吹き抜けのある開放的な店内
席に着くと、商業施設の開放的な空間が目に入る。これを好んで来る方もおり、テーブルの配置はそれを意識しているのだそう。
オフィスが入っている商業複合施設ということもあって、お昼のピークが過ぎた14時あたりは、リモートワークをする方から1人でコーヒーを楽しむ方、複数人で会話を楽しむ方まで、いろいろな客層が訪れるようだ。
コーヒーはもちろん、フロートや苺ミルクなども提供しており、ドリンクだけでも十分満喫できる。
テイクアウトも可能なため、近くのオフィスで働く人たちが持ち帰って自分のデスクでいただくのにも重宝されているようだ。
豊洲市場から仕入れた魚を使用した海鮮丼
いよいよ、海鮮丼1050円の登場。
マグロも白身魚も全て豊洲市場から仕入れているという海鮮丼は、カフェでいただいているとは思えないハイクオリティ。
ぶつ切りされたマグロやサーモンは食べごたえがあり、非常においしい。市場から直接仕入れているだけあって、口に入れた瞬間、新鮮な魚の旨味が口いっぱいに広がる。
さらにお新香、お味噌汁、ドリンク付きで1050円だと言うのだから、これを注文しない手はないだろう。
次に、お勧めだというキーマカレー850円もちゃっかりいただく。
辛さは辛すぎない、中辛といったところだろうか。わずかにピリッとした辛味が刺激となって旨い。
中央に鎮座する温泉卵は、その刺激をまろやかにし、さきほど海鮮丼をいただいたばかりの胃にも関わらず、カレーがするすると入っていく。「カレーは飲み物」とは、まさにこのことかもしれない。
また、日替わりデザートには手作りの紅茶ゼリーが添えられており、コーヒーとデザートまでいただける、なんとも贅沢なランチプレートだ。
お刺し身カフェとなった理由
元々、同商業施設内でイタリアンと洋食屋さんを経営していたというオーナーの塩谷さん。そこからもう1店舗出店する機会があり、始めたのが『カフェViVO 大森ベルポート店』だという。
開業時はオーナーである塩谷さんの姉と姪っ子が営業する純然たるカフェであったが、2022年に塩谷さんの姉が引退。そこで、塩谷さんがオーナーを務め、イタリアンで働いた経験をもつ小濵さんが店長として抜擢された。
「学生時代にアルバイトとしてイタリアンで働いていました。その頃から社長(塩谷さん)にはお世話になってます。」と店長の小濵さんは言う。
小濵さんはイタリアンで働いた後、印刷屋などの職を経て、蒲田で鮮魚店を経営していた。
この店長抜擢の話があったのが、ちょうどその時。マグロの初競り一番を取ったマグロ専門仲卸ともつながりがあり、これを活かしてお刺し身を提供することになったという。
これが「お刺し身カフェ」の誕生である。
手作りのおいしい料理とあたたかいおもてなし
ViVO(ヴィーヴォ)というお店の由来を聞いたところ「特に意味はないです。確か元気が良いとか、楽しいとかそんな意味だった気がします」というオーナーの塩谷さんに対し、すかさず「社長が付けられたんですよ(笑)」と返答する、店長の小濵さん。
調べたところ、おっしゃる通り「元気に、活き活きと」といった意味のあるイタリア語のようだ。
お店のコンセプトとしては、「手作りのおいしい料理とあたたかいおもてなし、スタッフ皆が仲が良いそんなパパママのお店を創ること」。
「パパママのお店」というのは、夫婦2人でお店をやっているような、アットホームで温かみのあるお店を作りたい、というオーナー塩谷さんの想いが込められている。
そのコンセプトが現実となり、今はご夫婦でお店の営業を行っている。
ハイクオリティな海鮮をいただくのもよし、カフェとしてコーヒーをいただくのもよし。純然たるカフェから「お刺し身カフェ」に変貌を遂げた『カフェViVO 大森ベルポート店』に、是非足を運んでみてほしい。
取材・文・撮影=SUI