緑の看板に書かれた家系の呪文

緑の看板が目印。周囲には焼き肉店や韓国食材を販売する店舗が並んでいる。
緑の看板が目印。周囲には焼き肉店や韓国食材を販売する店舗が並んでいる。

家系の看板の多くは、赤地に黒文字で店名が書かれているが、『横浜家系ら~めん侍 上野店』は緑地に赤字で店名が書かれている。店長の菅原大輔さんによると、「店主が家系の名店・たかさご家系列の町田家出身です。たかさご家系列の店舗は緑色の看板なのです」と教えてくれた。

看板には「家系の呪文“カタ・コメ・オオメ” お好みいろいろ選べます!」の文字がある。麺の硬さやスープの濃さ、鶏油の量の好みを伝えるもので、家系では当たり前の言葉なのだ。改めて考えてみるとたしかに呪文のようだ。

店内はじっくりと食事を楽しんでもらいたいという思いから、座席の間隔が広く、ゆったりとした造りになっていて、テーブル席も用意されている。休日には小さい子供を連れた家族やグループでの利用も多いという。

2面がガラス張りになっているので、明るく開放感がある。
2面がガラス張りになっているので、明るく開放感がある。

スープは濃厚でありながら、後口スッキリ

豪華にトッピングが盛られたら~めん全部のせ。
豪華にトッピングが盛られたら~めん全部のせ。

入り口付近に券売機があるので、ら~めん全部のせ1100円を購入。届いた丼を見ると、チャーシューや味玉、ほうれん草、海苔など、家系では定番の具材がトッピングされたボリューム満点の一杯。

肩をメインにした豚骨や鶏ガラなど、1回の仕込みで50㎏も使うという。
肩をメインにした豚骨や鶏ガラなど、1回の仕込みで50㎏も使うという。

家系ならではの茶色いスープは「豚骨だけでなく、鶏の小骨などを長時間煮込んでいます。鳥の小骨を入れることで濃厚なだけでなく、バランスもよくなります」と菅原さん。

ややとろみのあるスープをひと口飲んでみると、最初はマイルドな感じ。その後、ガツンと豚骨の旨みが広がっていくが……不思議なことに後口はスッキリ。そこに鶏油の奥深い味わいが加わり、ドンドン飲みたくなる。

やや硬めに茹でられた中太麺やスープで煮たチャーシューが旨い

とろみがあるスープを持ち上げる中太麺。
とろみがあるスープを持ち上げる中太麺。

麺は家系御用達の『酒井屋製麺』。ややウェーブがある中太麺で、スープに合うようにあえて硬めに茹で上げるという。スープがしっかりと絡んだ麺は、モチモチとしていてコシがしっかりとしている。

トッピングも秀逸。厚みのあるチャーシューはしっかりとした食感で、旨みがたっぷり。調理段階で肩ロースをら~めんスープで煮込むので、スープの味がなじみ必然的に合う。黄身がねっとりとした半熟の味玉はやや薄めに味付けがされていて、スープの旨さが加わるとちょうどいいおいしさ。
ほうれん草や海苔、刻みネギなどが食感や味のアクセントになっていてたまらない。

各種そろう卓上調味料。
各種そろう卓上調味料。

卓上にはコショウや豆板醤、ニンニク、生姜、酢一味唐辛子などがあるので、お好みで味変ができる。ほかにもハラペーニョ150円やニンニクチップス100円などもあるので、カスタマイズしてみるのも面白い。

ガス釜で炊いたライスは必須

一緒に頼む人が多いライスは艶やかでおいしい。
一緒に頼む人が多いライスは艶やかでおいしい。

せっかく家系に来たならば、ライス100円(半ライス50円)をあわせたい。ひとめぼれをガス釜で炊いているので、ふっくらとしていて甘みがある。

スープと合わせたり、スープをすわせた海苔で巻いたり、チャーシューと一緒に食べたりと思い思いに楽しめる。卓上にはカッパ(キュウリの漬物)もあるので、箸休めにもなる。

豚骨醤油以外にも食べてみたいメニューが豊富

店長の菅原大輔さん(右から2番目)をはじめ、スタッフの皆さん。
店長の菅原大輔さん(右から2番目)をはじめ、スタッフの皆さん。

菅原さんは「ら~めんや塩ダレの特とん塩のほか、カレーラーメンをはじめとした季節限定があります。つけ麺もおすすめで、昆布水を入れた器に麺が盛っていますので、味変を楽しみながら食べられます。ほかにもルーローハンといったほかの家系では食べられない料理もあります」と話してくれた。

豚骨100%とは異なり、鶏ガラが加わった新たな家系に出会うことができた。重厚でありながらもスッキリとした味わいのスープと麺、トッピングの組み合わせはまた食べたくなる。

住所:東京都台東区東上野2-18-1 群山ビル1F/営業時間:11:00~20:45/定休日:無/アクセス:JR上野駅から徒歩3分

取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン