姉妹の共通点は「紙」だった
『ぺぱむら』は「ペーパーの村」という意味で、その名のとおり、店内は紙モノの雑貨でいっぱいだ。文房具店で販売を担当していた姉の渡辺久美さんと、妹でグラフィックデザイナーの渡辺律子さんの姉妹で営む。
「なんとなく雑貨屋をやることは決めていて……」と久美さん。
律子さんがサラリーマンを辞めてフリーランスになったのも店を始めるきっかけだったという。場所は西荻窪と決めていた。雑貨屋の多いこの街で、なにかひとつ特色を持った個性のある店にしたい。ふたりで相談したところ、「紙」という共通点が浮かび上がった。
じっくりゆっくり、選ぶ楽しみ
あまり広くない店内だが、商品数はかなりの多さだ。細かく見ていると、姉妹の世界観に入り込んだかのようで、あっという間に時間が経ってしまう。
そうして見回すと、じっくり丁寧に商品を見ているお客さんがなんと多いことか。
「30分以上見ていく人もいらっしゃいますよ」
雑貨屋の滞在時間としてはかなり長めだが、どの客も「選ぶこと」が本当に楽しそうだったのが印象的だ。
文房具ではなく、「紙モノ雑貨」を置くこと
店内で一番目を引くのは、バースデーカードをはじめ、用途別に分けられたカードがきれいに並んだ赤い壁面。ほかにもシールやマスキングテープ、ちょっとおもしろい飾り小物などなど。どれもアイデア次第で使い方は自由自在だ。
もちろん、ノートなどの文房具も置いてあるが、どちらかというとここでは少数派だ。
「文房具屋ではなく、あくまで紙モノ雑貨屋ですから」と仕入れ担当の久美さんは話す。このこだわりが、お店のコンセプトをきちんと守っているのだ。
ここにしかないものに出合って欲しい
グラフィックデザイナーである律子さんは、オリジナル商品の開発担当。律子さんがデザインしたポストカードやマルチペーパーは、ここでしか買えない人気商品だ。くすっと笑えるのんきさとあたたかさが特長で、店のムードそのもの。これからもオリジナル商品は随時増やしていくという。
ちなみに、姉妹でけんかすることはないんですか? と聞くと「もちろん、けんかするときもありますけど……。ねえ」といい、ふたりで笑顔を見せた。
BGMでかかっていたピラニアンズの楽曲はちょっととぼけた雰囲気で、お店とふたりにとても合っていた。
『ぺぱむら』店舗詳細
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ