人間より水分量が多いのだから、酒にして飲みたい
スイカは全体の約95%が水分なんだそうだ。人間の70%に比べるとずいぶんシャバシャバしたやつではないか。夏になると食べたいアイツは、ほぼ飲み物だったというわけだ。けしからん、積極的にハイにしてやる。
全てをハイにするとは?
「全てをハイにする」は「何に焼酎を入れれば美味しいか」を考え、あらゆる食べもの、飲みものを〇〇ハイに仕立てる遊びだ。自粛ムードで殺伐とした買い出しタイムを楽しく乗り切るために生まれ、見事にハマって今に至る。この遊びをはじめれば、コンビニやスーパーにいくのも立派な散歩。身も心もハイに変わる。
「全てをハイにする」の基本ルールは以下である。
ルール①焼酎に入れたら美味しそうなもので割って飲んでみる
ルール②食べ物を粗末にしない
赤子のように大事に抱えて帰還
ハイにしたい衝動は、止められない。「丸ごとスイカハイ」のことで頭がいっぱいになって、次の日には幼児ぐらいの重さはあるスイカを抱え家路を急ぐ私がいた。これに酒を注いでひとり占めできるなんて夢みたいだ。
夢のスイカジュース作り
ザクザクと勢いにまかせて包丁を入れて……
真っ二つに。ジュルジュルと汁が吹き出して、スイカの甘い香りが立ち込める。
果肉をスプーンでくり抜いていく。シャクっと軽快な感触が気持ちよくて、作業は鼻歌まじり。途中、スイカの果肉と皮の境界線問題に直面するも、なんとか乗り切った。
果肉を木べらでつぶして、粗めのざるで濾す。ジューサーが我が家にないので、原始的な方法でアプローチ。
絵がシュールすぎる問題
できた。
できたはいいけれど、写真映えを考えず一心不乱に作った結果、シュールな絵に仕上がってしまった。実は、ここまでの工程で2切れ分くらいのスイカをつまみ食いしたし、飲む手前の時点で満足度90%くらいだった。
焼酎を注ぎ込み、「いざ」とストローに口をつけて吸い込もうとすると、息が詰まった。ストローが細すぎたのだ。急いでコンビニでタピオカドリンクを買ってきて、ストローだけぶっ刺す。
すげぇ、うまい。
汁というよりも蜜に近い甘さで、焼酎ともよく合う。酒好きは焼酎と果汁をハーフにして、氷を溶かしながら、ゆっくり味わうのも良さそうだ。
グラスに移すとおしゃれカクテル
スイカを持ち上げて大盃を飲むようにすすっていたが、厳しくなってきたのでグラスへ移す。なんだか急に小洒落た感じになり、見た目って大事だなと痛感する。
ほら、塩をグラスにつけるとおしゃれカクテル。
アレンジで映えを狙う
見た目のいい「スイカハイ」をひらめき、残りの半分のスイカの汁はゼリーやシャーベットにした。もちろん焼酎入りだ。
カットしたスイカゼリーは、すごくかわいい!
ゼリー&シャーベットでおしゃれな「スイカハイ」の完成
ゼリーの上にシャーベットを乗せてそっと炭酸水を注ぐ。これは、おしゃれなカフェの季節のドリンクにラインナップしていてもいいのではないだろうか。
レモンを絞ると、青っぽいスイカの香りと相まって、さわやかな夏っぽい味わいになった。見た目の可愛らしさのおかげもあり、満足度200%だ。
懐かしさを感じるハイが美味しい
「スカイハイ」をつくる間、部屋には甘くて懐かしい匂いが充満していた。今となっては憧れにも思えるあの頃の夏休みがよぎる。懐かしい味がする「スイカハイ」は、小型のタイムカプセルだ。大人と子どもを行き来するみたい感覚が楽しくなって、酒をガブガブ飲んだ。
大人になれば、自由研究に使うお金も好き放題できる。夏の間に、童心にかえって夢の「〇〇ハイ」にチャレンジしてみるのもいいかもしれない。
<おまけ>
本編には関係ないが、「スイカハイ(西瓜ハイ)」と書くと、文書ソフトに「スカイハイ(sky high)では?」と指摘されまくった。飽き飽きして、記事中に「スカイハイ(sky high)」を1つ紛れこませておいた。ちょっとむしゃくしゃしていた。後悔はしていない。
撮影・文=福井晶