気まぐれ営業のラーメン店が本格始動!
ラーメン好きの間で噂になっていた立川の“幻のラーメン店”が、2023年10月ついに常設店舗をオープンし本格始動した。
場所は、立川駅南口から5分ほど歩いたWINS通り沿い。ブラックの建物に「虜」の一文字が際立っている。
店内は厨房を囲う7席のカウンターのみ。温かみのある木の素材と重厚感のある黒色を組み合わせた、洗練されたデザインの空間だ。ラーメン激戦区の立川に突如現れた『ORENO虜RAMEN』は、立川で会員制のウニ料理専門店『丈寿(じょうじゅ)』などを運営する地元企業による、新たな挑戦として誕生した。
その始まりは『丈寿』の店舗で、不定期に営業していた「きまぐれらーめん 虜」。コロナ禍でラーメン店が次々と営業時間の短縮や休業をするなか、立川にゆかりがあり地元愛の強い社長が「地元の人たちに喜んでもらいたい」と、ラーメンの提供を開始。その後クチコミで少しずつ話題となり、2日間限定で通し営業をしたときには、大々的な宣伝をせずとも盛況となった。
気まぐれ営業の際に好評だったことと「自分たちがおいしいと思うラーメンをお客さんに届けたい」という社長やスタッフ陣の想いが一致し、常設店舗としてオープンを果たした。
まろやかさの中にパンチが効いた味噌ラーメン
「きまぐれらーめん 虜」では鶏そばをメインに提供していたが、現在は味噌ラーメンの黄金虜味噌が看板メニューに。理想の味を開発するにあたり、各地から取り寄せた何十種類もの味噌を試食し配合を繰り返したそう。白味噌や赤味噌、さらには練りごまなど、多種類の素材を繊細な配合でブレンドして完成した一品だ。
黄金に輝くこだわりのスープは、まろやかな口当たり。味噌の濃厚な旨味の中に、ニンニクや生姜でパンチをプラスしているので食べるたびに深みが増していく。炒めもやしや糸唐辛子などの具材も、食感や味わいのアクセントに。
さらに、ラーメンはすり下ろした生姜が添えられている。食べ進めるたびに生姜を追加していくことで、さっぱりとした味わいに変化する。自分好みに味変を楽しんでみよう。
渾身のスープには、「きまぐれらーめん 虜」時代から付き合いのある『菅野製麺所』の中太縮れ麺。社長やスタッフが毎日のようにラーメンを食べて、スープに合う太さや味わいの麺をセレクトしたのだとか。
何気なくのせられた具材たちも、実はひと味ちがう。こんがりと炙られた大ぶりのチャーシューは、ラーメンに使用する味噌を塗りこんでいるため深い旨味と甘みを感じられる。具材一つひとつにかける手間が、こだわりの一杯を作り出しているのだ。
ほかにも、地元に詳しいメンバーがメニューを構成しているため、立川の駅周辺ではあまり食べられないちゃんぽんを取り入れるなど、工夫してメニューを考案している。辛いもの好きにおすすめな極旨辛味噌1000円や濃厚まぜそば950円など個性的なメニューが充実しているので、気分によって選んでみよう。
細やかなホスピタリティに心つかまれる
ラーメンはもちろんのこと、“虜”になる理由は店内にも散りばめられている。各席には、ラーメン店ではあまり見かけない電源とスマホの充電ケーブルが完備されている。また、卓上に用意された調味料は自家製のラー油や七味、かぼすなど種類豊富。こうした細やかなサービスは、お客さんの目線に立って「あったらうれしいもの」を基準に選ばれている。
オープンして間もない現在は、地元の人たちや立川に訪れた人たちに“いつもの味”と認識してもらう段階だという。定番メニューが浸透したあとは、季節限定メニューにもチャレンジしていく予定だ。
磨き抜かれたラーメンの味わいとホスピタリティは、きっと多くの人を“虜”にすること間違いない。
取材・文・撮影=稲垣恵美