店内は1920年代のアメリカをイメージ

エレベーターを降りた瞬間から、1920代のアメリカが広がっている。
エレベーターを降りた瞬間から、1920代のアメリカが広がっている。

“ローリングトゥエンティーズ”、1920年代のアメリカ。第一次世界大戦も終わり、アメリカは経済や文化の加速、華やかな時代の幕開けが始まった。

『ローリンズコーヒー&バー』は、ローリングトゥエンティーズとジャズ発祥の地ニューオリンズとをかけ合わせ、お店の名前にしたそうだ。

ゆっくりとジャズが流れる店内は、当時のアメリカをイメージした店内。至る場所がアンティークな小物で溢れていて、なんとも心地よい空間だ。

「旅先でたまたま蓄音機の音を聴いたときに、箱の中で誰かが唄っているようなリアリティがあって、蓄音機でジャズを聴いたら最高だろうなと、すぐに蓄音機を入手しSPレコードを探しまわりました」と嶋竹さん。蓄音機にすっかり魅了されてしまったそう。

「店内にあるものは、蓄音機もタイプライターもすべて稼働するんです」とのこと。すてきなジャズを蓄音機で聴いてみたい!そんな衝動に駆られてしまった。

濃厚で大人の味の濃厚なプリンと深煎りコーヒー

3時間ほどかけて作られた手作りのプリン。
3時間ほどかけて作られた手作りのプリン。

手作りの昔ながらのプリン800円(コーヒーと一緒に頼むと700円)は、3時間ほどかけてつくる。冷たくて固め、そして濃厚な味わいだ。

嶋竹さんが淹れてくださったダークブレンドのコーヒー800円。深煎りか浅煎りかを尋ねられ、深入りをお願いした。よくわからなければ、嶋竹さんに好みを伝えるといいかもしれない。大変親切に教えてくれる。

深煎りは苦みの強い味わいな一方、酸味はほとんど感じられない。カフェインが少なく優しい。

浅煎りは酸味が強いのが特徴で、カフェインの含有量も多い。さらにポリフェノールも豊富。温かいうちは、香りや風味を感じやすく冷めてくると甘味が増すのが特徴だ。

「もともとコーヒーが好きで、こだわって淹れたコーヒーを味わってほしいという思いがあるんです。ジャズ喫茶でどちらかというと、食事よりもジャズというふうに思う人もいるかもしれませんが、飲食店をやっている以上、味にもこだわりたいというのが僕の想いなんですよ」と嶋竹さんはお話ししてくれた。

以前は食事も提供していたが、最近は飲み物とスイーツが中心になりつつある。

「今後はフードメニューも充実させ、近々ランチも始める予定です」とのこと。

古き良きアメリカに思いを馳せる蓄音機

蓄音機の音を聴ける場所は少ない。訪れたらぜひリクエストしてみよう。
蓄音機の音を聴ける場所は少ない。訪れたらぜひリクエストしてみよう。

店内には数台の蓄音機があり、どれも稼働する。その内の一台、インパクトのあった蓄音機でSPレコードを聞かせていただいた。ああLPレコードね!と思った方もいるのではないだろうか。LPではなくSPなのだ、お間違えないように。

SPは蓄音機で聴くためのレコードだ。皆さんは聞いたことがあるだろうか?筆者は初めて、生の蓄音機の音を聴かせていただいた。

後で知ることになるが、SPレコードと蓄音機の針の耐久性は低く、針は一度再生するたびに新品に取り替え、SPレコードも鑑賞に堪えるのは100回ほどだそうだ。

そもそも蓄音機の針圧は150〜200gと非常に高く、LPレコードなどのプレイヤーの数十倍もの針圧があるのが特徴。

そうした貴重な、蓄音機の音色は?

どこか懐かしいような一度は聞いたことのあるような音色。音の圧がとても強い。そのため臨場感があり、まさに当時の雰囲気が色をまとってよみがえる。そんな印象を受けた。現代の透明感のあるクリアな音ではないし、スクラッチノイズも多い。しかし、感動すら覚える音なのだ。写真をやる人なら、デジタルカメラとフィルムカメラの違い。蓄音機のそれは、さらに違いが大きい。

「年配のお客さんの中には、蓄音機をかけ始めると、フロアでダンスを始める人もいるんですよ」そう、その気持ちもわかるような気がする。蓄音機の奏でる音は、色褪せない青春なのだ。

普段は蓄音機で音楽を流すことは少ないそうだが、少し時間があったりお客さんからリクエストがあったりした時には流しているそうなので、お店に行った際には勇気を出してリクエストをしてみよう。

ジャズを楽しんでほしいという想い

紳士的で優しい店主の嶋竹さん。もともとはデザイン会社を経営されていた。
紳士的で優しい店主の嶋竹さん。もともとはデザイン会社を経営されていた。

「初めてジャズを聴いた人やジャズは好きだけど詳しくはわからない、興味がある、そうしたお客さんに来てほしい。気軽にジャズの魅力にふれてほしい」と嶋竹さんは話す。

会話ももちろん自由。「中には会話禁止のジャズ喫茶もありますが、うちは自由。周りのお客さんに迷惑にならなければ細かいルールはないし、写真も自由に撮っていただいて大丈夫です」とのこと。

また店内でのライブ演奏も盛況で、大物ゲストも予定しているのだそう。蓄音機でゆっくりとジャズを楽しむのはすてきな時間だが、生のジャズにはまた違った魅力があり、気楽に食事や会話をしながら生演奏楽しめるので、初心者の方もぜひ訪れてみよう!

ちなみにライブの開催予定はその他の最新情報とあわせてインスタグラムにアップされているので、興味のある方はぜひフォローしておこう。

住所:東京都大田区大森北2-17-2 αNEXT大森海岸9F/営業時間:15:00~23:00(土・日・祝は12:00~23:00)
/定休日:月(祝の場合は翌火)/アクセス:JR京浜東北線大森駅から徒歩8分

取材・文・撮影=アサノカツヒト