江戸風情と近代的建物の競演

2つの元倉庫をつなげてリノベーション。コンクリートの壁に緑が映える。

清澄白河庭園のそばを流れる仙台堀川沿い。ここは松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅へ出発したという場所で、辺りには江戸風情が残る。その川沿いにある、ひときわ目立つコンクリート造りの近代的な建物が『Babaghuri』の旗艦店で、蔦の絡まる入り口が印象的。目立つような看板もないため、一見するとショールームのような感じだ。

『Babaghuri』は、ドイツ人のデザイナー、ヨーガン・レール氏がセカンドラインとして2006年に立ち上げたブランド。レール氏は、1971年に来日し、1972年にファッションブランド「JURGEN LEHL(ヨーガンレール)」を立ち上げ、今では2つのブランドを合わせて、全国の百貨店を中心に48店舗を展開している。

店舗入り口では、プレス担当の武安輝子さんが出迎えてくれた。「以前は湾岸地域に社を構えておりましたが、ゆりかもめ開通に伴う移転要請があり、清澄白河の地へ移転しました。その際、レールは“水辺や緑のある場所”と強く要望しており、ここに決まったのです」と話す。

自然と真摯に向きあったからこそ生まれた商品

店舗に入ってまず驚くのが、その広さ。外観からも規模はなんとなく想像はできたものの、思った以上の広さに驚いた。並べられる商品も洋服から皿や茶碗、テーブルやイスまで多岐にわたる。そしてどれも『Babaghuri』オリジナルというから、二重にびっくり!

「レールは、石垣島に住んでおりましたが、浜辺に流れ着くゴミの多さを嘆き、現地でも農作業や海岸の清掃活動に力を注いでいました。ここに並ぶ商品は、そんな思いが反映された、地球環境にやさしい商品ばかりです」と武さんは話す。

環境汚染を懸念し、立ち上げられた同ブランドでは、その当初から然の素材や染料にこだわった服づくりを続けている。レール氏亡き後も、その信念を受け継ぐデザインチームによって、商品開発が継続されている。

磨き抜かれた職人の手仕事

陶器は、エミューの卵や瓜、ココナッツの殻などを模っている。そのため、突起やへこみなどのいびつささえも、あえてそのまま使っている。

「このブランドは、手仕事を大事にし、自然素材を使っていることが特徴です。陶器は、内側と外側で違う釉薬(ゆうやく)を使っているのですが、これは職人泣かせだったようです。頼まれた職人さんも、レールのイメージに沿う作品をと、試行錯誤したようです」と武さんは話す。

洋服やタオルは、手紡ぎ手織りの草木染めコットンを用いたり、アクセサリーには水牛や店名の由来にもなっている瑪瑙(めのう)を用いるなど、一貫して天然素材で作り続けている。

また最近では、ヤシとオリーブ油をベースにしたシャンプーやリンス、モロッコ産のアルガンの種のオイルなど、天然由来の成分を使ったボディケア商品も販売している。これらは、天然由来の成分のため、排水された後も環境負担が少ない。

 

インド・グジャラート地方で採取される瑪瑙を使ったアクセサリー。左からかんざし3万1900円、指輪各3万800円。

使えば使うほど深みが増す一生モノ

家具は1点ものだ。スツールは木をそのままくり抜いて造られており、年輪を模様として活かしている

数ある商品の中でも、ぜひ注目してもらいたいのが家具。どれもインドネシアで丁寧に作られた一品だ。価格が高騰し良質な素材を手に入れることが困難になったチーク材や、成長・再生の期間が短く、周りの植生を飲み込んでいく害がある孟宗竹など様々な天然素材を使用した家具が並ぶ。

中でも、インドネシアのチーク材を使ったスツールは、丸太材を一刀彫りしている贅沢な逸品。価格も20万円代からと高価だが、一つとして同じ表情のモノはなく、使えば使うほど、経年変化で深い味わいが出てくる。武さんは、「ぜひ店舗へ実際に足を運んでいただき、触れて、見て、この良さを知っていただきたいです」と話す。

自分にはなかなか手が届かないと思いながらも、実際にこうして目の前にしてみると、その質感の良さに魅了される。一生モノと思い切れば納得の品々ばかりで、見るだけでも一見の価値あり。

住所:東京都江東区清澄3-1-7/営業時間:11:00~19:00/定休日:火/アクセス:地下鉄大江戸線・半蔵門線清澄白河駅から徒歩7分

取材・文・撮影=千葉香苗