立川で過ごすラグジュアリーな時間
笑顔のスタッフが爽やかに出迎えてくれる『MOTHERS ORIENTAL』は、立川駅の北口から歩くこと約5分、地元民に愛されるシネコン『シネマシティ』のすぐ横にある。
同店は立川をはじめ全国に20店舗以上のレストランを展開するMOTHERSグループの3号店目として、2005年にオープン。ベテランの職人が作るピザやパスタ、前菜やデザートなど、本格的なイタリアンを気軽に食べられるレストランだ。
外からの光がたっぷりと入る店内は、ラグジュアリーさとカジュアルさが心地よく混在している。ソファー席やテーブル席をはじめ、店内を見渡せる中2階の席、落ち着いて過ごせる個室席などさまざまなタイプの席があり、幅広いシチュエーションで利用できる。晴れた日には、店の前のテラス席でのんびりと食事を楽しむのもよいだろう。
大きな窯で焼き上げる本格ナポリピッツァ
2021年に店舗をリニューアルして以来、店に堂々と鎮座しているのがイタリア製の薪窯だ。窯に薪をくべて高温で焼き上げる本格的なナポリピッツァは、できたてはもちろんのこと、おしゃべりに夢中になって冷めてしまっても、味や食感を損ねずクオリティを保ったまま。そのため、ピザのテイクアウトも好評だ。
テーブル席からは、オープンなキッチンで職人がピザを作る様子を見ることができる。熟練の技術で生地を伸ばし、盛り付けし……と、手際よくピザが作られていく。
赤々と炎が燃える窯の中は、450度以上の高温になる。窯に入れてからピザが焼き上がるまでの時間は、わずか1分半ほど。おいしいピザをスピーディーに提供できるのも店の強みのひとつ。そのため映画までの待ち時間に、さっとピザを食べるに来る人もいるのだとか。
パスタや一品料理など豊富な料理を展開する同店だが、やはりピザ目当てで訪れる人は多い。今回オーダーしたのは、マルゲリータの一種で、通常のマルゲリータよりもスペシャルな味わいが楽しめるというMargherita D.O.C.(マルゲリータD.O.C.)だ。
D.O.C.とはイタリアで定められている食料品の原産地認定のこと。D.O.C.が名前についたピザは、厳しい審査をクリアした“マルゲリータの中のマルゲリータ”という証拠だ。そのため、Margherita D.O.C.にはイタリアのカンパーニア州で生産されたエクストラバージンオリーブオイルやフレッシュトマト、バジルなど選りすぐりの食材が使われている。
また、このピザの最たる特徴はチーズ。水牛のミルクから作ったチーズを使っているため、栄養価も高くな
ピザと組み合わせて楽しむ料理としておすすめなのが、店自慢の生ハムだ。本場イタリアでは生ハムとパンを一緒に食べるのが主流だが、その感覚と同じく、ピザの耳の部分をハムで包んで一緒に食べるという“合わせ技”を楽しむ人も多いそう。オーダーが入ってから店内の専用スライサーでスライスする生ハムは、前菜やおつまみにもぴったりだ。
ほんのりとした甘さと塩味があるスペイン産の生ハムは、メニューにある生ハムの中では最もオーソドックスな味わいで万人受けする一品だ。どんな料理とも合わせやすくクセやパンチが少ないため食べやすい。
生ハムが熟成されたときの甘みやほのかな塩味など、自然で繊細な味わいを楽しめるようにと、注文された料理の中で最初に提供するのが店のこだわりだ。また、スライスするときの厚さにもこだわり、塩気が強すぎることなく、最後までおいしく食べられるよう仕上げている。
デザートとアルコールで大人のカフェタイム
ランチやディナーだけではなく、カフェ利用にも適している同店。特に平日の14~17時は1000円でドリンクとドルチェ1品が楽しめるハッピーアワーを開催しているので、利用するのもいいだろう。
この日は、半熟フロマージュとレモンとティーベリーのサングリアをチョイスした。白ワインベースのサングリアは、レモンの爽やかな酸味とベリーの繊細な甘味と酸味を組み合わせた夏らしさを感じられる一杯だ。サングリアは季節によってフルーツが変わるので、それも楽しみのひとつ。
半熟フロマージュは、グラナパダーノをはじめ、
フロマージュの生地は、“半熟”の名のとおり口の中で溶けていくほどなめらか。4種類のチーズを使っているのに重たさは全くなく、チーズの旨味が詰まっていながら、後味がさっぱりとしているから不思議。削りたてのパルミジャーノ・レッジャーノも、ふわふわとした楽しい食感だ。
甘さ控えめの大人な味わいで、サングリアとの相性はバッチリ。たまにはアルコールで大人のカフェタイムはいかがだろう。
また、時間が経ってくると店内の雰囲気がなんとなく変わっていることに気がつく。その理由は照明だ。昼間は明るい店内だが、時間帯やお客さんの雰囲気に合わせて照明を徐々に落としていくという。そんなさりげなく、細かなホスピタリティも居心地のよさを演出しているのだろう。おいしい料理が食べたいとき、大切な人と時間を共有したいとき。『MOTHERS ORIENTAL』は、日常のいろんなシーンで立ち寄りたくなる店だ。
取材・文・撮影=稲垣恵美