食事の時間を“家族の楽しみ”にしてもらいたい

「ただ食事を提供しているだけというのは、味気ないと思うんですよ。家族で食事に行くことが、楽しいものであってほしい」と大橋さんは語る。

お店は夫婦ふたりで切り盛りしている。
お店は夫婦ふたりで切り盛りしている。

「家族の楽しい時間を、オムライスを通して提供する」。

例えばふわふわなオムライスにお客さん自身がナイフで切り込みをいれ卵を広げていく。そうした過程を楽しんでほしい。またオムライスにお子さんの名前をいれることで、お子さんはもちろんお父さんお母さんまでもが笑顔になる。

「『洋食亭 おおはし』に行くのが楽しみ」。そう思ってもらえるような店になれたらいいなという思いで、お店を始めたそうだ。

名前をいれてくれるサービスは大人気。
名前をいれてくれるサービスは大人気。
オムライスを切ってふわっとした瞬間。
オムライスを切ってふわっとした瞬間。

最初はオムライス1000円をいただこうと思っていたが、メニューを見ていると一番人気だというビーフシチューのせオムライス1500円に気持ちが引っ張られる。

さらにビーフシチューをタンシチューにも変更できますよ! と大橋さん。タンシチューに変更できる⁉ さらにテンションが上がってしまう。結局タンシチューのせオムライス2050円をいただくことにした。

タンシチューのせオムライスは最高の組み合わせ!

オムライスの上にはタンシチューがたっぷりとのっている。改めて写真を見ただけで、よだれがでてしまう。見た目よりもボリュームがあり、男性でも十分に食欲を満たす量だ。分厚いタンが何枚ものっているので、すこし豪華な食事をしたい時には、ビーフシチューをタンシチューに変更するのがいいだろう。

ふわふわなオムライスと、タンシチュー。いやもうこれは最高の組み合わせだ。

ふわっと軽やかなオムライスの強力なサポートが厚みのあるタン。オムライスが一気に、迫力を増す。

タンシチューのせオムライス2050円。厚みのあるタンがたっぷり!
タンシチューのせオムライス2050円。厚みのあるタンがたっぷり!

さて、お味のほうはというと、濃厚なデミグラスソースとオムライスの組み合わせかと思いきや、デミグラスソースは意外にもあっさりしている。

濃厚なのに重くない、ソースの秘密は何だろうか。

秘密は「和」。ご飯にかけてもおいしい味付け

筆者はデミグラスソースに対して、味付けが濃いので後で喉が渇いたり、お腹にもたれたりしてしまう、そうした印象をもっていた。しかし『洋食亭 おおはし』のデミグラスソースは違う。旨味はしっかりと引き立てつつ、あっさりと軽い口当たりなのだ。

「隠し味に醤油や、かつおだし、昆布だしを使っているんですよ。うちのデミグラスソースに対するこだわりは白いご飯にかけてもおいしい味付けというところです」と大橋さんが教えてくれた。

醤油や、かつおだしをベースにしているため、白米にもバッチリ合うのだそう。和をベースにした洋食屋さんの味付けはホッとする。

一品一品を、真心こめて調理。
一品一品を、真心こめて調理。

洋食というと、かつては家族で身なりを整えて、少し緊張しながら出かけた記憶がある。気軽に食事を楽しむような場所とは少し違ったかもしれない。

しかし、もっと気軽に洋食を楽しんでほしい。「それこそ小さな子からお年を召した方まで、気軽に食べに来られるようなお店にしたかったんですよ」大橋さんは、そういって微笑む。

「お店を持ちたいと思ったのが、アルバイト先のマスターの影響なんです。お客さんに対する心遣いや、人と人とのつながりを大切にしているところなど、多くのことを学びました。だから自分もお客さんがまた来たいと思ってくれるような商売人の気持ちで、料理を提供しています」

お客様への感謝の気持ちと商売人の心

現在はテーブル席となっているが、オープン当初は小上がりで和風のテイストを全面にだしていた。

「日本で初めての洋食屋は、きっとこうした感じだろうなぁというイメージがあって、外観から店内まで“和”の雰囲気をとり入れたんです」。

お店の佇まいや、店内に入った時の印象から食事の前に気分を高めてもらいたい。だから、お客さんに喜んでいただけるお店づくり、メニューづくりを徹底している。

店内は和食屋さんの雰囲気。
店内は和食屋さんの雰囲気。
お酒もそろっている。男性の一人客も多いのだとか。
お酒もそろっている。男性の一人客も多いのだとか。

「おいしいだけではなく、お客さんとのつながりを大切にしたい」。そんな大橋さんの言葉とオムライスに、心もお腹も大満足だ。

住所:東京都大田区大森北1-29-6/営業時間:11:30~14:30・17:00~20:30(土・日・祝は11:30~14:30・17:00~20:30)/定休日:金、木(第1・3)/アクセス:JR京浜東北線大森駅から徒歩5分

取材・文・撮影=アサノ カツヒト