【浜松町・芝・虎ノ門の切絵図】

芝口南西久保愛宕下之図

切絵図でひときわ目を引くのが中央下にある「増上寺」。徳川家の菩提寺で、2代将軍秀忠をはじめ、6人の将軍が眠っている。その少し上にある「愛宕山」は、徳川家康が征夷大将軍に任命された際に建立された愛宕神社がある。江戸時代には境内から江戸前の海が見えた景勝地としてもにぎわった。周囲には「青松寺」をはじめとした神社仏閣が立つ寺町だったことがわかる。

切絵図の右上にある「芝口橋」から下に延びる道が東海道で、街道に沿って町家が連なっている。増上寺の北には大名の上屋敷が並び、愛宕下大名小路と呼ばれていた。海に浮かぶ「濱御殿」は浜離宮恩賜庭園、「紀伊殿」は旧芝離宮恩賜庭園となり、大名庭園の姿を今に残している。

※掲載の古地図は、江戸の町を32区画に分割して作った切絵図を使用。すべて、麹町にあった金鱗堂が出版したもので、屋号である尾張屋清七から「尾張屋板(版)」と呼ばれる。鮮やかな多色刷りが特徴。
※切絵図内の白色の部分は【大名屋敷などの武家地・御用地】、赤色は【神社仏閣】、灰色は【町屋】、黄色は【道】、青色は【海・川・池】、緑色は【山林・土手・馬場・田畑など】を示している。

葛飾北斎『新板浮絵芝愛宕山遠見之図』。
葛飾北斎『新板浮絵芝愛宕山遠見之図』。

【散歩コース】

スタート:浜松町駅はJR山手線で東京駅から7分・170円、品川駅から7分・170円。浜松町駅は地下鉄大江戸線・浅草線大門駅に隣接する。

JR山手線浜松町駅→(1分/0.1㎞)→旧芝離宮恩賜庭園→(14分/0.9㎞)→浜離宮恩賜庭園→(40分/2.1㎞)→浅野内匠頭終焉之地→(17分/1.1㎞)→芝大神宮→(8分/0.6㎞)→増上寺→(4分/0.3㎞)→芝東照宮→(20分/1.3㎞)→芝給水所公園→(8分/0.5㎞)→青松寺→(3分/0.2㎞)→愛宕神社→(9分/0.6㎞)→地下鉄日比谷線虎ノ門ヒルズ駅

ゴール:虎ノ門ヒルズ駅から地下鉄日比谷線で上野駅まで24分・210円。

今回のコース◆約7.7km/約2時間10分/約1万300歩

江戸時代初期の回遊式泉水庭園『旧芝離宮恩賜庭園』

海を埋め立てて、延宝6年(1678)に老中・大久保忠朝の邸宅となり、庭園を整備。池を中心にした庭園や各地から集めた名石の配置などが素晴らしい。

『旧芝離宮恩賜庭園』詳細

国の特別名勝や特別史跡に指定される大名庭園『浜離宮恩賜庭園』

徳川将軍家の鷹狩り場だったが、承応3年(1654)に徳川4代将軍家綱の弟・綱重が海を埋め立てて甲府浜屋敷という別邸を建てたのが始まり。庭園は、潮の満ち引きによって池の趣が変わる潮入の池が特徴で、都内で唯一現存する海水の池。

『浜離宮恩賜庭園』詳細

住所:東京都中央区浜離宮庭園1-1/営業時間:9:00~16:30/定休日:無/アクセス:ゆりかもめ・地下鉄大江戸線汐留駅から徒歩13分

浅野内匠頭が切腹をした屋敷跡「浅野内匠頭終焉之地」

浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)が江戸城松の廊下で吉良上野介に対して刀傷沙汰を起こし、徳川5代将軍綱吉より即日切腹を申し渡された。ここには一関藩(現在の岩手県南部)・田村右京太夫の上屋敷があり、この屋敷で切腹をした。

「浅野内匠頭終焉之地」詳細

住所:東京都港区新橋4-31/営業時間:見学自由/アクセス:地下鉄三田線御成門駅から徒歩6分

関東のお伊勢さまとも呼ばれる「芝大神宮」

創建から1000年以上の歴史を誇る。江戸時代には徳川将軍家から篤い保護の下、江戸はもちろん関東一円の信仰を集める。9月11~21日は「だらだら祭り」が行われ、生姜市も開かれる。

「芝大神宮」詳細

家康が陣中にも持ち込んだ黒本尊を祀る「増上寺」

明徳4年(1393)創建で、現在地へは約200年後に移転。徳川家の菩提寺で、2代秀忠、6代家宣、7代家継、9代家重、12代家慶、14代家茂が眠る。黒本尊と呼ばれる阿弥陀如来像は勝運を招くとして庶民の尊崇を集めた。

「増上寺」詳細

家康像を祀る四大東照宮の一つ「芝東照宮」

徳川家康が死去した元和2年(1616)の翌年、増上寺の境内に「安国殿」として創建。御神体は家康等身大の像。居城の駿府城にあったが死後、増上寺に移され、ここに安置されている。

「芝東照宮」詳細

住所:東京都港区芝公園4-8-10/営業時間:拝観自由/アクセス:地下鉄三田線芝公園駅から徒歩3分

浄水場や公園になった上屋敷跡「芝給水所公園」

サッカーグラウンドや遊具などがある公園。以前は、東京近代水道の始まりとなった芝給水所があった。幕末には小諸藩(現・長野県)最後の藩主・牧野康済の上屋敷だった。

「芝給水所公園」詳細

住所:東京都港区芝公園3-6-7/営業時間:10:00~19:00/定休日:無/アクセス:地下鉄日比谷線神谷町駅から徒歩6分

立派な山門に安置する四天王「青松寺」

曹洞宗の寺院を統括した、江戸三箇寺(さんかじ)の一つ。文明8年(1476)に太田道灌によって創建され、慶長5年(1600)に江戸城拡張のため現在地に移転した。山門には持国天、広目天、多聞天、増長天の四天王を安置する。

「青松寺」詳細

住所:東京都港区愛宕2-4-7/アクセス:地下鉄三田線御成門駅から徒歩6分

23区で一番高い天然の山にある神社「愛宕神社」

慶長8年(1603)に江戸の防火の守り神として創建。徳川3代将軍家光ゆかりの出世の石段や将軍梅がある。桜田門外の変で井伊直弼を襲撃した水戸藩士が集結した地で、「桜田烈士愛宕山遺蹟」の碑が立つ。

「愛宕神社」詳細

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取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『古地図であるく 大江戸散歩地図』より

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