浅草ラーメン激戦区の言問通りに位置
浅草駅から歩いて10分ほど。隅田川に架かる言問橋から西へ約4キロ伸びている言問通り(ことといどおり)に『うりんぼ』はある。浅草ラーメン激戦区とも言われるその通りのなかでも、黄色の看板はひときわ目立っていた。
どこか懐かしく、落ち着く店内
店内にはL字のカウンターに6席、2〜4人用のテーブルが4つ並んでいる。お冷はセルフサービス、注文は席からするスタイルだ。
店に行く途中、電車に揺られながらスマホでメニューを眺め、何を頼もうかと考える。
スープも見えないほど一面にネギが敷き詰められたネギラーメン。
味玉にネギ、キクラゲの上に明太子を乗せた全部入りラーメン。
普段なら最もスタンダードなものを選ぶのだが、気になるものばかり。結局、お店に到着するまで決められなかったが「1番人気は玉子ラーメンだよ」の店主の一言で即決した。
一番奥のカウンターに座りながら流されているテレビを眺める。外からの風が心地良い。棚にはたくさんの漫画が置いてあった。初めての来店のはずだが、なんだか懐かしい。
くさみのないスープが絶品
入店してからずっと豚骨の香りを感じていたが、着丼したものから漂う豚骨のそれは自分だけのものなのだとうれしくなる。キクラゲもネギもたっぷり入っている。味玉のとろりとした黄身がうつくしい。玉子ラーメンを選んで正解だ。
気になるスープをまずは一口。まったくと言っていいほど臭みがなく、あっさりとしている。それでいてコクもあるのだから、ついついもう一口飲んでしまう。
博多製麺からの直送品である麺は、しっかりとコシがあり歯切れも良い。徐々に口の中に広がる小麦の香りも最高だ。刻みネギの下から麺をすくうと、程よくネギが絡んでくれる。コリコリとしたキクラゲとの相性も抜群である。
薄く切られたチャーシューからは想像以上にしっかりとした塩味と旨味が感じられた。お米を頼まなかったことを後悔しつつ、麺をすする手も止まらない。
玉子ラーメンというだけあって、味玉は絶品以外の何物でもない。気を抜いたらすぐスープに溶けてしまいそうなほどトロトロの黄身。これは飲めてしまう。レンゲの上に避難させながら大切に食べ進めていくとしよう。
半分ほど食べ進めたあたりで、紅しょうがや高菜、ごまを加えていく。トッピングとして別途購入させる店も少なくない中、高菜を自由に食べられるのはうれしい。ピリリとした辛味が食欲を増進させてくれる。
博多ラーメンが好きだから。
1994年にオープンした『うりんぼ』。「俺の写真は撮ったってしょうがないよ」と言いながら笑顔を見せてくれた。
店主さんは博多出身ではないそうだ。博多ラーメンを選んだ理由は、好きだから。物価高騰が続き値上げを余儀なくされるラーメン店も少なくないが、ここではラーメンを650円で提供している。
話を伺っている間にマット交換の業者さんが訪れたとき、名前を呼び親し気に話していた。このお店に常連が多いのは店主さんの人柄も大いに関係しているだろう。
どこか懐かしい気持ちになれるこの場所で、あなたもきっと新しい一杯に出合うことができるはずだ。
取材・文・撮影=万悠