ゲームミュージックが買えるのはここ!
現在と過去がホットにつながっているジャンル
BGMだけでなく、コナミの「バブルシステム」に代表されるような、起動時に独自の音・音楽が設定されているものもあった。夏休みの朝一、ゲーセンに飛び込むと普段聞けないゲームの起動音が聞こえて、ワクワクを感じた人も多いのではなかろうか。
80年代半ばになると、日本音楽史に残るような人物や大物ミュージシャンの参入も始まり、さらなる可能性を提示していった。
さらに90年代には「メディアミックス」が隆盛を迎え、流行のアーティストとのコラボが行われることもあったし、レイブやユーロビートなど、その時代を反映した音楽を積極的に取り入れることもあった。また、ゲームミュージックからの派生で、「ドラマCD」のように、ゲームキャラクターがオリジナルの物語を展開する企画も人気を集め、さらに人々の支持を集めて記憶に残っていった。
進化は今も続いており、令和の今、昭和や平成初期にはCD化しなかったゲームのアルバムが発売されてもいる。現在と過去がホットにつながっているジャンルなのである。
とはいえ、レトロゲームミュージックはCDやLPでは人気があるものの、なかなかメジャーサブスクでは配信されない。だからこそ、わざわざお店に行ってCDやレコードを探す意味は強い。レトロと最新、両方の音との出合いを探しに行ってみては。
ゲームミュージックの可能性の拡大
ゲームミュージックが人口に膾炙(かいしゃ)したきっかけの一つとして、上の項でも取り上げた『ビデオ・ゲーム・ミュージック』の発売に続いて、『ドラゴンクエスト』の音楽が交響組曲として発表されたこともあるのではないだろうか。
もちろん、ファミコン版の音もすばらしいのだが、作曲者すぎやまこういち氏自らの手で改めて編曲された交響曲は「本当はこういう音が鳴っていたのか!」と、音の行間とでも言うべきものを感じさせる力があった。
その後も新しいゲームミュージックは生まれ続けている訳だが、一方のレトロゲーム音楽も2020年代になってもリマスター版、リミックス版、また再演奏版といったような、さまざまなアプローチによって尽きることなく発表されているのだ。
ゲームミュージックは今まさに「古くて新しい」ものになっているのである。
取材・文=来栖美憂 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2025年1月号より