元たこ焼き屋がハマった“三軒蛸屋”

大阪のオバちゃんの家庭の味『立呑 たこ焼き なんば』

『なんば』のたこ焼き4個350円~とガリチュー600円。この日はソースと塩を1つずつ。
『なんば』のたこ焼き4個350円~とガリチュー600円。この日はソースと塩を1つずつ。
どて焼き250円〜。
どて焼き250円〜。
昭美ママ(右)とスタッフめぐさん。二人のトークがまた楽しい。
昭美ママ(右)とスタッフめぐさん。二人のトークがまた楽しい。

「ウチのつまみは、我が家の家庭の味」と、昭美ママ。銅板で焼かれた小ぶりなたこ焼きは、熱さを恐れずひと口で。こってりソースとそれを引き立てる出汁の芳香に、甘酸っぱいガリが合う。ガリチュウも流し込めばさらにサッパリ。次のひと口、進みまくりさ!

19:00~翌1:00(土は17:00~、日は17:00~23:00)、火休。
☎なし

酒飲みの舌に直撃する仕上がり!『三軒茶屋 天風』

黒七味醬油800円。辛味が後を引く。
黒七味醬油800円。辛味が後を引く。
爆速で焼くせいやさんの手際に魅せられる。
爆速で焼くせいやさんの手際に魅せられる。

「ウチのたこ焼き、いっちゃん旨いと思うんす」と、スタッフのせいやさん。セルフサービスのハイボールを注いで待っていると、フワフワのアツアツがお目見えした。舌の上にのせれば薄皮が溶けてトロトロが炸裂。出汁の風味と黒七味醤油の相性たるや。困るよ、酒が進みすぎる。

19:00~翌3:00、無休。
☎03-6804-0550

もはや飲むように食べられる『たこはる』

たこ焼きは5個275円〜と、つまみとしてのコスパも良すぎる。
たこ焼きは5個275円〜と、つまみとしてのコスパも良すぎる。
ダイスケさん。
ダイスケさん。

「いろいろな人の助言を咀嚼(そしゃく)しつつ、シンプルに仕上げました」と、店長のダイスケさん。焼きたてを箸でつまめば、とろけて落ちそうな柔らかさ。口の中に小籠包のごときアツアツのタネがドバ! 熱い! でも出汁の風味をしっかり感じられ、ハマるやつ。

17:00~翌2:00(金・土・祝前日は~翌5:00)、日休。
☎03-5432-0876

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もしや三茶って、関西人が多いのか?

10年ほど前、たこ焼き酒場を任されていたことがある。来る日も来る日もたこ焼きを焼いていたから、地平線から転がってくる巨大なたこ焼きに押しつぶされる夢を毎晩見ていたもんさ。たこ焼き屋を見ると、そんな日々を思い出して懐かしくなる。で、三茶のたこ焼き屋密集具合を見て、妙にテンションが上がったわけ。

『元祖どないや』はいつも誰か外飲みしてる。
『元祖どないや』はいつも誰か外飲みしてる。

「僕が三茶に住んだのはここ1年だから分からんけど、オープンした頃はほとんどなかったらしいっすよ」とは『天風』のせいやさんだ。店自体はオーナーが2014年前に代官山で創業し、三軒茶屋店は2020年にオープンした。

そういや『なんば』の昭美ママも「ウチがオープンした後、ポツポツ増えたなあ」と言っていた。『なんば』のオープンは2019年。たこ焼き屋が増えたのは本当にここ数年の話なんだ!

こじゃれた『LAFF BAR&KITCHEN』。
こじゃれた『LAFF BAR&KITCHEN』。

それにしてもにぎやかだ。よくよく耳を傾ければ、関西弁の客が多いこと。

「私がコテコテの関西弁だから、みんな『故郷の言葉でしゃべれる』って喜ぶの」とママ。地元感に引き寄せられて関西人が集まってるというわけか。もしや三茶って、関西人が多いのか?

「そうかも」とは、『たこはる』のダイスケさん。彼自身は関東出身だ。

「お客さんから、『関西人はなぜか三茶に集う』と聞いたことがある。街の風情が似てるのかもしれないですね」

「たこ焼」ののれんが目を引く『アジア屋台FU』。
「たこ焼」ののれんが目を引く『アジア屋台FU』。

隣の客と肩がぶつかるほど狭い店がそこかしこにある。それが関西の立ち飲み文化に通じるのかもしれない。

まあ、「たこ焼きだらけ」の謎は解けなかったが、「たこ焼きの似合う街」だということは、分かった気がする。しかも、どこも激ウマだから「たこ焼き天国」と言っても過言ではあるまい。

三茶に降り立ったら、たこ焼きで一杯。これは間違いない飲み方ですぜ。

『たこ益』は臨時閉店の貼り紙がオモロイ。
『たこ益』は臨時閉店の貼り紙がオモロイ。

取材・文・撮影=どてらい堂
『散歩の達人』2025年1月号より