これぞ町中華のたたずまい。豊富なメニューもうれしい
店名が白文字で書かれた真っ赤な日除け看板、白地に赤文字で「中華料理」とある暖簾(のれん)など、昔ながらの町中華のたたずまいがある。店頭にはお得なランチメニューと人気メニューが書かれた派手な看板があり、入店する前から心が躍るよう。
店内は奥に長く、カウンター席とテーブル席がある。店内にも多くのメニューがズラリと並んでいる。セットメニューやつまみでも楽しめる単品、アルコール類まで目移りしてしまいそう。お客さんたちの会話を聞いてみるとどれにしようか迷っている様子がうかがえる。
神田のサラリーマンのおなかを満たす
創業は1991年。神田での出店の経緯を聞いたところ「独立した際に、社会を動かしているサラリーマンが多くいるビジネス街にしようと思い神田にしました。野菜は市場から直送されるものを使い、バーナーも火力を強くした特注品を使うなどのこだわりがあります。おいしい料理をきちんと作って早く提供しているのでお客さんから喜ばれ、長続きしているのだと思います」と店主の鈴木正毅さん。「先輩と一緒に訪れた人が、今度は後輩を連れてきたり。まだ若かった人が定年まで通ってくれたりもしてくれています」。
自慢の野菜そばは、シャッキリとした野菜と優しいスープが最高
数あるメニューの中にから「当店一番自慢の人気メニュー」だという野菜そば650円を注文。看板には「あなたは野菜が不足していませんか?」という文字にも惹かれてしまった。キャベツやモヤシ、ニンジン、玉ネギ、キクラゲ、豚コマなどを自家製の塩ダレで入れて強火で炒め、特製醤油ダレで仕上げたラーメンの上にのせている。野菜はシャッキリとした歯ごたえで甘みを感じ、優しいスープをいっそう味わい深いものににする。柔らかくて旨味が凝縮したチャーシューもたまらない。ちなみに特製塩ダレは大手食品会社から肉野菜炒めの素としても販売されている。
ほのかに香るニンニクが上品なスタミナ・ニラレバ炒め
食欲が止まらなくなり、スタミナ・ニラレバ炒め600円(単品。ライス・スープは+200円)を注文。レバーは臭みがなく、プルプルとした食感と旨みを感じられる。メニュー名にスタミナとあるからには濃厚コッテリだと勝手に思っていたのだが、味はしっかりとしているもののくどくない。最後に刻みニンニクの風味がフワッと広がる上品な味わいだ。ニラやモヤシ、キクラゲなどの歯触りもいい。
ランチタイムはもちろん、どの時間帯に訪れてもにぎわっている繁盛店。「神田で働く人たちの胃袋を、栄養ある料理で満たしたいんです」という鈴木さんの言葉通り、今日も働く力の源を提供している。
『鶴の恩がえし』店舗詳細
取材・文・撮影=速志 淳