ビジュアルの美麗さもFFシリーズの代名詞
RPG(ロールプレイングゲーム)とは、役割(Role)を演じる(Play)するゲーム、ということで、ごっこ遊び的なボードゲームにその起源があるが、それがコンピュータゲームにて展開されはじめたころ、広義に「物語と成長要素があるゲーム」の総称となった。
『ファイナルファンタジー』(以下、FF)シリーズは『ドラゴンクエスト』(以下ドラクエ)シリーズと並び、現在に至るまでRPGの代名詞的な存在と認知されている。
『ドラクエ』は、敵味方順番にコマンドを入れる、いわゆるターン制のバトルシステムを中心に、王道の作りが貫かれてきた。対して『FF』は、『ウィザードリィ』(アスキー等)や、『ファンタジアン』(クリスタルソフト)といった、古典の影響を受け、SF要素はあるものの正統ファンタジー的な雰囲気をベースに、シリーズごとに、世界観やストーリー、ゲームシステムも大きく変わる。
『FF Ⅱ』の、大きなダメージを受けた時などに数値が伸びる成長システムは、かの『ドラゴンボール』における、サイヤ人の成長に影響を与えているのではとも言われている。
スーパーファミコンで展開された『Ⅳ~Ⅵ』でのドット絵の繊細さの評価もさることながら、プレイステーションで出た『FF Ⅶ』の、当時としては息を呑むほどのグラフィックが象徴するように、ビジュアルの美麗さもFFシリーズの代名詞となっており、ほかの最新機種で新作が出た時にも、まず画面の美しさでその時代のゲーム好きを魅了し続けている。
最新ナンバリング作の『FF XVI』でもそれは健在だ。FFシリーズは、時代ごとの最新ゲーム機で、フラッグシップとして展開されることが常だが、一方でリメイクされる機会がとても多く、現在スマホでプレイできる作品もあまたあるというのも、長く愛されている理由だろう。
またFFシリーズは、RPGを牽引し続け、世界中にファンがいる作品であるため、『SA・GA』『聖剣伝説』の各シリーズなどの派生作品や、周辺アイテムが数多くある。外に出て、そういったものの中から、思い出深いものを探すのも一興では? FFの思い出を探すことで、新しい何かがきっと見えてくるだろう。
あれもこれもRPGだったあの時代
1980〜90年代はRPGの時代で、何にでもRPG要素をつけようという流れがあったため「これRPGじゃないよな」というものが少なくない。この話題でよく語られるのが『頭脳戦艦ガル』(デービーソフト)で、アイテム収集というRPG的要素はあるものの、実態はシューティングゲームだった。
またFFと同じスクウェアの『キングスナイト』は「フォーメーションRPG」と銘打たれていたが、これもシューティングだ。別のパターンとして、『ゼロヨンチャンプ』(メディアリング)シリーズはレースゲームなのだが、レース費用を稼ぐミニゲームとしてRPGがプレイできる。このモードの出来がよく、レースよりRPGをやっている時間のほうが長くなり「これレースゲームだよな?」となりがちだった。
RPG華やかなりし頃、それは混沌の時代であり、良くも悪くもアイデアにあふれた時代だったのだ。
レトロゲームと出合えるのはここ!『レトロげーむキャンプ 秋葉原店』
取材・文=来栖美憂 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2025年8月号より







