まるでニューヨークの街角にあるようなカフェレストラン

JR恵比寿駅西口を出て、恵比寿ガーデンプレイス方面に歩いてみる。「アトレ恵比寿」を越えたあたりはなだらかだった坂が急になってきて、次の1歩が踏み出しにくい。筆者は坂の上のゴールだけを見つめて重い足をなんとか踏み出しているのに、学生とおぼしき青年たちが、ポケットに手を突っ込みながら軽々と追い越していった。その姿を恨めしく見送りながら、筋トレ強化を決意する。はて、これは今年何度目だっけ?

それにしても喉が渇いた。坂道から左に折れて横道に入ると、オシャレなカフェレストラン『CAFE GITANE』が目に入った。

この店の一角は、まるで欧米のどこかの国のようだ。
この店の一角は、まるで欧米のどこかの国のようだ。

店頭のメニューを見ると食事もあるが、カフェとしての利用もできそうなのでここで休むことにしよう。ホームページによれば『CAFE GITANE』の本店はニューヨークのダウンタウン・ノリータ地区にあるそうだ。

入り口でむかえてくれたスタッフさんが、「1994年にオープンした本店は、ニューヨークで初めてアボカドトーストを提供したカフェレストランとして知られているんですよ。この店もそのスタイルを踏襲しているカフェレストランです。昼間は自然光がたっぷり注ぎ込む店内でアボカドトーストやパンケーキなどを召し上がっていただけるカフェタイムが楽しめ、夕方からは多国籍の要素が入り混じるニューヨークならではの欧米料理を召し上がれます。お酒を豊富に取り揃えているので、バーとしてご利用される方もいます」と、教えてくれた。

入り口を入ってすぐのところにはバーカウンターがある。
入り口を入ってすぐのところにはバーカウンターがある。
アンティークに囲まれた店内に、レトロなレジスターがなじんでいる。
アンティークに囲まれた店内に、レトロなレジスターがなじんでいる。

本店の雰囲気を東京でもそのまま体感できるよう、欧米から輸入したインテリアを配置している。レトロながら上品さも併せ持つ雰囲気で、とても心地よい。

ゆったりと座れるソファ席。
ゆったりと座れるソファ席。

アボカドが1個以上のったアボカドトーストをワインとともにいただこう

オーダーするなら、先ほど話を伺ったアボカドトースト1200円でしょう! 恵比寿にいながらニューヨークの風を感じたい。

ニューヨークでカフェというのはお酒がつきもので、昼間でも食事と一緒にお酒を飲むのは日常のこと。「アボカドトーストにはコーヒーや紅茶などにも合いますが、ワインを合わせるのがおすすめです」と、スタッフさんがこの日のおすすめから白ワインを選んでくれた。

オリジナルのライ麦パンの上になめらかな舌ざわりのアボカドペーストがたっぷり! 
オリジナルのライ麦パンの上になめらかな舌ざわりのアボカドペーストがたっぷり! 

パンは市販されている食パンの4枚切りくらいの分厚さで、ライ麦と全粒粉を混ぜ込んで焼いたオリジナルだ。また、アボカドをスライスではなくペースト状につぶしているのがこの店のこだわりで、アボカドは店でつぶして塩とライムだけで味付け、その上からかけたチリフレークがアクセントになっている。

サクッとした耳の部分は、ライ麦や雑穀がローストされていて香ばしい!
サクッとした耳の部分は、ライ麦や雑穀がローストされていて香ばしい!

一口大に切って食べてみると、アボカドのクリーミーでナッツのような味わいの中に、ライムの爽やかな香りと酸味がある。加えて、しっかりローストされているパンの耳の香ばしさがアボカドのペーストと相まってあとをひくおいしさだ。時折感じるチリフレークの香りと辛味が絶妙で、こうした多彩な味の層が幾重にも重なっているから噛み締めるほどに味わい深い。

また、風味豊かなアボカドトーストと、繊細な味わいながらボディがしっかりとした白ワインとの相性もいい! みっちり&むっちりとしたパンだったこともあり、完食するとまずまずの満足感。いや〜、おいしかった!

卵と牛乳のピュアな味! もっちりとしたクラシックプリン

アボカドトーストに満足したものの筆者の満腹ゲージはまだ6割程度。あと2割くらいはいけそうだ。というわけで、デザートからクラシックプリン900円をオーダーした。

運ばれてきたクラシックプリンは、カクテルグラスにちょこんと盛り付けられ、巻貝のようなホイップクリームがON。真っ赤なチェリーがベレー帽のようでなんだか銀幕のスターみたい。お店の雰囲気にぴったりだ!

アンティークで揃えられた店内にマッチするクラシックプリン。
アンティークで揃えられた店内にマッチするクラシックプリン。

クラシックプリンは、黄身の濃い山梨県の『黒富士農場』の平飼い鶏の卵と牛乳、砂糖、バニラエッセンスだけで作った卵液を型に流し、蒸し焼きにしている。

頂上にのったチェリーはあとで食べるので、そっと受け皿の端に置きスプーンをプリンに差し込んだ。すぐに跳ね返ってくるような弾力があり、この時点で筆者の“好き”は確定した。

甘酸っぱいチェリー、筆者は最後に食べる派です。
甘酸っぱいチェリー、筆者は最後に食べる派です。

もっちりとした固めの食感で、卵や牛乳のピュアな味わいがダイレクトに伝わる。ほろ苦いカラメルとホイップクリームが溶け合って、こりゃいいですね。最後にチェリーをゆっくり味わい、甘酢っぱさで口の中をリセットした。

急な坂道を頑張って上った先で見つけたご褒美的カフェ。恵比寿の新しい散歩ルートを開拓できた。帰りに見送ってくれたスタッフさんが「混雑していることが多いので、事前に予約したほうが確実ですよ」と言っていたから注意しよう。次に来たときは何を食べようかな、と考えながら帰路に着いた。

住所:東京都渋谷区恵比寿南1 -16-11 ABC WACOビル1F/営業時間:11:00〜22:30LO(ランチは~16:00LO、カフェは~17:00LO)※土・日・祝はカフェ営業なし/定休日:無/アクセス:JR・地下鉄恵比寿駅から徒歩4分

取材・文・撮影=パンチ広沢