理想の店をつくるため自家製麺にこだわる店で修業
JR川崎駅東口から駅前大通りを国道15号へ向かって歩き、交差点を渡って左に少し歩くと、国道沿いに目的のお店『自家製麺 麺屋 利八』がある。店主こだわりの一杯を楽しみにして入店する。
店内は厨房を囲むようにL字に席が並ぶ。「開店は2014年です。 自家製麺のラーメン店を開業したくて、自家製麺にこだわりを持つ店で2年ほど修業しました」と教えてくれたのは店主の古田一哉さん。
店主の古田さんの前職はミュージカル俳優。東日本大震災で公演の仕事が減ったのを機に、ラーメン店を出すことを決意。今でも休日など時間があればミュージカルを観に行くのを楽しみにしているそう。
麺もトッピングも、すべてにこだわりが詰まった一杯
注文したのは特らぁめん1250円。店主こだわりのラーメンにトッピングを追加した豪華バージョンだ。
いろいろと店主のこだわりを聞いているうちに、特らぁめんが着丼。それでは、いただきます!
まずはスープを一口。丸鶏、鶏ガラ、もみじを使い、数種類の煮干し、げんこつを合わせた鶏白湯スープは魚介系の味もしっかりと味わえ、同時に甘みとまろやかさを感じるほど深みのある味だ。
「今、お出ししているスープにはうま味調味料は使っていないんです。以前は使っていたんですが、うま味調味料を使わなくなって、ひとつひとつの素材の味が引き立ち、味に深みがでるようになりました」と古田さん。
麺はもちもち食感と歯応えが絶妙のバランスで、小麦の旨味も感じることができる。まさに古田さん渾身の太麺だと納得。ゆで具合も申し分ない。
味玉につかう玉子は、旨味が強い那須御養卵を使っている。特製ダレの味付けと黄身のとろーり具合もほどよい。
素材の旨味を引き出すために、塩味はできるだけ控えめにしているそう。その結果、麺、スープ、トッピングがそれぞれの味を引き立て、おいしさあふれる一杯となっている。おいしいラーメンをありがとう。ごちそうさまでした。
サイドメニューもしっかりおいしい!
こだわりの一杯をいただきながら、ちょっと気になるサイドメニューも追加注文。ちゃーしゅーごはん400円も気になったが、チャーシューはラーメンのトッピングでいただいたので、今回はジンジャーごはん250円を注文。
スープの旨味が染み込んだごはんとジンジャーの辛味と香りは相性抜群。きざみネギの刺激と肉そぼろの旨味とのバランスもよく、ラーメンと一緒にぱくぱくといただける。サイドメニューにも、店主の味に対する思いを感じる。
古田さんは “こだわること”を楽しんでいるようだ。そして、その楽しさが、ラーメンのおいしさとなって客に伝わってくる。また近いうちに、そんな楽しいこだわり満載の絶品らぁめんを食べに川崎にやってくることになりそうだ。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=羽牟克郎