新作ロードショーのほか、準新作などが見放題になるサブスク制も
2年前からはSNSで開業を目指す道のりを発信。神保町の物件に出合い、制約や困難を乗り越えながら準備を進めてきた。2025年夏に実施したクラウドファンディングでは予想を遥かに超える支援が集まり、映画ファンの期待の高さがうかがえる。
館内にはスクリーンが2つで、合計約130席。片方で新作ロードショー、もう片方で準新作や旧作・名作を上映し名画座としての役割も担う。また、映画館としては珍しいサブスクリプション制を導入。年額制または月額制で、準新作などの対象作品が年間50本程度見放題になる。これは、「ギンレイホール」で稲田さん自身も愛用していた年間パスポートのシステムを取り入れた形だ。
目指すのは、誰もが気軽に立ち寄れる、時には逃げ込むことのできる「居場所」。そして、かつて御茶ノ水にあった文化学院が掲げていた理念に倣い「小さくても善いものを」提供することだ。「マイノリティのことも考えた、ジャンルやエリアにとらわれないキュレーションをしたいと考えています。普段は触れないような作品にもサブスク制を利用してぜひ見てみてほしい。映画を通して知らない場所や文化に触れることで、隣人に寛容になっていけるのでは」と稲田さん。
数年かけて発信してきた「ミニシアター創り」が、ついに実を結ぶ。神保町に生まれたスクリーンで、新しい世界へ出合いに行こう。
取材・文・撮影=中村こより
『散歩の達人』2026年1月号より







