夢を叶えるために一念発起
オーナーの桑原さんは大分生まれ、大分育ち。朝食の定番はパンで、小学校の頃に文集で書いた将来の夢に「パン屋さん」と書くほど身近なものだった。一度は音楽関係の仕事や飲食店など、パンとは関係のない仕事をしていたが、27歳の時に一念発起。子供の頃の夢だったパン職人の道を目指した。
お店の名前はフランス語で1を意味するun(あん)と娘さんの名前からとった。「コツコツ頑張ろうという想いでつけました」
「うちのパンは小麦やバターはできるだけ国産にこだわり、白砂糖やショートニング、マーガリンなどは使わずに作っています」
お子さんからご年配の方まで安心して食べてもらいたいという桑原さんのこだわりが伝わってくる。
新商品を含め、毎日70種類以上のラインナップ!
毎日70種類以上のパンを焼き上げているというから驚きだ。たくさんのパンがよりどりみどりでうれしいが、作り手としては、大変なことではないのだろうか。
「オープン当初は僕一人で作っていたんですが、今では4人体制で作ることができているのもありがたいです。もちろん手間ひまはかかりますが、僕を含めてみんなパンを作るのが好きな人が集まっていて。あーだこーだ言いながら、楽しく作っています」
とにかくパン作りが大好きな桑原さん。パン作りのアイデアを思いついてはスタッフに共有し、ともに試作を重ねている。
「僕だけではなくスタッフからもいろんな案が生まれるから、自然とラインナップが増えましたね。新しいアイデアを実現するのは大変ですが、嫌な顔ひとつせず協力してくれるみんなには、本当に支えられています」そううれしそうに語る桑原さんの姿が印象的だ。
食べてくれる人の顔を想像しながら全力で作る
最近では、娘さんの影響でピアノの練習を始めたことが、パン作りにも良い刺激を与えている。
「元々音楽が好きだったんですが、パン作りと音楽って似ていると思っていて。聞いてくれる人、食べてくれる人が喜ぶ顔を想像してつくり上げていくから。何より好きなことには全力でやる、そんな想いもパンを通して伝わったらうれしいです」
桑原さんの真っ直ぐな想いが、『ベーカリーあん』のおいしさと安心の土台であり、人気の秘密のようだ。
取材・文・撮影=パンスク編集部