いざ、キユーピーの見学施設『マヨテラス』へ!
マヨネーズがスペイン生まれで、2025年には日本での発売100周年を迎えるのを知っている人はどれくらいいるだろうか。多大な恩恵を受けているのに、私たちはマヨネーズのことをあまりにも知らないのでは? そんな自責の念を軽ーく抱きつつ、キユーピーの見学施設『マヨテラス』に足を踏み入れる(ちなみに「キューピー」ではなく「キユーピー」。マヨラーは心するように)。
この地にはかつて戦後初のマヨネーズ工場があったが、2013年に商品開発などを担う場として生まれ変わり、その一角に『マヨテラス』も設けられた。
「旧工場の見学は人気があり『再開して』という声が多かった。私たちにとっても、お客さまと直接触れ合える場は貴重です」と、広報担当の村居綾子さん。
まずはギャラリーでキユーピーの歴史を学ぶ。創始者の中島董一郎(なかしまとういちろう)が国の海外実業練習生として米国留学中、マヨネーズに出合いその味に感動。大正14年(1925)に日本での商品化を実現させた。妖精がモデルの米国発人気キャラクター「キューピー」を商品名にしたのも中島の強い意向だったという。
施設の目玉がマヨネーズの容器を50万倍に拡大したマヨネーズドーム。不思議の国に迷い込んだアリスの気分で、星型の注ぎ口からドーム内に入る。
コミュニケーターのみなさんによれば、容器自体にも鮮度をキープできる秘密があるそう。日本人らしい創意工夫をぜひ知ってほしい。
工場見学の雰囲気が味わえるファクトリーウォークでは、ズラリと並んだ割卵機の映像が見られる。目にも止まらぬ早業に驚嘆するのは見学の醍醐味だ。
キッチンではキユーピーの黄金比で作られたポテトサラダを試食しつつ、裏ワザレシピの数々を伝授してもらう。
帰宅するやゆで卵を作り、おみやげにいただいたマヨネーズをたっぷりのせた。フランスでは「ウフマヨ」と呼ばれる立派な前菜を、手軽に頬張れる幸せ。
「知ること」を通じて私のマヨネーズ愛はさらに深まったのだった。
さらに深掘り、マヨネーズ秘話
卵の黄身が取り持つ酢と油の仲
マヨネーズの主原料は卵、酢、植物油だが、酢と油は本来分離するもの。この2つをつなぐのが卵の役割だ。黄身の中にある成分の働きで乳化し、独特のなめらかさや、油っぽさを感じさせない食感となる。
現地で味わいたい、変わり種マヨ
キユーピーのマヨネーズは1982年から海外に進出し、現在、62もの国と地域で販売されている。各国の食文化に合わせ、中国では甘いタイプ、ベトナムではマヨネーズとスイートチリソースが同時に出るツインパックなど、味わいも多彩だ。
瓶からチューブへ華麗なる変身
初代は瓶で販売されていたが、1958年にスタンド式のチューブが登場。使い勝手が良いと一気に広まった。チューブは鮮度を維持できる多層構造で、収納は冷蔵庫のポケットがベスト。逆さに立てると最後まできれいに使いきれる。
まるで魔法の簡単裏ワザレシピ
ハンバーグがジューシーに
挽き肉の5%量のマヨネーズを肉だねに混ぜ込んでおくと、乳化された植物油がタンパク質の結びつきを和らげ、食感を良くしてくれる。
手軽にパラパラチャーハン
油をマヨネーズに代えるだけ。ご飯の1粒1粒がコーティングされてパラっと仕上がる。最初にごはんとマヨネーズを混ぜておくとより簡単に。
ホットケーキもふんわりと
ホットケーキミックスに卵、牛乳と一緒にマヨネーズを混ぜて焼くと、生地が膨らみやすく、柔らかに。裏面を焼く時には蓋をしてみて。
こんなグッズもあるよ!
『マヨテラス』施設詳細
取材・文=平野かおり 撮影=丸毛透
『散歩の達人』2024年4月号より