鶏の油を注ぎ、炎の中で焼きあげる

油を注ぐと一気に炎が上がり、煙が立ち上る。熟練の技が必須の調理法だ。

鉄板の上で湯気を立てる熱々の「名物ももやき」。コリコリとした食感の中からは旨味が詰まった肉汁があふれ出す。見た目こそ煤のような黒さがあるが、この表面の風味がまた絶妙なのだ。どうしてこれほどの味が出るのか、調理場を覗かせてもらって、その秘密を探ってみた。

まず、使用する鶏肉は全て宮崎県から仕入れた地鶏。30年にわたって信頼を預けている養鶏場から直送した鶏だ。その鶏のモモ肉を小口切りにし、2種類の塩で下味をつけ、備長炭の炭火で焼きあげる。その途中で、鶏の油を回しかけると一気に炎が立ち上がる。この強い炎の中で燻し焼きにすることで、炭の香りがつき、鶏の油と渾然となって旨味が出るのだ。

さらに肉汁を内側に閉じ込めるので、鶏内部の旨味が逃げない。

骨付きの名物ももやきは1980円。写真は、ひなどりのもも焼き。

「おやどり」「ひなどり」を食べ比べてみて

店長の熊木さんは、20年以上のキャリアを持つベテラン。新橋店で長年勤めた後、船橋店立ち上げを契機に店長になった。

この名物ももやきは「おやどり」と「ひなどり」、「ひなどりバターペッパー」の3種類がある。この「おやどり」と「ひなどり」の味の違いはどこにあるのか。店長の熊木礁太(くまきしょうた)さんに聞いてみた。

「これは本当によく聞かれます! どちらがおいしいかはお好み次第ですが、おやどりの方が飼育期間が長いぶん、肉が締まって歯応えがあります。ひなどりは、それより多少柔らかいということでしょうか」とのこと。ぜひ、食べ比べて味の違いを確認して欲しい。

ももやきは骨付きのフルサイズ以外に、ハーフサイズ(1210円)もある。フルサイズは3人前以上、ハーフサイズでも2人前はいける分量だ。まず、そのまま味わってみてから、にんにく醤油や柚子胡椒をつけてもおいしくいただける。

チキン南蛮990円。ももやきと同じ宮崎産の地鶏を使用。

もうひとつの名物はチキン南蛮。唐揚げにした鶏胸肉を、独自のブレンドで作り上げた甘酢の南蛮ダレに漬け込んだ。日向ならではの一品だ。玉ねぎやキュウリの食感がアクセントになったタルタルソースも味を引き立てる。

和のテイストを取り入れたモダンな内装

2〜4人まで囲めるテーブル席が7卓。

店内は木の風合いを生かしたテーブルや、ゆったりと寛げるソファ席もあるモダンなインテリア。BGMはR&B。和風居酒屋をイメージしていたら、よい意味で裏切られるスタイリッシュな空間だ。テーブルの間隔も広く、ついたてで区切られているので、適度なプライベート感もある。

その中に、お品書きの墨文字が和の雰囲気を醸し出している。ぐっと落ち着いた大人の雰囲気だ。実際に40代以降のお客さんが多いとのこと。

お酒は、佐藤 黒はもちろん、黒霧島や山ねこなど九州産の焼酎をそろえている。常に煙をあげる環境なので換気には非常に気を使っている。駅前の喧騒を感じさせない、ちょっとした隠れ家のような一軒だ。

木の温もりが優しいカウンター席は、現在5席。
都心のカフェのようなソファ席。控え目な照明も心地よい。
住所:千葉県船橋市本町1-11-27時田ビル202/営業時間:17:00~24:00 /定休日:月/アクセス:京成本線京成船橋駅より徒歩1分

取材・文・撮影=新井鏡子