下北沢で15年続く薬膳料理店
下北沢駅から徒歩9分の場所に、ひっそりとたたずむ古民家風の建物。
17時からオープンする『薬膳食堂ちゃぶ膳』は、2008年から営業を続ける薬膳料理店だ。
店に入ると、カウンターと座敷席のみ用意されたこぢんまりとした空間が広がっている。
出迎えてくれたのは、店主の高田大治さん。
いくつかの料理店で長年修業を積むなか、料理に使用する食材の大切さに気がつき薬膳料理の専門店をオープンしたという。
「料理はただ美味しければいいというものでもなく、体にいいものを提供しなければ人に食べていただく理由がないなと感じました」と店をオープンしたきっかけを語ってくれた。
海外客から人気。ちゃぶ台のある空間
海外からのお客がほとんどという同店。その理由のひとつになっているのが店名の由来にもなっている「ちゃぶ台」の存在。
高田さんは「店を開くときにスペースや予算を考えてちゃぶ台にしたのですが、あまりほかのお店では見かけないようで、海外の方には特に喜んでいただけますね」と笑う。
また、高田さんが自ら壁を塗るなど手作業で改装した空間は温かみにあふれていて、落ち着く雰囲気だ。
この店のメニューは全メニューがベジタリアン・ヴィーガン仕様。さらにオーガニック・有機野菜のみを使用し、化学調味料は一切使用しないことにこだわる。
オープン当初はスープカレーとカレー、そしてラーメンを3本柱として提供していたが、ラーメンが大好評だったため、現在はラーメンをメインに提供しているのだとか。
というわけで、看板メニューのヴィーガンラーメンをいただいてみることに。
罪悪感なし!濃厚な豚骨ラーメンを再現
ラーメンを作ってもらっている最中、すでに厨房からは香ばしくいい香りが漂ってきた。
そしてテーブルに運ばれてきたのは「本当にヴィーガンラーメン?」と疑ってしまうほど濃厚そうなビジュアルのラーメン!
「九州の豚骨ラーメン、特に熊本ラーメンが好きで。どうしても食べたくなったときに作ったラーメンなんです。完全ヴィーガン仕様ですが、ニンニクや生姜などを加えて濃厚な味に仕上げました」と高田さんは話す。
濃厚なスープの秘密は、野菜の出汁であるベジブロスを使い、味噌や豆乳、醤油をバランスよくブランドすること。
スープを口に入れると、味噌と豆乳の風味が豚骨ラーメンのように濃厚でやみつきに。想像以上にパンチのある味わいで、物足りなさはまったく感じないことに驚く。
ラーメンの麺は細麺。オーガニックのパスタを使用し、自然塩と重曹のみで茹でることで、中華麺を再現している。言われなければ中華麺だと思うくらい、自然にスープとマッチしている。
ほかに、グルテンフリーの米麺と古代小麦スペルト小麦麺(100円追加)も選べるので好みによってリクエストしよう。
最も気になるチャーシューは、なんと油揚げで再現されていた。しっかり食べ応えがあるため、メインの具材にはぴったりだ。
さらに、具材には醤油麹を使って炒めた野菜炒めがたっぷりと入っているためボリューミー。
すべて食べた結論は「紛れもなくラーメン」だった。このラーメンは、たくさん食べたいけれどヘルシーに……というワガママを叶えてくれる。
長年おいしくてヘルシーな薬膳料理を提供する同店だが、ヘルシー志向の人たちの間で口コミが広がり、今では健康についての情報を交換する場にもなっているのだそう。
健康に気を遣いたいときや、ダイエット中などあらゆるシチュエーションで、思う存分ラーメンを楽しみたいならヴィーガンラーメンを選択肢に入れてみてはいかがだろう。
取材・文・撮影=稲垣恵美