春から夏は虹に出合いやすい季節
日差しの力が強まり暖かくなるこの時季は、『さんたつ』ユーザーの多い首都圏など太平洋側の地域で、虹に出合えるチャンスが増える季節です。
植物や天候の変化をもとに季節の歩みを知らせる七十二候にも「虹始見(にじはじめてあらわる)」(意味:春の雨上がりに冬には見られなかった虹が初めて空に現れる頃)という暦があり、2024年は4月14日に迎えました。虹といえば、雨が上がった後に晴れると見られるイメージがありますよね。
虹が出るための条件は「空気中に雨粒などの水滴があること」と「太陽の日差しがあること」です。
太陽の光は透明に見えますが、実はさまざまな色が混ざっていて、それぞれの色は波長によって屈折率が違っています。雨粒などの水滴に太陽の光が当たって屈折すると、混ざり合っていた色が分かれて、カラフルに見えるようになるのです。
「雨」と「日差し」、この2つの条件がよくそろうのが春から夏です。晴れて乾燥した日が続く冬や秋に比べて、虹と出合う機会が増えると考えられます。
気象レーダーを活用!虹チャンスをねらおう!
虹はなかなか見られない貴重なものだからこそ、見えたら幸運だと思われる人が多いかもしれないですが、実はちょっとしたコツを知っておけば、お散歩中に虹が見える確率はぐっと高まります。
虹を見るためには、まずは天気予報をチェックしましょう。雨が日中のうちに止んで、その後、晴れ間がありそうなときはチャンスです。
特に、一時的に雨が降って、またすぐに晴れる「にわか雨」の時はねらい目です(ただし、雷雨や大雨のように危険な天気の日は、外に出ることは避けてくださいね)。
“虹チャンス”をねらうために活用したいのが、気象庁のウェブサイトやお天気アプリなどで見られる雨雲レーダー(気象レーダー)の情報です。
いま降っている雨の強さや、雨雲の動きを知ることができるため、日常的に使っている人も多いのではないでしょうか。
レーダーを見て雨雲が抜けたら、太陽とは反対側の空を見上げてみると、虹が現れている可能性が高いですよ。
虹の色、日本では7色。台湾では3色?
虹といえば7色というイメージが強いですが、これは世界共通ではないことをご存じでしょうか?
実は、アメリカやイギリスでは虹は6色、ドイツでは5色、インドネシアは4色、台湾ではなんと3色だと考えられているのです。日本人が虹を「紫、藍、青、緑、黄、橙、赤」の7色だと考えてきたのは、一説によると、万有引力の発見で有名なニュートンの考えが関係しているといわれています。
ニュートンの生きた300年ほど前のヨーロッパでは、音楽と自然現象を結び付けることが大事とされていました。このため、虹と「ドレミファソラシ」の7つの音階を結び付けて7色に決めたというのです。また、7という数字が聖なる数字とされていたことも影響しているようです。
この考えが江戸時代に日本に伝わって、「虹=7色」が主流となりました。虹に出合えたら、どんな風に見えるのか常識を取っ払って眺めてみてください。
晴れたり雨が降ったり変わりやすい天気が増える季節。空の変化に惑わされて憂鬱に感じることもあるかもしれませんが、虹を見るチャンスが高まると思うとワクワクしませんか?
虹の現れやすい条件を覚えておいて、お散歩を楽しんでみてください。
文=片山美紀 写真=片山美紀、写真AC、気象庁
【参考文献】
小林正寿『お天気キャスターが教える ふしぎなお天気のいろいろ』repicbook