ビジュアルの美麗さもFFシリーズの代名詞

RPG(ロールプレイングゲーム)とは、役割(Role)を演じる(Play)するゲーム、ということで、ごっこ遊び的なボードゲームにその起源があるが、それがコンピュータゲームにて展開されはじめたころ、広義に「物語と成長要素があるゲーム」の総称となった。

『ファイナルファンタジー』(以下、FF)シリーズは『ドラゴンクエスト』(以下ドラクエ)シリーズと並び、現在に至るまでRPGの代名詞的な存在と認知されている。

『ドラクエ』は、敵味方順番にコマンドを入れる、いわゆるターン制のバトルシステムを中心に、王道の作りが貫かれてきた。対して『FF』は、『ウィザードリィ』(アスキー等)や、『ファンタジアン』(クリスタルソフト)といった、古典の影響を受け、SF要素はあるものの正統ファンタジー的な雰囲気をベースに、シリーズごとに、世界観やストーリー、ゲームシステムも大きく変わる。

『FF』は攻略本の数も種類も非常に多い。コレクション対象としても、とても深くて広いものとなっているのだ。
『FF』は攻略本の数も種類も非常に多い。コレクション対象としても、とても深くて広いものとなっているのだ。

『FF Ⅱ』の、大きなダメージを受けた時などに数値が伸びる成長システムは、かの『ドラゴンボール』における、サイヤ人の成長に影響を与えているのではとも言われている。

スーパーファミコンで展開された『Ⅳ~Ⅵ』でのドット絵の繊細さの評価もさることながら、プレイステーションで出た『FF Ⅶ』の、当時としては息を呑むほどのグラフィックが象徴するように、ビジュアルの美麗さもFFシリーズの代名詞となっており、ほかの最新機種で新作が出た時にも、まず画面の美しさでその時代のゲーム好きを魅了し続けている。

取材時、世界的な評価により『FF Ⅶ』の未開封品が9万7000円の値がついていた。ネットではこれより高額になっている事も多い。
取材時、世界的な評価により『FF Ⅶ』の未開封品が9万7000円の値がついていた。ネットではこれより高額になっている事も多い。

最新ナンバリング作の『FF XVI』でもそれは健在だ。FFシリーズは、時代ごとの最新ゲーム機で、フラッグシップとして展開されることが常だが、一方でリメイクされる機会がとても多く、現在スマホでプレイできる作品もあまたあるというのも、長く愛されている理由だろう。

『FF』シリーズはリメイク作品が多彩なのも特徴。リメイク時に新要素が入ることが多いのは見逃せない点だ。
『FF』シリーズはリメイク作品が多彩なのも特徴。リメイク時に新要素が入ることが多いのは見逃せない点だ。

またFFシリーズは、RPGを牽引し続け、世界中にファンがいる作品であるため、『SA・GA』『聖剣伝説』の各シリーズなどの派生作品や、周辺アイテムが数多くある。外に出て、そういったものの中から、思い出深いものを探すのも一興では? FFの思い出を探すことで、新しい何かがきっと見えてくるだろう。

90年代に生まれた傑作群。『FF』の成功を受けてたくさんの作品が生まれた。特にこの時代のスクウェア発RPGは粒揃いである。
90年代に生まれた傑作群。『FF』の成功を受けてたくさんの作品が生まれた。特にこの時代のスクウェア発RPGは粒揃いである。

あれもこれもRPGだったあの時代

1980〜90年代はRPGの時代で、何にでもRPG要素をつけようという流れがあったため「これRPGじゃないよな」というものが少なくない。この話題でよく語られるのが『頭脳戦艦ガル』(デービーソフト)で、アイテム収集というRPG的要素はあるものの、実態はシューティングゲームだった。

またFFと同じスクウェアの『キングスナイト』は「フォーメーションRPG」と銘打たれていたが、これもシューティングだ。別のパターンとして、『ゼロヨンチャンプ』(メディアリング)シリーズはレースゲームなのだが、レース費用を稼ぐミニゲームとしてRPGがプレイできる。このモードの出来がよく、レースよりRPGをやっている時間のほうが長くなり「これレースゲームだよな?」となりがちだった。

RPG華やかなりし頃、それは混沌の時代であり、良くも悪くもアイデアにあふれた時代だったのだ。

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レトロゲームと出合えるのはここ!『レトロげーむキャンプ 秋葉原店』

住所:東京都千代田区外神田3-14-7 新末広ビルC/営業時間:11:00~19:55/定休日:不定/アクセス:JR・地下鉄・つくばエクスプレス秋葉原駅から徒歩4分

取材・文=来栖美憂 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2025年8月号より

RPG(ロールプレイングゲーム)とはなにか? 定義は難しいが、物語があり、主人公が成長していくゲームだと言われている。明確ではなくとも、感覚的に理解されている言葉だろう。RPGというジャンルをメジャーにした『ドラゴンクエスト』(以下ドラクエ)のすごさは、徹底的に「親しみやすく、遊びやすくした」ところに集約される。マニアしか知らない、もっと言えばマニアしか理解できないと思われていたものを、『ドラクエ』は面白さの本質を柔軟に伝えてくれたのだ。それゆえ世界的な支持を獲得し、最新作のナンバリングは11を数えるほどだ。さらに、多くのリメイクや派生作品まで生み出している。ゲーム専用機だけでなくPC、スマホも含めて、実に多くのプラットホームで遊べるようになっているのだ。
「ベルトスクロールアクション」(以下:ベルスク)という名称は聞き慣れないかもしれないが、40~50代のゲーム好きであれば、きっとプレイしたことがあるのでは。右に向かってスクロールする画面を歩いて、ボスなどが待つ目的地を目指していくものだ。
『餓狼伝説』の1作目が登場したのは1991年末。すでに『ストリートファイターⅡ』が大人気となっていたが、格ゲーというジャンルを爆発させるきっかけとなった。特に3作目の『餓狼伝説SPECIAL』(TOP写真)は一般層まで届くヒットに。その後シリーズを重ねていたが、1999年でメインシリーズが止まった。今年(2025年)、26年振りとなる『餓狼伝説City of the Wolves』のリリースが発表され注目を集めている。