地球人も入店できる!怪獣たちの憩いの酒場
入店時にジャミラの“真実の口”で地球防衛隊員ではないかをチェックされる。筆者はなんとかクリアし、入店できたが、地球防衛隊関係者(?)は注意が必要だ。
店内に入ると、店の中央には店名の由来となっている蒸溜窯(ポットスチル)。そして壁一面の怪獣フィギュアとレリーフ、店長のメフィラス星人のステンドグラスに感動する。
「当店は川崎にある『怪獣酒場』の2号店として2017年5月にオープンしました。怪獣酒場は、ヒーローにこてんぱんにされるウルトラ怪獣たちが、次なる悪巧みのために夜な夜な憂さを晴らし、気力を養うところです」と教えてくれたのは地球人向けの営業時にお店を任されている矢野和人さん。
テーブル席が並ぶ店内はマニアックな怪獣関連グッズが満載だが、照明も抑え気味で、全体に落ち着いた空間となっている。怪獣に興味のない人と来ても大丈夫そうな雰囲気だ。
料理もこだわり満載!怪獣モチーフのオリジナルメニュー
「深夜の時間帯は怪獣専用に営業しているんですが、それ以外の時間帯の一部を地球人へ開放して居酒屋として営業しています。地球人向けの営業時間には怪獣はいませんが、怪獣グッズに囲まれた空間で、こだわりの料理とお酒を楽しんでいただけます」と矢野さん。一部のメニューは怪獣たちが考案したものだそうで、料理には自信があるようだ。
矢野さんにおすすめメニューを伺うと、バルタン星人の「白色破壊光線カルパッチョ〜季節の白身魚」1375円と、バルタン星人考案「漬け込み果実ハイボール」748円を教えてくれたので早速注文。
壁に飾ってある怪獣フィギュアを眺めながら待っていると、ほどなく漬け込み果実ハイボールがテーブルに届く。
一口いただくと、レモンの酸味とオレンジのほのかな甘みが口の中に広がり、さらに炭酸の刺激が果実の風味を際立たせる。怪獣たちが蒸溜した(?)ウイスキーの香りも楽しめる本格的な一杯だ。
少し待つとバルタン星人の「白色破壊光線カルパッチョ〜季節の白身魚」がテーブルに出された。その白い器を見た途端、思わずニコリ。なんとバルタン星人のハサミ! 怪獣好きなら感涙ものだ。
特製ソースをかけて完成したカルパッチョをいただくと、レモンの風味と酸味が効いた特製香味野菜ドレッシングと大根とヨーグルトのソースが相まって、刺し身の旨味を引き立てている。さらに新鮮野菜のシャキシャキ食感もいい。矢野さんがすすめるのが納得できる、遊び心と味へのこだわりがバランス良く詰まった一皿だ。
怪獣マニアだけではない!普段使いにもおすすめの酒場
矢野さんにもう一品おすすめしてもらったのが、グドンも歓喜!「特製ツインテールカツサンド」1738円だ。こちらは、かなりマニアックな映え系メニューのよう。期待して待つ。
テーブルに出されたメニューを見て、またもニヤリ。たしかに古代怪獣ツインテールだ。2本まとめてフライにしたエビをカツサンドにしてある。頭はかぼちゃのサラダ。天敵である地底怪獣グドンもよろこびそうなビジュアルだ。
かわいいビジュアルなので、ちょっと罪悪感を覚えながら一口いただくと、サクサクの衣としっとりとしたパン、そして2尾分のしっかりとしたエビの旨味を味わうことができる。見た目はかわいい系だが、こちらも味へのこだわりを感じる一品だ。
「怪獣好きの人だけではなく、幅広い年齢層のお客さんに来ていただいています。女性のお客さんも多いんですよ」と矢野さん。蒸溜所を名乗るだけあってドリンクの種類も豊富で、特にハイボールが充実している。
こだわりのメニューは、ウルトラ怪獣が大好きなスタッフが楽しみながら考案しているそうで、マニアックな怪獣ネタも多い。お店にいると怪獣への強い愛情が伝わってくる。
正義のヒーローと戦って疲れた怪獣のための癒やしスポットは、毎日会社で働き、翌日への活力として帰りに一杯、という人なら共感できるだろう。
それだけではなく、充実のフードとドリンク、新橋駅の改札からすぐというアクセスの良さ、遊び心と妥協のない味へのこだわりは、怪獣マニアだけでなく、多くの人が満足できるお店だ。居酒屋の聖地新橋に、また1軒、通い続けたくなる酒場を見つけた幸せを感じながら、次回こそはメフィラス星人に会いたいという思いを胸にお店を後にした。
(C)円谷プロ
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=羽牟克郎