「初冠雪」「初雪」「初霜」「初氷」の基準とは?
シーズン初めの雪などについてニュースや天気予報で聞くと、季節の移ろいを実感する人も多いのではないでしょうか。冬の便りの中で最も早く報じられるのが「初冠雪」です。雪やあられなどが山頂付近に積もり、白く見えることを冠雪といい、寒候年(前年8月から当年7月まで)に、近くの気象台から初めて冠雪が確認できたら、その山の初冠雪となります。山の季節は早く進むため、夏も終わりに近づくと、そろそろ富士山の初冠雪がないだろうかとそわそわします。
「初雪」はその冬に初めて降る雪のことですが、実は雪以外のものが降っても初雪とされる場合があります。それはみぞれ(雨と雪が混在して降る降水)が観測された時です。以前は各地の気象台の職員が目で見て「これは雪である」と確認できたら発表されていましたが、現在は多くの気象台で初雪を機械による自動観測に切り替えているため、降水があれば気温や湿度から自動的に判別されるのです。
このほか、秋から冬にかけて初めて降りる霜を「初霜」、初めて氷が張ることを「初氷」といいます。これまで初霜と初氷も各地の気象台から発表されていましたが、今シーズン(2025年)の冬から目視観測が廃止されました。
近年、アメダスやレーダーなどの最新の観測技術によって、日本全国で面的な気象情報を網羅的に提供できるようになっているため、目視観測を終了するとのお知らせがあったのです。霜害のおそれがある時に出される「霜注意報」や水道管凍結のリスクを知らせる「低温注意報」といった情報でカバーできるのは確かですが、なじみのある季節の知らせがなくなるのは少しさみしいものですね。
散歩でチャンスをねらおう! 初霜・初氷を観測するには?
冬の初物便りは気象庁や気象台の発表を待たずとも、自分である程度予想できます。散歩でチャンスをねらう時に天気予報で注目したいポイントを紹介します。今季から目視観測が廃止された初霜や初氷は、1日の中で最も冷え込みやすい早朝の散歩中に探しに行くのがおすすめです。どちらも風が弱く、すっきりと晴れる朝がねらい目でしょう。こうした日は放射冷却が強まるので一層冷え込むのです。
霜が降りる目安は、天気予報で最低気温が3~4℃くらいと予想される時です。この気温は地上1.5m程の高さで、地面付近では0℃近くなるので空気中の水蒸気が凝華して氷になります。地面に近い葉っぱなどをよーく見てみてください。スマホ用のマクロレンズを付けるときれいに撮影できます。気温や水蒸気の量によって霜の形が変わるのもおもしろいです。
また、氷が張るのは0℃くらいの予想になる時です。公園などの池や水たまりに注目して、すべらないように気を付けながら観察を楽しんでください。
初冠雪や初雪はいつ? 天気予報で注目したいポイント
初冠雪を予想するには、降水がある上で「山で雪が降る目安」の寒気が流れ込むかどうかに注目します。この目安は上空1500mで0℃以下の寒気です。少し専門的な資料になりますが、気象庁のウェブサイト(https://www.jma.go.jp/bosai/numericmap/#type=nwp)でも上空1500m(気圧では850hPaに相当)における大気の温度の予想が分かります。そして、雪が降った後も雲が残ると冠雪が見えないので、翌日以降に晴れる日をねらうのも大事です。
初雪ならば、「平地で雪が降る目安」の上空1500mでマイナス6℃以下の寒気がどこまで南下するかがポイントです。降水があることが前提で、寒気以外にも湿度など複数の条件が関わるので少し難しいかもしれませんが、ニュースや天気予報ではこうした強い寒気が流れ込む時は詳しく解説されるので、興味のある人は参考にしてみてください。
寒くて外に出るのをためらいたくなる冬ですが、キリリと冷えた空気を肌に感じながら歩くのも良いものです。上手くチャンスをねらえば、なかなか見られない現象を目にできるかもしれません。寒さ対策は万全に行って、“初物”の景色に出合う散歩を楽しんでみてください。
文・撮影=片山美紀 TOP画像=写真AC






