パフェ好き必見!『and parfait』は人気のパフェ専門店
京急本線の大森海岸駅から歩いて3分ほど、京浜東北線の大森駅から8分ほどのところに『and parfait』は位置している。大森界隈には多数のカフェやレストランがあるが、『and parfait』はわざわざ探してでも訪れたい価値があった。
店の名前にこめられた思いは、「自分とパフェ」「仕事とパフェ」など「◯◯とパフェ」の意味があると杉田さんは語る。たとえば残業の後にパフェを食べて、「また明日もがんばろう」と思ってもらえるように……。
『and parfait』のパフェは、ただの映えるおしゃれスイーツではなくそういった力も持ち合わせている、ここでしか出会えない唯一無二のパフェなのである。
店内は、ホワイトを基調とした清潔感あふれる内装となっている。大勢でわいわいと過ごすのではなく、ほとんどがカウンター席なので、ひとりでじっくりとパフェを堪能できる環境がありがたい。
また、オーナーパティシエがひとりで切り盛りしており、パフェを楽しむためのカフェなので、余計なものは徹底的に排除されている。テーブルにメニューは置かれておらず、QRコードからインスタグラムへ飛び、今日のメニューを確認する。
メニューはその都度変わるので、その日どんなパフェがあるのかはお楽しみだ。常時5種類ほどのパフェが用意されている。
旬の一番おいしいフルーツを使うことにこだわっているため、事前にメニューの提供期限などは決められない。その時々でもっともおいしい素材を取り入れて、メニューを考えているそうだ。
そのため、インスタを見てどうしても食べたいパフェを見つけた際には、迷わず訪れることをおすすめしたい。
オーナーパティシエはパフェ作りに専念するため、注文や会計も入り口に置かれたタッチパネルで完結するように考えられている。
ここでは「一人ひとりの時間を大切にしてもらいたい」とオーナーは語る。
最初に会計をすませておけば、パフェを自分のペースで楽しんで、帰りたいときにさっと帰れるのだ。そんなところにも、ストレスを感じさせない配慮がなされている。
水とメニューを持って店員が注文を聞きにくるといった一連を排除して、パフェに専念できる空間を演出しているのだ。
『and parfait』を訪れる目的は、まさにこだわり抜いたパフェそのもの
どのメニューも「これがパフェ!?」と言いたくなるほど、とにかく美しい! そしてオーナーの説明を聞けば聞くほど、どれも食べてみたくなる。
オーナーのこだわりは、第4のチョコレートであるブロンドチョコレート。トップにフリル状にあしらわれたブロンドショコラが目を引く。ブロンドショコラとナッツのパフェ1600円も非常に魅惑的だ。
今回は迷いに迷って、グランドメニューとなっている、4種のショコラとバナナパフェ1600円をチョイスした。こだわりのチョコレートが4種類(ルビー、ホワイト、ミルク、ダーク)楽しめる。そしてなんといってもパフェの見た目にもひかれてしまったのである。
運ばれてきたパフェは、思い描くチョコバナナパフェのイメージとは、まるで様相が違っており、期待をはるかに超えるそのセンスのよさと美しさに思わず、「わぁ!!」と感嘆の声が出てしまうほど。一見して繊細で手が込んでいることも伝わってきて、食べてしまうのがもったいないくらいだ。
まずはじっくりと鑑賞してみるが、隙は一つもない。グラスの形状、考え抜かれた盛り付けのデザイン、全体のカラーバランス、チョコレートの造形、温度、最高の食べごろを吟味したフルーツ、そのカッティングなど、どれをとっても一切の妥協を許さない。4種のショコラがさまざまな形や食感、温度で盛り込まれている。
じつはすべて計算し尽くされているパフェだった
グラスの縁に乗せられただけの、ホワイトチョコレートで作られたネット状の半円プレートが、バナナやマカロン型のシューアイスを支えているのだ。
「えっ! 落ちないの?」「チョコのシートは割れないの?」と不思議に思うが、円形のチョコレートシートを半円に切り、その2枚を絶妙なバランスでグラスの縁にセットし、バナナやシューアイスを乗せても驚くほどに安定感がある。
支える力と、乗せる重量と位置のバランスが絶妙に計算されているのだ。
ずっと眺めていたくなるが、そうもいかない。別添えのショコラソースをかけて、いざいただくことに……。『and parfait』のパフェはただ美しいだけではない。食感のバラエティも考えられており、食べていて楽しい。次へ次へとスプーンを入れたくなるように、食べやすさも考えられているのだという。
まるでマカロンのようなシューアイス。アイスの温度も、オーナーにより完璧に管理された状態で提供される。すーっとスプーンが入る柔らかさにもかかわらず、まったく溶け落ちることはない。
『and parfait』を訪れるお客さんは、ほぼ写真を撮らずにはいられないわけだが、その写真を撮る時間までを逆算して温度管理をしているとのこと。写真を撮り終わり、いざスプーンを入れるときが絶好の柔らかさになることが計算し尽くされているのだ。
『and parfait』のパフェは、ほぼすべてのパーツが杉田さんの手によって手作りされている。
注文が入ればパフェ作りが始まるわけだが、たとえば4人で訪れたお客さんが別々のパフェを頼んだとしたら、4つのパフェを同時に提供するよう各工程のオペレーションを組むのだとか。
瞬時に頭の中で、手順を考え同時に完成させていくらしい。
「お客様の期待に応えなければならない。それが自分の使命だ」と杉田さんは語る。プロフェッショナルだ。
『and parfait』のパフェは、ランチの後やティータイムにはもちろん、1日の仕事が終わった後にその日の疲れを癒やすにも最適なパフェだ。
女性客が多いのかと思いきや、女性6割、男性4割と、男性客も多く訪れるそう。
たとえひとりでも人目を気にせずパフェを味わえるカウンター席と、事前の食券購入システムにより男性も気軽に利用できるのだ。幸せな気分を味わえる『and parfait』の芸術的なパフェ。ぜひ、一度会いに行ってみてはいかがだろうか。
/定休日:不定/アクセス:JR京浜東北線大森駅から徒歩8分
取材・文・撮影=ほし ななこ