高円寺で食べられる新潟のご当地ラーメン、背脂中華そば
米どころの新潟県は、実はラーメン好きが多い土地柄。新潟5大ラーメンと呼ばれるご当地ラーメンが愛されている。高円寺にある『背脂中華そばと餃子 福鳳』の看板メニュー、背脂中華そばもそのひとつ。洋食器などの金属加工業のまち、燕三条が発祥地だ。
戦後間もなく生まれた燕三条の背脂中華そばは、スープの上に浮かんだ背脂が特徴。煮干しをメインに豚骨やサバ節など、さまざまな旨味が溶け込んだスープには醤油を多めに使っている。そして麺はもっちりしっかり食べ応えのある太麺だ。
背脂、太麺、濃い味付けという特徴の理由は、どれも工場で働く人たちに出前で届けるラーメンだったから。スープを背脂で覆うようにして冷めにくいようにし、時間が経っても太麺なら伸びにくいと、うどんのようなもっちりとした麺になった。さらに金属加工の工場で汗をかきながら働く人たちに向けて、塩分も濃くなったのだ。
『福鳳』の代表、高﨑誠(たかさきまこと)さんは、新潟出身。新潟にある背脂中華そばの人気店で修業し、東京で任されていた小金井市内の店舗を事業継承する形で独立した。独立後の2店舗目となったのが高円寺のお店だ。高円寺ならいろいろな趣味嗜好を持つ人に味わってもらえると確信したという。
あっさりスープと甘みを感じる背脂のコンビネーション
その自慢の中華そばは、背脂の量を標準、中油(ちゅうあぶら)、大油(おおあぶら)から選べる。食券を渡すときにお願いする。今回は標準。
出てきたどんぶりで存在感を主張しているのはこんもりと盛り付けられた岩のりだ。そのほかのトッピングは、豚もも肉を窯で焼いたチャーシュー、小松菜、メンマとみじん切りにした玉ねぎ。
自慢のスープは、豚骨を炊いているところに、時間差で煮干しや昆布などの乾物、鶏ガラも加えて営業時間いっぱい火にかけ、一晩寝かせて提供。「スープそのものはあっさりしているので、背脂のコッテリ感とのコンビネーションを味わってみてください」と高﨑さん。
まずはスープだけをと背脂を避けながらレンゲでひとくちいただくと、煮干し出汁の心地よいほろ苦さと、しっかりした醤油の味わいが染みる。背脂を多めにすくって口にすると、まろやかさが増す。
ゆでるのに5分30秒かかる太麺は、さすがの食べ応え。もちもちした食感も楽しい。豚もも肉のチャーシューは、窯焼きされていて、しっかりしたかみごたえと香ばしい風味が生きている。スープを吸った岩のりが麺に絡み、みじん切りの玉ねぎやほんのり香るゆずも相まって、最後まで飽きない。
深夜ににぎわう店。オリジナルの辛そばと自家製餃子も人気
『福鳳』のもうひとつの人気麺メニューは辛そばだ。中華そばにラー油とにんにくを効かせた豆板醤や甜麺醤、豆豉醤と炒めた豚挽き肉がのっている。「にんにくを効かせた、中華風の辛い麺を作りたかったんです。ただし、それほど辛くないですよ」と高﨑さん。にんにくの風味も辛さも程よい肉味噌と、背脂の甘さとの相性がよく、しっかりコクがありハマる味に仕上がっている。「辛そばばかりを注文される方も多いですよ」と高﨑さんは、うれしそうな表情を見せた。
店名を『背脂中華そばと餃子 福鳳』とするほど、餃子にもこだわりがある。セントラルキッチンで皮から自家製。豚挽き肉にニラなどの香味野菜も複数種類を加えて、さっぱり食べられるように工夫している。
焼いた面はパリッと香ばしいが、食べてみるとふるふると感じるほど柔らか。肉と野菜のバランスは、しっかり肉を感じボリューム感もいい。
高円寺の店は、カウンター12席で、朝10時から深夜1時まで営業。1日でいちばん混雑する時間帯は夜の23時から24時だという。仕事帰りや飲んだ帰りの深夜帯がにぎわうとは、なんとも高円寺らしい。
高﨑さんは、「夜の深い時間こそ、背脂中華そばがおすすめ」ときっぱりと話してくれた。背脂のコクと甘み、食べ応えのある太麺の背脂中華そばで1日を締める背徳感。ぜひ味わってみてほしい。
取材・文・撮影=野崎さおり








