フランスで4代続くパン職人、ゴントラン・シェリエさんのブーランジェリー
国道246号線の青山学院大学正門の向かいにあるブーランジェリー『ゴントラン シェリエ 青山店』。外観の鮮やかなイエローに興味をそそられ、店内に入ってみた。
ここはフランスで4代にわたりベーカリーを営む、ゴントラン・シェリエさんの店だ。ゴントランさんが三ツ星レストランなどで修業したのちに独立して、自ら立ち上げたのがその名を冠した『ゴントラン シェリエ』。今や全世界に60店舗展開している人気店なのだ。
この日、話を聞かせてくれたマネージャーのトロクメ・セルジュさんはこう語る。「ゴントラン・シェリエさんの『世界中の家庭にカリカリとした本格的なフランスパンやサクサクのクロワッサンを届けたい』という思いから、ここ青山に2021年の7月にオープンしました」。
青山店を皮切りに、2022年10月に新宿店が、2023年の4月に目黒店がオープンし次々とファンを増やしている。
1階はケースに並べられたできたてのパンやサンドイッチ、ケーキなどを購入でき、テイクアウトだけでなく外のテラス席で食べることもできる。
大きなオーブンを配したキッチンでは、ゴントラン・シェリエさんから教えを受けたシェフ・ブーランジェを筆頭に、職人がパンを焼く様子が見られる。香ばしい匂いに包まれながら、作りたてのパンだけでなく陳列棚には焼き菓子やジャムもあって目移りしまくりだ!
朝食セットでは焼きたてのパンがカゴいっぱい食べられる
2階はカフェになっており、パリスタイルのモーニングや、パンとともに楽しめるライトミールを提供している。
「しっかり食べられるメニューもあれば、ヘルシーなサラダもあるんです。朝の8時半から11時までやってるモーニングは人気がありますね。この店に来たならぜひパリの朝食を味わっていただきたいです。カフェラテにバゲットとクロワッサンか、パンオショコラどちらかが選べます。パンにはイズニーバターやジャムをつけて食べてくださいね。私はフランス人ですが、地元ではこういう感じの朝食を食べているんですよ」。
ドリンクはカフェラテだけでなくオレンジジュースもついてくる。おしゃれだな〜! フランスのみなさんは、ゆっくり朝食を食べるんでしょうね。筆者も見習いたい。
食事のメニューも美しくておいしそう。冒頭でも紹介した通り、ゴントランさんは三つ星シェフでもあるのだ。これは味も期待できそう。
「そうですね。どれもパンに合うように考案されたメニューなんですよ。パンがメインなので。モーニングもランチもメニューに【BREAD SET】と書かれているものは、写真のメニューのほかにかご盛りパンがついてきます」。盛り合わせって、ひとつずつ違いを楽しめるからいいですよね。
いくつもの層でパリッパリ。音までおいしいクロワッサン
メニューを見ているとつい肉料理やパスタに目がいってしまうけど、トロクメさんが言うようにあくまでメインはパン。ここへ初めて来たから、パンを食べるべきだ。バゲットもいいし、フランスといえばやっぱりクロワッサンだよな〜と思いながらも、かわいいフォルムのヴィエノワズリーの誘惑に負けそうになり天を仰ぐ筆者。
「クロワッサンはスペシャリテですよ」と聞き、吟味を重ねた結果クロワッサン330円、パン オ ショコラ ダマンド528円を1階のショップで、2階のカフェでカフェラテ715円をオーダーした。
ほどなくしてやってきたカフェラテを見て驚いた。お、大きい! 一般的なコーヒーカップの2倍はありそうだが、これがパリのスタイルだそうです。それじゃ、いただきまーす。
んっ⁉ 筆者が今まで食べてきたクロワッサンとパリパリ感が違う! それにバターの芳醇な香りがするのに、それに負けず小麦の香りがふんわりとする。中はしっとり&むっちりして舌触りが滑らかだ。
ミルクたっぷりのカフェラテで口の中をリセットしてから、続いてパン オ ショコラ ダマンドへ着手。
ひとくちかじったら薄いクッキーを何枚も重ねたようなパリパリ感と食感の軽さに驚いた。トッピングの粉糖とアーモンドクリーム、中にはたっぷりのチョコが入っている。食感の感動とともに噛みしめたら、『甘×甘=天国』の方程式ができました。一瞬、天に昇りかけて原稿を書きに戻って来た。そうだ、仕事しよう!
「実はパン オ ショコラ ダマンドはクロワッサンの生地で作ってるんですけど、レイヤーの作り方がちょっと違うんです。それによって味と食感が変わるんですよ」。へぇ〜、そうなんですね。
さすが、三ツ星シェフともなるとひと味もふた味も違う。ほかのパンも食べてみたくなっちゃった。気になるパンをいくつかテイクアウトして、自宅でも楽しんじゃおう。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢