MAMA'S VOICE
15分だけでも聴いていってください
ジャズ喫茶が大好きで、全国のジャズ喫茶巡りも徐々に実行しているという、ママの酒井さん。
店の所蔵レコードを網羅したアルバムノート。デジタル化する現代ではすでに貴重なオーラを放つアナログデータ。

ジャズ喫茶は京都の大学時代によく通って、アルバイトしていたほど好きな場所。お手製の大阪ジャズ喫茶マップを作って配布するほどの情熱の持ち主でもある。子育て中、フリー・ジャズ好きのご主人がヨーロッパものなども含め存分にジャズを聴いている傍らで、「自分のジャズへの想いも蝋燭の灯のようにありました」と語る。

開店の契機は、子育てを終えて、これからまたジャズ喫茶通いをしようと、久しぶりに訪ねた天王寺の店が閉店していたことだ。それなら自分でと、オープンしたのが2011年11月。

4階までひたすら階段を上る。それでも上ってきてよかったと思える、安らぎとパワーに満ちた空間が扉の向こうに待っている。
ジャズの小部屋と名付けたい、くつろぎのスペース。程よい距離感で自室感覚が持てるのが心地よい。

いざ店を始めると、年配のお客さんから人気を博し、「この店のおかげで再びジャズを聴くことになってうれしい」と、レコードもオーディオも多くをお客さんから教えられたという。「ジャズは若い頃聴いた時も、今聴いてもまったく同じ。古くさくない」という客たちの声にうれしそう。

「たとえ一曲でも自分の好きな曲に出会えたらそれを聴いて幸せになって帰る。それが私流のジャズ喫茶の使い方。ここがそんな場所になれたら本望です」と目を輝かせる。

【店主が選ぶ一枚】John Lewis & Sacha Distel "Afternoon in Paris"

MJQ のジョン・ルイスとパリの先鋭ミュージシャンとの共演

「特に好きなのはマッコイ・タイナー」と都会派な好みの酒井さん。ウディ・ショー、ビリー・ハーパー、ハンク・モブレーなど続々と名が挙がる中、一枚選んだのは、ジョン・ルイス&サッシャ・ディステルの『アフタヌーン・イン・パリ』(1956)。フロックコートを着こなすジャズ界の貴公子ジョン・ルイスが、訪仏時にサッシャ・ディステル、バルネ・ウイランなどパリの先鋭のミュージシャンと録音した愛すべきアルバムだ。

取材・文=常田カオル 撮影=谷川真紀子
散歩の達人POCKET『日本ジャズ地図』より

住所:大阪市鶴見区放出東3-20-21コンビビル4F/営業時間:13:00~19:00/定休日:月・水・第5土・日/アクセス:JR放出駅すぐ
愛知県南部にあるクワガタの鋏を連想させる2つの半島。一方が知多半島で、その根元から少し内陸に位置するのが知立市だ。1974年から営業し、おそらく全国最多のレコードをもつこの店。マスターの神谷年幸さんが23歳で始めた頃は700枚だったのが、現在は4万枚。譲り受けたレコードも合わせるとさらに増えるそう。
山形駅前のメインストリートからすぐの好立地の店。創業は1971年。「表通りにあった十字屋山形店と同じ年だけど、あちらは去年閉業しちゃった」と歳月を振り返るマスター相澤榮さん。店名は「設計者とか保証人になってくれた友達とか、当時の仲間が8人だったから」と笑みをこぼしながら教えてくれた。