最初に見たのは八王子ユーロードだった

「過程を楽しむ商品」の中でも、「都まんじゅう」の楽しさはまた格別である。

私が初めて都まんじゅうに遭遇したのは、八王子北口・ユーロードにある『つるや製菓』であった。ガラス越しに店内を覗くと、円盤の上に小さな円形の焼き型が整列している機械がある。焼き型に生地が注入され、円盤を一周すると今度はアームがニューと伸びて焼き型をひっくり返し、もう一周したところで焼き上がり、という仕組みになっている。

そこには何の派手さもなく、ただ機械的に同じ作業が延々と続くのみである。それでも目が離せない。

八王子『つるや製菓』の外観。店名より「都まんじゅう」が前面に押し出されている。(2017年)
八王子『つるや製菓』のあの機械。(2017年)

完成した「都まんじゅう」自体は、キツネ色に焼き上げられたカステラ風の丸い生地の中に白あんが入っているもので、まんじゅうというより小さな今川焼のようでもある。安価で(『つるや製菓』では10個350円)気軽に買い求めることのできるおやつだ。

私自身は八王子出身ではないのだが、八王子の人に聞くと「地元の菓子」というイメージだという。

『つるや製菓』の都まんじゅう。10個で350円と安い。(2017年)
焼き印にもバリエーションがある。(2017年)

京都では「ロンドン焼」と呼ばれているらしい

ところが、である。数年前、京都に行く際に、京都出身の人にお勧めの土産菓子を聞いてみたところ「ロンドン焼」という答えが返ってきた。観光客向けの菓子ではないが、地元で長く愛されており、地元民ならこれを勧めるという話であった。

その「ロンドン焼」の特徴を聞いてみると、「丸くて小さくて白あんが入っていて、店先で円盤状の機械がガチャホイガチャホイ焼いている」とのこと。……それは「都まんじゅう」ではないのか?

 

京都『ロンドンヤ』では、1個から買うことができる。(2013年)
「ロンドン焼き」製造風景。(2013年)

実際、「ロンドン焼」を販売している新京極の『ロンドンヤ』に赴いてみたところ、馴染みのあるあの円盤状の機械がキツネ色の「都まんじゅう」……もとい「ロンドン焼」をせっせと生産していた。なぜ「都まんじゅう」が京都に来ると「ロンドン焼」になるのだろうか。いや、ロンドンも都ではあるけれども。

「都まんじゅう」は全国にあり、違う名前で展開されているようだ

調べてみると、どうやら「都まんじゅう」と同じようなスタイルの菓子は日本全国で売られており、それぞれの地域で名称も異なるという。更にはそれぞれが「地元の自慢の菓子」という意識を強く抱いているようで、前述の京都出身の人は、「都まんじゅう」を見せても、頑なに「ロンドン焼」と言い張っている。こうなると、自分が馴染みであるからという理由でうっかり「都まんじゅう」と呼ぶべきではないのかも知れない。「丸くて小さくて中に白あんが入っている菓子」という呼称が無難だろうか。

上野『かるた家』の「都まんじゅう」。スタンダードな形。(2020年)
上野『かるた家』の「都まんじゅう」製造機。この日は稼働していなかった。(2020年)

あなたの出身地には「丸くて小さくて中に白あんが入っている菓子」はありますか。そしてそれは何と呼ばれていますか。いつか全国の「丸くて小さくて中に白あんが入っている菓子」を制覇して、その比較をしてみたいというのが私の目下の夢である。

絵・写真・文=オギリマサホ

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