消えてはいるが、言いたいことはわかる看板
まず「赤が色あせても、さほど影響がない看板」。訴えたいことが図解されていたり、黒い文字で大体の内容が書かれていたりして、看板として成立しているタイプである。この看板(写真2)の場合、車に轢かれそうになっている少年の絵で状況は理解できるし、この張り紙(写真3)も、今後「フン」の字が完全に消えてしまったとしても、ウンコの絵で全ては理解できるだろう。この看板(写真4)は、見た人が奥の駐輪場を利用してくれれば、本来言いたかったこと(この場所への駐輪禁止)は達成できるので問題はない。
次に、状況と合わせて考えれば赤文字が無くてもまあ成立するかな、という看板である。写真のような「子供 注意」「 注意」といった看板も、路地に立てかけられているのであれば、「とび出し注意ということだろうな」という推測ができる(写真5)(写真6)。
何が何だかわからなくなった看板とその応用編
赤い文字が消えてしまった結果、こちらがどうすればいいのかよくわからない看板もある。(写真7)(写真8)私道だから何なのか、何が実施されているのか。答えは風の中だ。
少し高度になると、文章の中の重要語句のみが消えてしまい、まるでチェックペンが引かれた参考書を読み解く受験生のような気持ちで読まねばならない看板がある。それでもこの看板(写真9)のようにうっすらと赤が残っていれば、「お互いにやめましょう( )のポイ捨て禁止です」の( )の中に入る正解は「空缶やたばこ」だ!と、こっそり解答をのぞき見たような気分になれる。しかしこの看板をよくよく見てみれば、「お互いに」と「やめましょう」の間に「迷惑駐輪」という赤文字が存在していたことが判明し、とんだ引っかけ問題だったことがわかる。
気になって夜も眠れない高難易度の看板
更に文章の中の赤文字が完全に消えてしまっている場合、正解は何だったのかが気になって、夜も眠れない気分になる(写真10)。「二輪車、バイク」は何とされてどうなってしまうのだろう。この貼り紙(写真11)は、そもそも貼り紙が貼られているゴミ捨て場の扉に丸い穴が開いていて文字が欠けてしまっているのに、更に赤文字が消えてしまったために、恐ろしく難易度の高い問題となっている。
赤文字が消えた結果、無茶な要求をしてくる看板もある。この看板(写真12)は、見た人にいきなり罰金20,000円を請求する。よくよく見れば「無断駐車厳禁」という赤文字が消えているのがわかるのだが、それにしてもドキッとさせられる。
最高峰はこれだ!
そして「赤だけ色あせ看板」の最高峰。それは、「赤い文字だけで書かれた看板」である。それほど強く訴えたいことがあったのか。しかしそれならなぜ赤文字で書いてしまったのか。アイドリングストップを訴えかけるこの看板(写真13)は、かろうじて文字が残っているが、今後数年経てばどうなるか予測はつくだろう。赤文字看板の行きつく先、それは完全なる「無」である(写真14)。何かを訴えたかったはずの看板が、何も訴えていない。なんという矛盾だろうか。我々の街は、日々このような矛盾を抱えて存在しているのである。
絵・写真・文=オギリマサホ