女性1人でも入りやすいおしゃれでアットホームなラーメン店
JR川崎駅の東口から徒歩15分ほど。第一京浜(国道15号線)を越えた先にある住宅街に、ぽつぽつと飲食店が散らばっている。
そのなかで、ぱっと見にはカフェかハンバーガー屋と思しき、おしゃれな店を発見!
足を止めて看板をチェックすると、ラーメンの写真がズラリ。ほかに丼物や炒め物などもあり、町中華メニューが目白押しだ。
『breath food』は、兄弟2人が営むラーメン店。兄の市原俊輔さんと弟の建輔さんは川崎の有名ラーメン店で修業を積み、2021年に独立して店を構えた。
「仏具店を経営している父が『これからは自分たちの店をもって商売をしたらいい』と背中を押してくれて、改装した仏具店のスペースを半分借りて店をオープンしました」と建輔さん。
「兄弟だからお互いの性格をよくわかっていて、腹を割ってなんでも言い合いえるのが家族経営のいいところです。4歳違いの兄は、優しくて真面目でリーダーシップがある人。ぼくはどちらかというと相手に合わせてついていくタイプなので、バランスもちょうどいいんだと思います」。
2人はアットホームな空間とフレンドリーな接客をコンセプトに掲げ、客が「ひと息(breath)」つくことができて、「おいしいもの(food)」を食べて元気になれる店を目指しているという。
ラーメンづくりに対するこだわりだけでなく、お客さまにおいしく食べてもらえるように空間づくりにもこだわっている。
「この店では、カフェのように居心地の良い空間と、お客さまとの会話、人と人のつながりを大切にしています。女性1人でも入りやすい雰囲気なので、時には女性のお客さまだけで満席になることもあるんですよ」と建輔さん。
確かに外観からして誰もが気軽に立ち寄れそう。店内は小ざっぱりとして、どこか落ち着きを感じる。
ラーメン屋ではまわりの客のペースに合わせて食べなければとつい焦ってしまうものだが、この店ではせかせかした気持ちにならずにゆっくりラーメンを味わえそうだ。
肉厚チャーシューがドーンとのった香ばしい濃厚豚骨ラーメン
今回は、人気ナンバーワンの黒ラーメン950円をチョイス。
この店の黒ラーメンは、マー油入りの濃厚豚骨ラーメン。マー油はニンニクや長ネギなどを揚げてつくる真っ黒な香味油のことで、この焦がしニンニクの香りが食欲をそそる。
まずはスープをひと口いただくと、なんともクリィ~ミィ~~~で実にマイルド! 香ばしいマー油のパンチが効いていて、あまりに絶品でレンゲを持つ手が止まらない。九州出身の客に「本場の熊本ラーメンみたいで好みの味」だと絶賛されたこともあるのだとか。
濃厚ながらもしつこさをまったく感じないので、豚骨ラーメンが苦手な人やご年配の方も食べやすいだろう。
続いて麺をズルリ……。この中太麺、味わい深くて風味よし! 麺とスープのからみ具合も抜群にいい。
ドーンと鎮座する豚バラチャーシューはしっかりめの味付けで、スープに負けじと濃厚な旨味が口いっぱいに広がる。ほろっとやわらかく、肉肉しい感じで大満足♪
「奇をてらわずに、良い食材を使ってシンプルにおいしいものをつくる」のだと言う建輔さん。その言葉通り、スープ、麺、具材の1つ1つに味へのこだわりが感じられる1杯だ。
味玉もめっちゃおいしかった! プラス200円でチャーシュー・味玉・のり増量にすれば良かったなあ……。スープも1滴残さず飲み干すほどリピ確の旨さです!
「次は何食べよ?」と楽しみが止まらない麺類のラインナップ
「もともと中華料理をウリにした店だったんで、あっさり系の中華そばや特製の焼きそばも常連さんに人気があるんですよ」と建輔さん。チャーハンやニラレバ炒めなど、町中華さながらのメニューを豊富に取りそろえている。
麺類のラインナップも充実しており、油そばやタンタン麺、ワンタン麺に味噌野菜ラーメンなどなど、その数は常時10種類を超える。常連客のリクエストに応えて生まれた裏メニュー的なラーメンもあり、手探りでメニュー開発を進めるうちに種類がどんどん増えていったのだそう。
「ぼくたちは『こんな店があったらいいな』『この味はきっとお客さまに喜んでもらえるだろうな』といつも想像をふくらませながら、店づくりを行っています。これからも兄弟で切磋琢磨しながら旨いラーメンをつくって、お客さまが毎日通いたくなるような居心地の良い店にしていきたいと思います」と建輔さん。
店名のごとくほっとひと息することができて、次は何を食べようかと楽しみが尽きない『breath food』。よし、今度は隠れ人気メニューのタンメンを食べに来るぞ!
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=コバヤシヒロミ