タイの食堂をイメージしたポップな空間
2009年、立川の路地裏にオープンしたタイ料理専門店の『バナナ食堂』。2024年で15周年を迎える同店は、タイ好きだけではなく、地元の人たちから広く親しまれている。
タイにある食堂をイメージしたという『バナナ食堂』。店内に一歩入ると、シンハービールのパラソル、壁にびっしり貼られたポスターなど、タイを思わせるアイテムたちが出迎えてくれる。ほどよく雑多な雰囲気が心地よい。
平日は近隣のオフィスに勤める人、休日はのんびりと食事を楽しみにくる人と、曜日や時間帯によってさまざまな人たちでにぎわう様は、まさに“食堂”という言葉がぴったりだ。
店主の佐藤清人さんは、料理と音楽好きが高じ、立川で長年バーやレコードショップを営んできた。もともとエスニック料理を得意としていたが、タイ料理の専門店をオープンしたきっかけは「タイに駐在していた友人に会うため初めてバンコクに行ったとき、タイの料理のおいしさや人の優しさにすっかり魅了されたんです。現地では飲食店を巡ったり、仲間とホームパーティーをしたりしながら一通りのタイ料理を食べました。それから毎年必ずタイに行くようになり、タイ料理の店を開きたいと思うようになりました」とのこと。
ちなみにインテリアや食器に至るまで、店内にあるほとんどのアイテムは佐藤さんがタイの各地で買い付けしたもの。店にいるだけで、旅行気分を味わえるのはこのこだわりのおかげだろう。
『バナナ食堂』で提供するタイ料理は、タイ料理の定番からお酒に合う屋台料理まで幅広い。現地の味を再現しつつも、辛さにそれほど慣れていない日本人でもおいしいと思えるように味付けを調整し、研究を続ける佐藤さん。
そんな本場さながらの料理や店内の雰囲気で、同店は“本場のタイ料理を味わえるタイレストラン”とタイ国商務省が認定する「タイ・セレクト」に名を連ねている。
人気のランチセットやトムヤムラーメンと、ご飯ものから麺類まで楽しめる
『バナナ食堂』のランチメニューのおすすめといえば、人気のガパオライスとグリーンカレーに、日替わりのおかず1品が付いたお得3種盛り1170円。さらに野菜スープ、サラダ、デザートもセットという大満足の内容だ。
香り高いバジルと一緒に炒めた鶏肉は、肉々しくて食べ応え抜群。半熟の目玉焼きを崩して絡めればまろやかに食べられる。日本人好みのほどよい辛さなので、辛さが苦手な人でももりもりと食べられるだろう。
小鉢に入ったグリーンカレーは、具材がごろごろと入っていてうれしい。ココナッツミルクの濃厚な味わいの中から、じんわりと辛さがやってくる。風味豊かなジャスミンライスとの相性はぴったりだ。
麺類で人気No.1のメニューが、真っ赤なスープが印象的なトムヤムラーメン900円。パクチーが別皿になっているので好きな量をのせられる。ランチの時間帯(11:30~14:30)はデザート付きだ。
トムヤムクンのクセになる辛さと酸っぱさを、タイ定番の米麺と一緒に味わえるトムヤムラーメン。見た目は真っ赤だが、辛さはじわっと辛くなる程度なので誰でも食べやすい。海老の旨味が効いたスープと、ツルツルとした米麺がいいコンビネーションだ。
ラーメンという名前だが、ヘルシーな米麺と、スープの余分な油も取り除いているため罪悪感フリーで食べられるのが魅力。お好みで酢や唐辛子を入れてアレンジも楽しもう。
タイのクラフトビール、ワインまで。珍しいお酒が大集合!
『バナナ食堂』のもう一つの楽しみが“お酒”だ。定番のシンハービールをはじめ、近年現地で人気が高まっているクラフトビールや、ほかではあまり出合えないタイのワインなど、バラエティに富んでいる。ソフトドリンクも充実しているので、もちろんお酒が苦手な人もウェルカムだ。ディナータイムは、多種多様なお酒と一緒に楽しめるアラカルトメニューを中心に提供する。
タイ料理とワインを合わせるイメージはあまりないが、佐藤さんは「唐辛子やニンニクが効いた料理はワインと合わせづらいので、アラカルトでは少し控えめにして作っています。酸味があって軽い感じのワインと、ハーブやライムが効いたタイ料理はよく合うんですよ」と話してくれた。これはとても気になる組み合わせだ。
タイに行ったことがある人は現地を思い出しながら、行ったことがない人は新鮮な気持ちで、おいしいタイ料理とお酒を満喫しよう!
※料理の在庫が無くなった場合は早めに閉店。/定休日:日、月/アクセス:JR立川駅から徒歩5分
取材・文・撮影=稲垣恵美