明治時代から続くきんつば屋をリノベーションした店舗は、洗礼されているのにどこかノスタルジックな雰囲気が魅力だ。こぢんまりとした店内は、大きな窓から自然光が差し込み、高い天井から開放感のあふれた居心地のよい空間となっている。
『MONZ CAFE 門前仲町店』は、地域と人とのコミュニケーションを生む場としてCAFEを提供したいという思いでつくられた。昔ながらの下町の良さを残しつつ新しい魅力を生み出すその場所へ、地元の人はもちろん、週末になると遠くから電車を乗り継いでやってくる人も多い。
旬のフルーツを使ったこだわりのベイクドケーキ
『MONZ CAFE 門前仲町店』を一躍有名にしたのが、上品でフォトジェニックなフォルムの可愛らしいケーキである。チェリーや桜など旬のフルーツや素材をつかった季節のベイクドケーキで、現在は人気のきっかけとなった苺のベイクドケーキ730円が提供されている。
生クリームのぽてっとした佇まいがなんとも可愛らしいビジュアルだ。プレーンスポンジ生地の中にダイスカットされたイチゴソースをたっぷりととじ込め、トップには優しい甘さのホイップクリームとイチゴがトッピングされている。
生クリームの甘さには、砂糖ではなく練乳が使われている。練乳をつかうことで、生クリームがミルキーな味わいになるのだそうだ。ベイクドケーキの中にもたっぷりのイチゴピューレが入っている。イチゴと練乳の黄金コンビ、おいしくないわけがない。
季節のベイクドケーキへのこだわりを、店長の新井薫さんはこう語る。
「その季節の旬の素材を一番おいしく召し上がっていただけるように、工夫してつくっています。秋に発売されていた姫りんごのベイクドケーキの場合は、ベイクドケーキにキャラメルとりんごをたっぷりと練り込み焼きあげました。生クリームはケーキの甘さとの相性を考えあえて無糖にして、一緒に口に運んだ時に最適な組み合わせになるようにしてあります」
現在発売中の苺のベイクドケーキは4月までの期間限定だが、その間も味に変化をつけて楽しんでもらえるように考えているという。
「2023年現在はまだ未定ですが、去年はチョコ味や抹茶味をご提供しました。イチゴの季節は4月までと長いのですが、飽きずに楽しんでいただけると思います」
これはもう、リピ決定である。
フルーツたっぷりのミニアラモはテイクアウトも
もうひとつ、忘れてはならないのが、ゼリーをまとったたっぷりのフレッシュフルーツを、なめらかなプリンの上にのせたミニアラモ640円(テイクアウトは629円)だ。
もともと、店頭で出していたプリンアラモードを、コロナ禍にも楽しんでもらおうとテイクアウト用に改良して販売したのがはじまりだった。人気が高まり、現在では定番商品としてテイクアウトだけでなくイートインでも購入できる。
やわらかな甘さのプリンはなめらかで、しっかりと苦味の効いたカラメルソースとよく合う。そこにプリンとほぼ同じ量のジューシーなフルーツが加わり、贅沢でありながらどこかホッとするおいしさに癒やされる。
空間もケーキも心地よさを大切にしたい
「うちのお店は来てくださるお客さん層が広くて、赤ちゃんと一緒に利用してくださる方から上は90代の方までいらっしゃいます。だからこそ、幅広い年代の方に好んでいただけるような味にしたいと考えています」
『MONZ CAFE 門前仲町店』のスイーツはどれもシンプルながら、口に運んだ時に笑顔になれるようにと、新井さんが丁寧に心をこめて考えた工夫がこれでもかと詰まっている。これこそが、多くの人を魅了する秘密なのかもしれない。
『MONZ CAFE 門前仲町店』は、観光や参拝の休憩に立ち寄る人もいれば、休日になると遠方からわざわざ足を運ぶ人も少なくない。地元のリピーターも多く、取材中にも何度か声をかけられ、そのまま話し込んでしまったりもした。「地元で愛されているカフェなのだなぁ」と感じる時間だ。地元の人がリピートするカフェに外れはない。
「コーヒーを片手に一人でのんびり読書したり、テラス席はペット連れでの利用もできるので犬の散歩の途中で立ち寄ってくださる方もいます。これからも、みなさんにゆっくりくつろいでいただける空間とメニューを提供していきたいですね」
観光や参拝の途中で、ふと立ち寄りたくなるあたたかな空間がそこにはある。優しい思いの詰まったスイーツを楽しみに、訪れてみてはいかがだろう。
/定休日:不定/アクセス:地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅から徒歩1分
取材・文・撮影=村田幸音