漬けものハイ=完全酒⁉ つまみと酒が一体化したチューハイ
梅干しハイがうまい。一杯目からゴクゴクっと飲めて、途中から梅干しの果肉をつまむ。梅干しハイは酒飲みの完全食ならぬ完全酒だと言えよう。
そういえば、寿司屋のガリが入ったガリチューハイも、大葉のピクルスが入った綱島サワー(横浜市綱島のご当地サワー)も同じことが言えるのではないか。
……ほかの漬けものをハイにするのはどうだろうか。
全てをハイにするとは?
あらゆる食べもの、飲みものをハイにする遊び。その名も「全てをハイにする」は、自粛期間中の買い出しをポップに楽しむためにはじめた。心に焼酎を抱えて「何に焼酎を入れれば美味しいか」を考えながら売り場を徘徊すれば、コンビニやスーパーにいくのも立派な散歩。身も心もハイに変わる。
「全てをハイにする」の基本ルールは以下である。
ルール①焼酎に入れたら美味しそうなもので割って飲んでみる
ルール②食べ物を粗末にしない
これだけだ。
漬けものパーティのはじまり、はじまり
今回、挑戦したのはお野菜系の漬ものたち。他にも試したけど美味しいやつが出来すぎたから、もったいぶって何記事かに分けて紹介する予定だ。デパ地下の漬けもの屋さんで買ったものと、自分で漬けたものをお皿に並べてみた。
夏の定番入りなるか!?「キュウリのぬか漬けハイ」
キュウリを入れた「かっぱ」というチューハイがあるから、キュウリの漬けものは間違いないと思った。「きゅうりのぬか漬けハイ」は青くさい感じが夏に合う。ぬか漬けをぽりぽり食べて、滋味が口いっぱいに広がったらグイッと追いうちをかける。
美味しい、美味しい……。が、味がきれいに馴染みすぎて、もう既にどこかで売っているのでは?と思うほど“知っている”味だった。夏休みにそうめんすすりながら飲みたい一杯である。
安い柴漬けで作るのがうまい「柴漬けハイ」
梅干しハイ的効果を狙った「柴漬けハイ」は、居酒屋でいつメニュー化してもおかしくない仕上がり。個人的に今回紹介する中で一番のお気に入りだ。
しそサワーにつまみが入っているみたい。パリッポリのきゅうりが良きつまみになっていて、酒が進む。もはや酒とつまみの最終形態と言えるのではないか。
さらに後日、「柴漬けハイ」はキュンとくる展開を迎えることになる。お高い漬け物屋で買った柴漬けでハイを作ったところ、味がイマイチだったのだ……。
なぜか、“お徳用”と書かれていて、ケミカルな紫色の柴漬けを使った方が圧倒的に美味しい。というわけで、「柴漬けハイ」は庶民にそっと寄り添ってくれるタイプのハイのようだ。皆さんもお試しの際は、安い柴漬けを汁だくで作ってほしい。
意外にも存在感たっぷり「白菜漬けハイ」
昆布と唐辛子を一緒に漬け込む白菜漬けは、買う時点で勝利を確信していた。昆布の出汁と唐辛子のすっきり感で絶対的にうまい。こちらも数種類試した結果、昆布のだし味が強いものが飲みやすく、発酵し過ぎているものはにおいが少し気になった。
瀬戸内の味がする「玉ねぎのレモン漬けハイ」
守りに入っている感じがしたので、攻めの一手として玉ねぎのレモン漬けを買ってみた。玉ねぎのピクルスにレモンが多めに入っているため、比較的飲みやすそうというのも想像に難くない。
こちらも漬け汁多めでハイを作り、いただく。スッキリし過ぎていて物足りず、胡椒をかけたらすごくしっくりときた。漬けものハイで少しインパクトが薄いと感じたら、胡椒や一味などのスパイスを加えてみるのもいいようだ。
どの「漬けものハイ」も、先っちょがスプーン型になっているマドラーで具をつまみながら飲みたいドリンクだった。
チューハイに取り憑かれているのかもしれない
飲み食いが好きな人間は、だいたい何かにとり憑かれている。彼はカレー、彼女はクリームソーダ、あの子はチャーハン。北に居酒屋のマカロニサラダを探求するものあれば、南に缶チューハイを分析するものあり。ほら、あなたの肩にもあの大好きな食べ物が取り憑いている。
それが、私の場合はチューハイだ。
チューハイ1本槍のこの記事を書きながら、ハイボールやレモンハイみたいな、みんなが「とりあえず、〇〇ハイ」と注文したくなる新定番ハイを探している。覚悟はできている。ミスチルが脳内で鳴っているくらいだから、長い旅になるだろう。
撮影・文=福井 晶