これは、NoGoDの『絶頂マスカレード』から」と、店主で料理勉強家のヤスナリオさんが、ニヤリ。土鍋炊きの白飯に、ひき肉とタマネギ、そこにルーをかけ、生卵を埋め、チーズをのせて焼く。ジョニーのクリームソーダ600円と、熱い辛い、冷たい甘い、熱い辛い…で、さらに絶頂へ。

店主のヤスナリオさん。

『高円寺メタルめし』店舗詳細

住所:東京都杉並区高円寺南3-49-12/営業時間:19:00~22:30/定休日:木(不定休)/アクセス:JR中央線高円寺駅から徒歩5分

七面鳥

創業59年になる町中華の裏名物

カツカレー880円。濃厚な旨味が魅力。

カラリと揚がった豚カツと型抜きの白飯に、いかにも辛そうなルーがしみる。ふやけゆく衣もいとおしく、具の一つに数えたいほどだ。「カレーは自己流。何がウケているのか不思議です」と、店主・矢野根惇(あつし)さんは謙遜する。が、濃厚かつ水を乞う辛さに汗が噴き、紅生姜とスープに救われながらもスプーンが止まらない。カレーライスとカツライスが合体し、定番になったが、未だ壁の品書きに見当たらず。

店主の矢野根惇(あつし)さん。

『七面鳥』店舗詳細

住所:東京都杉並区高円寺南4-4-15/営業時間:11:30~14:30LO・17:00~20:30LO/定休日:土/アクセス:JR中央線高円寺駅から徒歩5分

高円寺 舌笑(ごち)

飲んべえに効く"妙飯"は野菜の具だくさん

特製 野菜たっぷりスープカリー 1150円

「さらりとライトにいけるように」と、店主の野口葉月さんは巷で流行っていたスープカレーを野菜主役で完成させた。圧力鍋で取る鶏手羽元のスープに、スパイスはシンプルに数種類。10品の野菜と厚揚げの具は、器の底までぎっしりだ。仕上げの際、店内にいい香りが漂い、注文は伝染。日本酒はカレーに不思議となじむ栗駒山1合900円を。口に含むと辛味が円くなる。

店主の野口葉月さん。

『高円寺 舌笑(ごち)』店舗詳細

住所:東京都杉並区高円寺北2-7-13 高円寺銀座ビル3F右/営業時間:19:00~翌2:00LO/定休日:日/アクセス:JR中央線高円寺駅から徒歩2分

抱瓶

沖縄酒場の苦辛~い不動のまかない

ゴーヤカレー(まかないメニュー) 880円

開店から40年以上という沖縄居酒屋の、お食事メニューの一番下に発見! 豚肉、タマネギ、ニンジン、那覇牧志公設市場から届くゴーヤをどっさり入れ、煮込みの最後にざく切りのトマトを投入する。「沖縄産ならではの深い苦みがいいんです」と、スタッフの灰タローさん(写真中央)。苦みと辛いルーがチャンプルーする口中は、泡盛で流すべし。歯ごたえが残るゴーヤだけを箸でつまめば、アテにもなる。

おすすめしてくれたのは、スタッフの灰タローさん(写真中央)。

『抱瓶』店舗詳細

住所:東京都杉並区高円寺北3-2-13/営業時間:17:00~翌5:00/定休日:無/アクセス:JR中央線高円寺駅から徒歩4分

構成=株式会社エスティフ 取材・文=松井一恵(teamまめ) 撮影=井原淳一

高円寺は、キャラの濃い中央線沿線のなかでもひときわサイケで芳(こう)ばしい街だ。杉並区の北東に位置し、JR高円寺駅から、北は早稲田通り、南は青梅街道までがメインのエリア。中野と阿佐ケ谷に挟まれた東京屈指のサブカルタウンであり、“中央線カルチャー”の代表格とされることも多い。この街を語るときに欠かせないキーワードといえば、ロック、酒、古着、インド……挙げ始めればきりがない。しかし、色とりどりのカオスな中にも、暑苦しい寛容さというか、年季の入った青臭さのようなものが共通している。