「神宮」に祀られるのはどんな神様?

ひとくちに神社といっても、「◯◯神社」というものだけでなく「◯◯神宮」や「◯◯大社」と呼ばれる場所もあります。

これらを「社号」と言いますが、そこにはどういった意味があるのでしょう。

明治神宮の巨大な鳥居。
明治神宮の巨大な鳥居。

まず「神宮」について。東京の方であれば明治神宮は、なじみ深いのではないでしょうか。

その他にも茨城の鹿島神宮や、千葉の香取神宮などがあります。

これら「神宮」のつく神社は“天皇や皇室の祖先を祀っている神社”です。

例えば、明治神宮であれば明治天皇、京都の平安神宮は桓武天皇や孝明天皇をご祭神として祀っています。

ちなみに、前に何もつけずに、単に「神宮」という場合は伊勢神宮のことを意味します。伊勢神宮には天照大神(アマテラスオオミカミ)で、日本神話に登場する神様ですが、天皇家の祖先とされています。

ちなみに東京大神宮は、伊勢神宮に祀られる天照大神などの分霊を祀っている神社です。

阿佐ケ谷の神明宮も伊勢神宮の神様を分霊している。
阿佐ケ谷の神明宮も伊勢神宮の神様を分霊している。

明治時代までは神社は国が管理していたため、神宮を名乗るには国(天皇陛下)の特別な許可が必要でした。

戦後になってその制度は廃止されましたが、それでも神宮を名乗るには神社本庁の特別な許可がいるため、ここ約80年で神宮に改称できた神社は、

・北海道神宮(旧札幌神社)
・伊奘諾(いざなぎ)神宮(旧伊奘諾神社、兵庫県)
・英彦山(ひこさん)神宮(旧英彦山神社、福岡県)

わずか3社しかありません。

とはいえ、神社本庁に属さない神社もあり、その中に神宮を冠するところもあります。

全国に24しかない貴重な「大社」

次に「◯◯大社」について。一番に思い浮かぶのは島根県の出雲大社ではないでしょうか。およそ80年前までは、出雲大社のみが「大社」を名乗ることができていました。

その後、長野の諏訪大社や福岡の宗像大社など、全国からたくさんの人がお参りに訪れる格式の高い神社も「大社」と呼ばれるようになっていきましたが、現在でも全国に24社しか存在しません。

諏訪大社はしめ縄の太さからも存在感を感じられる。
諏訪大社はしめ縄の太さからも存在感を感じられる。
木々に囲まれる諏訪大社の下社春宮。
木々に囲まれる諏訪大社の下社春宮。

神宮は祀られる神様によってその社号が定められましたが、大社は神社の「格」を表すものなので、祀られる神様のタイプは限定されません。

例えば、諏訪大社であれば建御名方神(タケミナカタノカミ)など、春日大社には武甕槌命(タケミカヅチノオ)などが祀られ、いずれも日本神話に登場する神様です。

日本神話というと難しいイメージがあるかもしれません。ですが、お出かけしようと思っている神社に祀られる神様の登場する部分だけでも、現代語訳で読んでみると、神様のキャラが見えてきて楽しいですよ!

日本一数が多い「八幡宮」!

八幡神社の総本宮である大分の宇佐神宮。
八幡神社の総本宮である大分の宇佐神宮。

神社の中でもっとも数が多いのが「八幡宮」で全国に4万4千社あるとされています。日本人の生活の一番身近にあると言ってもいいのではないでしょうか。

関東の方なら鎌倉の鶴岡八幡宮、関西の方なら京都の石清水八幡宮を思い出す方が多いでしょう。

八幡宮という神社は、基本的に祀られる神様が決まっています。ご祭神は八幡神と呼ばれ、応神天皇を中心としてその母である神功皇后、そして所縁ある比売神(ヒメガミ:神道における女神の総称)が祀られていることがほとんどです。

筆者は、八幡宮を見たら「お、応神親子の神社だ」と反応しています。

福岡の宇美八幡宮は応神天皇生誕の地。
福岡の宇美八幡宮は応神天皇生誕の地。

ご利益は勝負運。

数々の戦を勝ち抜いた武将の源義家が、石清水八幡宮で成人の儀式を行ったり、鶴岡八幡宮は日本で初めての武士の政権を作った源頼朝ゆかりの神社になっています。

ここからもわかるように、古くから武運の神様として信仰された八幡宮は、それが転じて現代ではさまざまな勝負事にご利益があると考えられているのです。

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今回は「神宮」「大社」「八幡宮」についてご解説しました。しかし、仏教伝来以前から続く神道の裾野は広く、これだけでは網羅できていないため、解説は【後編】に続きます。

後編では、天満宮や稲荷神社に関する解説です。お楽しみに!

日本にはおよそ8万8千もの神社があるとされています。その数はコンビニやお寺よりも多く、初詣・七五三・合格祈願でお参りに出かけたり、旅やお散歩で立ち寄ることもあるでしょう。それだけ私たちに身近な神社ですが、種類については知らない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、神社の格や種類について”超簡単”に解説いたします!【前編】では「神宮」「大社」「八幡宮」について解説しましたが、今回はその続き。

写真・文=Mr.tsubaking