前回の午年は絶景ブーム! 好天に恵まれた春

前回の午年は2014年。この年は「絶景」という言葉が新語・流行語大賞にノミネートされ、旅に出かける目的として美しい景色を見ることが注目されました。ちょうど、この頃から筆者もSNSをチェックするのが当たり前になり、友人や知人以外とも美しい景色をシェアし合う文化が広まっていったことを記憶しています。当時はウユニ塩湖など海外の絶景が話題を集めましたが、日本が誇る絶景、しかも散歩しながら気軽に楽しめる絶景といえば、桜です。

日本の絶景といえば、やっぱり桜!
日本の絶景といえば、やっぱり桜!

春は天気が変わりやすいものですが、この年の春は高気圧に覆われやすく、全国的に日照時間がかなり多くなりました。特に東日本を中心に日差しに恵まれ、3~5月の日照時間は東日本・日本海側で平年の118%、東日本・太平洋側で平年の122%、西日本・日本海側で平年の118%と、統計を開始した1946年以降で最も多くなったのです。桜の開花も順調に進み、関東から西の地域では平年より早めに開花したところが多くなりました。3月中旬以降は気温の上昇が顕著になり、ポカポカ陽気の中、お花見を楽しめた人が多かったのではないでしょうか。

2014年春(3月~5月)の日照時間平年比(画像=気象庁)。
2014年春(3月~5月)の日照時間平年比(画像=気象庁)。

さらに、春の厄介者とされる黄砂が少ないことも特徴的でした。東京や大阪など11地点で黄砂が観測された日数は年間でたった7日しかなく、平年の15.8日の半分以下にとどまったのです。一年で最も黄砂が多いとされる3月と4月は一日も観測されませんでしたが、これは1972年以来、実に42年ぶりのことでした。

ほかにも散歩しながら見られた絶景として、10月8日にあった皆既月食が挙げられます。移動性高気圧に覆われて晴れたところが多く、月食のピークは20時前だったこともあり、各地でお月見を楽しめたようです。

2026年3月3日のひな祭りの夜にも皆既月食があります。食の最大となるのは20時30分頃と2025年9月の真夜中にあった皆既月食よりも散歩しながら観察しやすい時間なので、今から楽しみですね。

次の皆既月食は2026年3月3日、前回の午年のように各地で楽しめるか?
次の皆既月食は2026年3月3日、前回の午年のように各地で楽しめるか?

首都圏を2度襲った記録的な大雪も

しかし当時、明るい春を迎える前に試練もありました。2014年2月はソチオリンピックが開催されましたが、同じ頃に東京都心部など首都圏は2度にわたり、記録的な大雪に見舞われました。本州の南岸沿いを東進する、いわゆる「南岸低気圧」が原因でした。2月8日、低気圧が発達しながら西日本から東日本へと進み、寒気の流れ込みも強かったため、東京都心では最大で27cmの積雪を観測。交通機関は大混乱となり、歩行者の転倒や車のスリップ事故が相次ぎ亡くなった人もいました。

めったに大雪にならない関東は雪に弱く、大きな事故につながりやすい(画像=写真AC)。
めったに大雪にならない関東は雪に弱く、大きな事故につながりやすい(画像=写真AC)。
2014年2月8日低気圧が本州南岸を東進した(画像=ウェザーマップ)。
2014年2月8日低気圧が本州南岸を東進した(画像=ウェザーマップ)。

さらに、その翌週にも再び南岸低気圧が接近し、都心では15日にまたも27cmの積雪を観測し、前の週に続いて23区内に大雪警報が発表されました。 山梨県甲府市では1mを超える記録的な大雪となり、交通網は機能しなくなり物流もストップしてしまいました。

2014年2月15日再び南岸低気圧が接近。長野新幹線や山形新幹線が運休、東京管内で最大24万7千件が停電(画像=ウェザーマップ)。
2014年2月15日再び南岸低気圧が接近。長野新幹線や山形新幹線が運休、東京管内で最大24万7千件が停電(画像=ウェザーマップ)。

「洞爺丸台風」「東京の観測場所移転」「高解像度降水ナウキャスト開始」など……歴史に残る出来事が

さらに過去の午年には、歴史に残る大きな被害をもたらした災害もありました。1978年には2月末に春の嵐によって、地下鉄東西線の車両が江戸川区内の鉄橋を走行中に脱線し横転する大事故が発生しました。この日は日本海の低気圧に向かって南風が強まり、首都圏で竜巻が発生するなど風の威力がすさまじい日でした。

1978年2月28日、関東地方では春一番が吹き、竜巻などの突風が発生した(画像=気象庁)。
1978年2月28日、関東地方では春一番が吹き、竜巻などの突風が発生した(画像=気象庁)。

1954年の「洞爺丸台風」は9月下旬に鹿児島県に上陸し、九州・中国地方を通り日本海に進んだ後も発達し、猛スピードで北海道まで到達しました。この台風によって北海道では30m/sを超える暴風が吹き荒れ、函館港から出港した洞爺丸など5隻の青函連絡船が遭難し、洞爺丸の乗員乗客1139名が亡くなりました。

1954年9月26日、台風15号が鹿児島県に上陸後、日本海を発達しながら猛スピードで進んだ(画像=気象庁)。
1954年9月26日、台風15号が鹿児島県に上陸後、日本海を発達しながら猛スピードで進んだ(画像=気象庁)。

このほか、2014年には雨雲の動きを監視するのに役立つ「高解像度降水ナウキャスト」の運用が始まったり、東京の気温などを観測する場所が大手町から北の丸公園へ移転したりするなど気象の世界では大きな転換点を迎えました。

2026年は5月下旬から気象に関する防災情報の運用が大きく変わることが発表されています。これまで「複雑で避難のタイミングが分かりづらい」などの意見もあった情報が見直され、災害の種類ごとに5段階の警戒レベルに合わせて再編される予定です。

2026年は自然災害が少なく穏やかな天気に恵まれる年になり、災害時も極力被害を抑えられることを願います。

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文=片山美紀 TOP画像=写真AC

参考

気象庁 報道発表資料 平成26年6月2日気象庁 春(3~5 月)の天候
https://www.data.jma.go.jp/stats/data/stat/tenko140305.pdf

気象庁 黄砂観測日数表
https://www.data.jma.go.jp/env/kosahp/kosa_table_1.html

ウェザーマップ 気象人 さくら2014
https://kishojin.weathermap.jp/topics/201501sakura.php

ウェザーマップ 気象人 気象ダイアリー
https://kishojin.weathermap.jp/diary.php?ym=202512

気象庁 1978/02/28 21:20 神奈川県川崎市で発生した竜巻
https://www.data.jma.go.jp/stats/data/bosai/tornado/1978022801/wmap.html

気象庁 洞爺丸台風
https://www.data.jma.go.jp/stats/data/bosai/report/1954/19540924/19540924.html