本場を感じながら食べる本格タイ料理
入店するとそこはまるで南国。壁は鮮やかなグリーンに塗られていて、かわいい小物が飾られている。天井は木の梁や柱がむき出しで、それも雰囲気に合っている。
木下さんの特大の笑顔に導かれて着席。ランチメニューはガパオやグリーンカレー、パッタイにトムヤムヌードルなど定番の料理がずらり。
「辛さは名前の横にある炎マークの数で表してます」と木下さん。今回は炎マークなしのタレーパッポンカリー1350円、デザートにアイティム600円を注文した。
タレーパッポンカリーはエビとイカなどの海鮮が入ったカレーを卵とじにしたものだという。
炎マークはなかったが、タイ料理ということで恐る恐るひと口。マイルドで辛さはない。スパイスの複合的な奥深い味わいのカレーを卵がコクを与えて優しく包み込む。ほのかな辛味はあるが子どもでも安心して食べられるレベルで、この辛味が食欲をわきたてて食べすすむ手が止まらない。カレーだけでもおいしいが、エビやイカと共にいただくと海鮮の風味が加わって、カレーのフレーバーがより複雑に花開いていく。
お米は香り高いジャスミンライス。上品な香りはカレーに負けず、邪魔せず、贅沢な味わいが楽しめる。
大満足の一品だ。ちなみにカレーに乗っている赤いものは唐辛子ではなくパプリカ。
食後はタイのアイスクリームアイティム600円をいただく。ココナッツの風味がクセになる、さわやかかつコクのあるアイスクリームだ。カレーのほてりをクールにしずめてくれる。
出会いはニュージーランド。二人三脚で営む木下さんご夫婦
木下さんは以前ニュージーランドに在住しており、そこのタイレストランでナムケットさんと出会った。日本に帰国後、ナムケットさんのもともとの夢であった日本でのタイ料理レストラン開店のため、ナムケットさんはタイレストランで、木下さんは清澄白河のニュージーランド系カフェ『オールプレス』で3年ほどの準備と修業を経て、2020年に『MAKIN』を開店させた。
料理はナムケットさんが担当し、接客は木下さん。
タイ人のナムケットさんが作る本格タイ料理がウリだ。日本のレストランで日本人好みの味を学んだが、本場の甘みを少し抑える程度で基本はタイ本場の味を提供しているという。
ハーブや調味料など、タイ料理としての味を決めるものは現地から空輸した本場のものを使用している。また、お米は普通タイ米を使うが、クオリティーとおいしさからジャスミンライスを使うというこだわりぶり。
「できるだけ現地で実際に提供される辛さで味わってほしいということなので、基本的にはそのままお出しします。どうしても辛いのは苦手という方がいたら調整はしますが、聞かれない限りはこちらから提案はしないことにしていますね」と木下さん。
料理の辛さのこだわりとともに、本格的でおいしいタイの料理を食べてもらいたいという強い思いが感じられる。
タイ料理が大好きな人も初心者もみんな「食べにおいで」
そのナムケットさんをサポートするのが木下さんの接客だ。常に笑顔を絶やさずフレンドリーな木下さんがいるだけで、もともとポップで明るい店内がさらに花やかに色づく。
「ニュージーランド仕込みのゆるくてラフな接客を心がけていますね。店名の『MAKIN』というのは、タイ語でマーが「おいで」という意味でキンが「食べる」意味になります。二つを合わせて『マーキン』、食べにおいでというニュアンスなんですが、まるで友達の家にお呼ばれしてお食事しているような、居心地のいい空間を提供できるようにしています」と木下さんは南国の太陽のようににこにこと明るい笑顔で話してくれた。
清澄白河の『MAKIN』は外観も内装もポップなグリーンに彩られたかわいい南国カフェ風のレストラン。
タイ人のナムケットさんの手による本格タイ料理を、木下さんやスタッフたちのフレンドリーな接客とともにいただけば、まるで海外のレストランにいるかのように錯覚してしまう。
味にも接客にも大満足は間違いなしな『MAKIN』へ、アジアン気分を満喫しに行こう。
取材・文・撮影=かつの こゆき