ピエール瀧

1967年、静岡県出身。1989年に、石野卓球らと電気グルーヴを結成。音楽活動の他、俳優、声優、タレント、ゲームプロデュース、映像制作などマルチに活動を行う。
近著は「ピエール瀧の23区23時 2020-2022」(産業編集センター)。

進撃の巨人ってこれくらい?

―― 前回の立川市「オニ公園」に続き、今回も“オニ”に会いにやって来ました。おとぎ話をモチーフにした遊具で遊べる、舎人いきいき公園です。

巨大なオニが目をひく桃太郎エリア、そしてかちかち山エリア、あっちは魚が見えるから浦島太郎エリアかな。まずは浦島エリアから見てみよう。石造りの巨大亀と、タイやヒラメもいるわけね。竜宮城だ。このヒラメの遊び方が分からないな(笑)。どうやって遊ぶのこれ?

―― 高オニとかですかね? 地面より高いところに登るとオニは捕まえられない遊びですね。

なるほどね。さっきよじ登ってるちっちゃい子がいたけどね。でもさ、ここはやっぱこの亀だよね! コレだけ予算がすごいかかってるもんな。やっぱ亀だけに“万年”保たせようとしてるのかな。仮に浦島太郎が俺くらいのサイズだとしたら、このぐらいの亀じゃないと乗せていってもらえないだろうな。

あっちのトイレの壁には鬼ヶ島が描かれているから、あっち側が桃太郎エリアか。

―― この中央の複合型遊具、実はこれも鬼ヶ島になってるんですよ。上の方見てください、ちゃんと鬼ヶ島と同じ目と口があるんです!

本当だ。でもこの鬼ヶ島さ、ちょっと現代的にリフォームしすぎじゃない?(笑)。この感じの鬼ヶ島だと成敗しにくいんだけど。でもやっぱりこの公園のメインはこのオニの滑り台だよね。桃太郎よりもオニの方が遊具にしやすいっていうのは致し方ないとはいえ、この容量と予算を使ってこの仕上がりはどうなんだろ? 滑り台としてはかなり物足りない部類だよね。

―― スッと終わる距離ですよね(笑)。

そうでしょ。これ肩に乗るのは難しそうだな……。ガンダムってこれぐらいだっけ? いや、さすがにもうちょいデカいか。何くらいなんだろ、これ?

―― 進撃の巨人ってこれくらいじゃないですかね?

なぜに遊具がこのラインナップ?

ああ、確かにそれくらいかも! 口の中に入ってみよう。ちょうど巨人に食われたらこんな感じなのかもね(笑)。滑り台をすべると、なんかベロンて吐き出されてる感じだな。

桃太郎エリアはこんな感じね。で、残るはかちかち山エリアか。あのさ、桃太郎と浦島太郎は分かるよ。タイやヒラメもギリ分かる。でもかちかち山チョイスはなんでなんだろうね? おとぎ話から遊具作るにしても、かちかち山を選ぶ?

―― いやあ、あんま頭に浮かばないですね。あと、そもそも、かちかち山のストーリーがボンヤリしてます……。

そうでしょう? 俺もうろ覚えだもの。最後タヌキが泥舟に乗って沈むはずだけど……。多分この船の形の遊具って泥舟設定でしょ? なんでそんなもん遊具にしたんだろうね。かなり謎だわ。

―― ちょっと話の内容調べてみますね。「タヌキが畑を荒らして捕まる。何もしないから許してくれとおばあさんに頼んだら逃がしてくれたけど、タヌキはそのおばあさんを殺す。さらにおばあさんに化けて、おばあさんの肉を使った鍋をおじいさんに食べさせた。悲しんだおじいさんが、仲のいいウサギに頼んでこらしめてもらうことに。ウサギは金儲けを口実にタヌキをしば刈りに誘って、タヌキが背中に背負ったしばに火をつけ、やけど跡に薬と称して唐辛子味噌を塗る。次にタヌキを漁に誘って、木の船と泥の船を用意して、タヌキを泥舟に乗せて沈めて殺した」という話でした!

2人も死ぬ話なんだな(笑)。タヌキも相当ひどいけど、ウサギの所業もまあまあだわ。おじいさんは殺人を依頼してるから殺人教唆(きょうさ)だよね。これを読んでる人は、ここにきていま一度、おとぎ話を“復習”するっていうのはいいかも。かちかち山のストーリーだから、リベンジの“復讐”の意味もあるけどね(笑)。でもこの公園さ、せっかくならもうちょっと遊具の種類欲しいよね。

―― 斜め向かいにある、舎人町公園がここの続編みたいな公園なんですよ。昔『23区23時』で一回訪れたことありますね。桃のオブジェとかが置いてありましたよ。

じゃあそっちも改めて行ってみよう。あー、この桃か! これあったわ、覚えてる。こっち側には砂場とかもちゃんとあるんだな。これさ、舎人いきいき公園と舎人町公園で陣取り合戦やってもいいよね。鬼ヶ島サイドと桃太郎サイドに分かれて。桃のオブジェがある道も、青く塗られてて川みたいになってる。ここってさ、確か近くに川があったよね。

―― はい。埼玉県との県境に沿って、毛長川っていう川が流れてます。

それってさ、氾濫とかすんのかな? ていうのも、さっき舎人いきいき公園の敷地内に地盤沈下観測所っていう施設があったのよ。

なんか、公園で採用してるおとぎ話も水を思い起こさせるものが多い。水に対する恐れから鬼ヶ島や泥舟も置かれるんじゃないかなって思ってさ。ここ、海抜はどのくらいなの?

―― 海抜1〜2mみたいです。そんなに高くないですね。

そうなのか。なんとなく水への警戒心とか、そういう歴史がある地域なのかもしれないな。だから亀とかヒラメだけじゃなく、公園内のあちこちに巨石が置いてあるじゃん。無意識のうちに、子供にそこに乗る習慣をつけさせてる気がする。いざとなったら高いところに登れば大丈夫!っていうね。う〜ん、本当にそれはゼロじゃない気がするなぁ。

足立区・舎人いきいき公園 Data

物語復習(復讐)度:★★★★☆
泥舟謎度:★★★★★
水怖い度?:★★★☆☆

水飲み場:あり  トイレ:あり
自販機:なし  灰皿:なし

住所:東京都足立区舎人6-3-1/営業時間:入園自由/定休日:入園自由/アクセス:日暮里・舎人ライナー見沼代親水公園駅から徒歩10分

構成=カルロス矢吹 撮影=横井明彦
『散歩の達人』2024年1月号より

――はじまりました「ファンキー!公園」!これから毎月ピエール瀧さんと一緒に公園の魅力を探求していきます。第1回は港区立さくら坂公園、通称「ロボロボ園」です。
毎月ピエール瀧さんと一緒に公園の魅力を探求していく「ファンキー!公園」!今回は東京都葛飾区です。北沼公園に来ました。