調理経験豊富なスタッフが腕と経験を持ち寄った創作料理
店は2階建ての一軒家。入り口扉の手前に冷蔵ケースがあって、その上に取り付けられた窓から店内の様子がちらっと見える。冷蔵ケースの中は、デパ地下のように何種類ものおばんざいが並んでいる。その風景に自ずと期待が高まる。
店長の熊谷孝彦(くまがいたかひこ)さんは、長くイタリア料理店のキッチンで腕を奮っていた。『酒場ニホレモ』のオーナーとは古くからの友人で、「レモンサワーと日本酒を出すお店をやりたいから、一緒にやりませんかと誘われました」とオープン時を振り返る。
店には熊谷さんを含めて4人ほど調理経験豊富なスタッフがいる。それぞれのキャリアや、これまで出合った味などからアイデアを持ち寄ってメニューを開発している。
料理は季節や時季、仕入れ先で見かけたものによっても変わるそうだ。メニュー表には和牛すきやきポテサラ、茨城直送 ジャーマン蓮根、甘納豆マスカルポーネといった、興味をそそられる名前が並んでいた。
盛り付けにも目を奪われる、お酒に合う料理の数々
まずは名物のおばんざい盛り合わせをいただこう。和の伝統を感じる塗り物のお盆の上に、小さな和食器に盛り付けられた前菜がのっている。「若いお客さんが多いので、写真を撮ってもらえるように、色合いや盛り付けも気を付けるようにしています」と熊谷さん。この日の盛り合わせも彩り豊かで、写真を撮らずにはいられない。
盛り合わせの中で、一段高く盛り付けられているのが、痛風とろたく。痛風の遠因になるウニとイクラがのっていることから名付けられた。単品でも頼める甘納豆マスカルポーネは、スタッフの1人がお寿司屋さんのメニューからヒントを得たという。
フレッシュないちごをつかったいちごの生ハム巻きは、甘くジューシーないちごと塩味を感じる生ハムとの相性のよさを改めて感じさせる。盛り合わせを囲んでいると、初めての味や食感に会話も弾む。
締めに合うものは、熊谷さんがイタリアン出身だからかピザやパスタが並ぶことが多い。勧めてもらったのが、濃厚蟹味噌チーズリゾーニ。リゾーニとは米の形をしたパスタのこと。ズワイガニの蟹味噌とあさり出汁を合わせ、クリーミーに仕上げられている。パスタが魚介の旨味をまとっていて、もう一杯お酒が飲みたくなる味だ。
お酒のラインアップも個性的。昼から飲めて、おばんざいのテイクアウトもOK
『酒場ニホレモ』には、常時10種類の日本酒と8種類のレモンサワーが揃っている。日本酒は、付き合いのある3軒の酒屋さんが『酒場ニホレモ』に合いそうなものを見繕ってくれている。味のよさはもちろん、中には珍しいもの、ラベルのデザインがかわいいものなども。日本酒は、3勺(54ml)と5勺(90ml)ならフルートグラスで供される。
レモンサワーは、スタンダードな本気レモンサワーや、本気レモンセロリサワー、薬膳スパイスレモンサワーなどこちらも興味をそそられるものばかり。
「最近始めた飲み放題を選ぶ方が多くなってきました」と熊谷さん。レモンサワーなどのサワーと生ビールが対象になる「スタンダード飲み放題」2時間2200円と「日本酒付き!贅沢飲み放題」2時間3000円がある。バラエティに富むレモンサワーも、貴重な日本酒も、飲み比べてみたくならないはずがない。
『酒場ニホレモ』は12時からオープンしていてランチを目当てにやってくる人も多い。ソフトドリンクのセット・ソフドリセットのほかにアルコールセットがあって、昼からレモンサワーを飲む人も少なくないそうだ。すっきりしたレモンサワーなら、大人レモンサワーがその代表。銘柄は明かされていないが、本当にいい米焼酎をソーダ割りにしてレモンを加えたもの。甘みがほとんどなく、どんな料理も邪魔しないまさに大人向けのさわやかなレモンサワーだ。
人気の日替わり定食は、メインのおかずに小鉢が3種類。当日のメイン、豚肉白菜のトマト炒めもほんのり唐辛子が効いていて、しらすとピーマンの柚子胡椒マリネもピリッとした味わい。おばんざいもお酒に合う味を意識しているそう。そしてこのおばんざい類が、営業時間中ならいつでも弁当や総菜としてテイクアウトできるというわけだ。
「意外と高円寺は昼から飲める店が少なくて、ランチ後の14時ぐらいからもお酒を飲まれる方も多いですよ」と熊谷さん。
気取らない居酒屋でありながら、味も見た目も創意工夫に満ち、季節の野菜や果物まで楽しめる。さすがの人気店だ。
取材・文・撮影=野崎さおり







