揚げ蒲鉾、おでん、お総菜など多彩な商品が魅力の『蒲重蒲鉾店』

昭和11年(1936)創業なので、90年近い歴史がある。3代目となる太田泰司さんが中心となりながら、高品質でおいしい練り物をつくり続けている。

『蒲重蒲鉾店』の魅力は数え切れないが、商品が豊富なことに注目したい。揚げ蒲鉾はもちろん、できたてのおでんやお総菜が揃い、それぞれたくさん種類がある。

揚げ蒲鉾はお店の中央に並べられており、揚げたてのものも多い。季節によってつくられる限定品もあり、訪れるたびに新たな発見がある。ほかのお店ではあまり見かけないゴーヤやミニトマトなどの変わり種もある。

できたてのおでんは通常鍋がふたつ並んでいるが、夏場になると鍋がひとつになる。それでもたくさんの種類が選べ、どれにしようか迷ってしまう。ロールキャベツや袋づめなどボリュームたっぷりのおでん種も魅力だが、今では希少になった手づくりのはんぺんや魚のすじを選んでもいいだろう。

さて、今回はお店の端で売られているところてんに注目したい。国産の天草(てんぐさ)を使用し、『蒲重蒲鉾店』で手づくりしているこだわりの商品だ。購入すると1本ずつ天突きを使って突き出してくれるが、リクエストすれば突き出していない状態でも販売してくれる。なお、1本で1人前となる。

ところてんに合わせるおつゆは黒蜜と酢醤油の2種類を揃えているので、関西風にも関東風にも仕上げることができる。また、『蒲重蒲鉾店』のInstagram(kamaju_offcial)ではところてんを使ったアレンジレシピを紹介している。フルーツを使ったスイーツが中心で、どれも華やかで美しい。夏休みにお子さんと一緒につくってみると楽しいだろう。

そのままでも、アレンジしてもおいしい『蒲重蒲鉾店』のところてん

ここからは実際にところてんを調理していこう。まずは酢醤油をかけてスタンダードに味わってみる。

ところてんを冷蔵庫で十分に冷やしたら、食べる直前に笊(ざる)で水気を切ろう。器に盛り付けたら、酢醤油を適量振りかける。ゴマや刻み海苔をかけると豊かな風味がプラスされる。半透明の外観と冷たい食感は涼味が感じられ、ぷりぷりとした弾力も心地よい。酢醤油のさっぱりとした酸味も食欲を刺激し、これぞ夏の風物詩といった感じだ。

次に『蒲重蒲鉾店』のアレンジレシピのなかから「九龍球(クーロンキュウ)ゼリー」をつくってみたいと思う。香港発祥のスイーツで、色とりどりのフルーツを入れた球状のところてんとサイダーの組み合わせとなる。

用意するものは以下となる。1本のところてんで2人前ほどつくれる。

  • ところてん:1本
  • 砂糖:大さじ2杯
  • 水:150ml
  • フルーツ:オレンジ、さくらんぼ、キウイ、スイカなど。缶詰でもOK
  • サイダー:1瓶(缶)

『蒲重蒲鉾店』のところてんレシピでよく用いているのが「ラカントS」という甘味料だ。植物由来のゼロカロリーで、ウリ科の植物「羅漢果(ラカンカ)」のエキス、とうもろこし由来のブドウ糖を発酵した甘味成分「エリスリトール」の2つが原料となる。

ところてんを球状に仕上げるためには専用の製氷皿を用いる。ダイソーでは大中小の3サイズが揃うが、今回の場合は小サイズが適切だろう。

まず、水に砂糖を入れて溶かし、ところてんと一緒に鍋で煮る。沸騰すればすっかり溶けるので、火を止めてコンロから外そう。

粗熱が取れるまで鍋を放置する。急いでいる場合は冷水を入れたボウルに鍋ごとさらすといい。ただし、冷やしすぎには注意が必要だ。

粗熱を取っている間に製氷皿に好みのフルーツを入れておく。種類ごとに分けてもいいし、混ぜてもいい。完成を想像しながら家族でわいわい作業しても楽しいだろう。

粗熱が取れたところてんを製氷皿に注ぐ。スプーンや玉杓子を使うとフルーツが崩れにくい。
あとは製氷皿の蓋をして、冷蔵庫にしばらく入れておく。蓋にあふれたところてんはそのままにしても問題ない。固まればつるりときれいに取れる。

ところてんが固まったら器に盛り付け、上からサイダーを注ぐ。スパークリングワインを使用して、大人向けにしてもいいだろう。見た目よりも甘さは控えめなので、砂糖の量を調節してもいい。

このほかにも『蒲重蒲鉾店』のInstagramにはところてんを利用したレシピが投稿されているので、フォローして挑戦してみてほしい。また、ところてんを購入する際は阿佐谷七夕まつりを狙って訪れるのもいいだろう。2024年は8月7日(水)から12日(月)に開催する予定だ(『蒲重蒲鉾店』は水曜日が定休日)。

『蒲重蒲鉾店』の基本情報

蒲重蒲鉾店
〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南1-47-10
03-3311-3543
定休日:水
営業時間:9:00~19:30

取材・文・撮影=東京おでんだね