◆散歩コース◆
スタート
都民の森バス停
バス停前には「とちの実売店」。「森林館」まで登り、大滝の道から滝見橋へ行き、三頭大滝を観賞。
↓ 25分
滝見橋
滝の先で石山の路との分岐。右手のブナの路を上がる。三頭沢沿いに歩いて分岐のテラスへ。
↓ 20分
テラス
休憩したら右手のコマドリの路を登って行く。野鳥観察小屋に寄ってから尾根へと上がる。
↓ 35分
尾根分岐
稜線上の快適な道を歩く。ブナの原生林が目立つ。東峰、中央峰から西峰へと進む。
↓ 40分
三頭山(西峰)
山頂からムシカリ峠へ下りて、三頭山避難小屋へは登り返す。まもなく大沢山へ。
↓ 30分
大沢山
深山の路との分岐を左に分けて尾根道を下る。展望はほとんどないが、快適な尾根歩き。
↓ 85分
槇寄山
槇寄山からは展望がある。西原峠から笹尾根を離れて数馬に下る。車道に出たら「数馬の湯」はすぐ。
↓ 80分
ゴール
温泉センターバス停

体力度:★★☆
難易度:★★☆
歩行時間:5時間15分
歩行距離:約11.5 ㎞
アクセス:新宿駅から中央線で立川駅、青梅線・五日市線に乗り換え武蔵五日市駅、約1時間15分。武蔵五日市駅から西東京バス「都民の森」行きで終点、約1時間10分。

都民のオアシス、三頭山

東京都の奥座敷、檜原村の西端に三頭山(みとうさん)があるが、その周辺が都民の森だ。1990年に整備された森で、面積は197ヘクタール。東京ドーム換算で約40個分。森には天然林が40%も残り、樹種はスギやヒノキ、ブナなどがメイン。森の中にはいくつかのハイキングルートがあるのが特徴だ。いろんな楽しみができる、まさに都民のオアシスでもある。ま、ちょっと都心部からは遠いけれど。

武蔵五日市駅から直通のバスか、数馬(かずま)乗り換えのバスで約1時間、終点の都民の森下車。そこはちょうど標高1000m。ここから三頭山山頂までの標高差は500mしかない。楽して1500m級の山へ登ることもできるというおまけ付き。バス停のすぐそばには売店があり、ここで最後の行動食を手に入れる。おすすめはいそべ餅だ。なんだか元気が出るような気分。

まず「森林館」へ向かう。ここから様々なコースが考えられる。「森林館」からそのまま直進し、鞘口(さいぐち)峠に出て尾根を上がって三頭山へ行くコース。または三頭大滝から深山の路を上がって笹尾根から三頭山。今回は三頭大滝に寄って、ブナの路からコマドリの路に入って三頭山へ登るコースをとり、帰りはムシカリ峠から笹尾根を歩いて槇寄(まきよせ)山へ。そこから数馬に下山するコースで。

「森林館」から三頭大滝へ行く途中に展望が開ける場所がある。正面に生藤山など。左の道は奥多摩周遊道路。
「森林館」から三頭大滝へ行く途中に展望が開ける場所がある。正面に生藤山など。左の道は奥多摩周遊道路。

「森林館」からウッドチップが敷き詰められた膝にやさしい大滝の路を歩いて三頭大滝へ。南秋川では落差が最大の滝で、35mの落差がある。ただし滝幅は狭く水量はそれほどでもない。この南秋川の源流部を三頭沢と呼び、沢沿いの道がブナの路になる。

三頭大滝上流部の三頭沢。三頭山を源流部として秋川となり、多摩川へ注ぐ。
三頭大滝上流部の三頭沢。三頭山を源流部として秋川となり、多摩川へ注ぐ。

取材日は5月、新緑の景色と沢の流れがきれいだ。滝から20分ほど上がるとムシカリ峠へ行く道とコマドリの路の分岐点になる。ここには森の一番深いところに造ったようなテラスがあり、森を感じるには最高の場所に思える。設計者に感謝だ。

ブナの路を上がって行くとある、ムシカリ峠とコマドリの路との分岐にあるテラス。森の息吹を一番感じられる場所だ。
ブナの路を上がって行くとある、ムシカリ峠とコマドリの路との分岐にあるテラス。森の息吹を一番感じられる場所だ。

山頂は絶景! 西峰を目指す

三頭山山頂手前の尾根道には大きなブナが多い。新緑の頃のブナは美しい。
三頭山山頂手前の尾根道には大きなブナが多い。新緑の頃のブナは美しい。

しばし休憩後、コマドリの路へと入る。途中の野鳥観察小屋に寄って、さらに上へ。尾根に出ると、そこもブナの路。山頂までは1時間もかからない。ブナの路にふさわしく、ブナの木が目立ってくる。三頭山は、その名のごとく三つの山頂を持つ。東峰、中央峰、西峰である。最高峰は中央峰だが、一般的には西峰が山頂とされている。眺めが一番いいからだが、今日は富士山がくっきり。冬なら日光連山も見える展望所でもある。富士山の眺望がいいところで弁当をひろげる。

三頭山の西峰から見た富士山。三頭山には3カ所の山頂があるが、この西峰の展望がいい。
三頭山の西峰から見た富士山。三頭山には3カ所の山頂があるが、この西峰の展望がいい。

帰りは山梨県側との境の笹尾根を下る。ムシカリ峠から森林館へ下りるコースもあるが、そのまま笹尾根を直進。すぐに三頭山避難小屋、その先に大沢山。ハチザス沢ノ頭で都民の森エリアは終了して笹尾根をゆく。展望はないけれど、ミズナラなどの新緑がきれいで、気分は上々。槇寄(まきよせ)山に着くと、やや展望が開け、今日最後の富士山を見てから下山にかかる。数馬へは1時間と少し。

数馬の民家が見えてきた。鍬を持った人が畑を耕している風景が目に焼きつく。

山からようやく里へと戻ってきた。小さな旅の終了である。

アドバイス
危険箇所はないコースだが、少々距離が長い。エスケープするには槇寄山へは行かずにムシカリ峠からテラスを通り、都民の森バス停に戻ることもできる。

とちの実売店

なぜか力の出るいそべ餅がおすすめ

都民の森バス停そばにある店。店内ではうどん、そばなどが食べられるが、おすすめはいそべ餅(130円)。人気はみとうだんご(350円)のようだが。

●9:00~17:00(冬季は~16:00)。月休(都民の森定休日に準ずる)。042-598-8355。

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より