グッモー! 井上順です。
2023年3月から運行開始された渋谷周遊・定期観光バス「SHIBUYA STREET RIDE」。
3月に渋谷フクラスのバスのりばでこの2階建てバスを見かけて以来、「新しもの好き」な僕はぜひ乗ってみたいと思いチャンスを狙っていたのだ。
ついに実現する日がやってきた!
渋谷フクラス~スクランブル交差点~公園通り
「SHIBUYA STREET RIDE」のロゴが大きくデザインされた2階建てのバス。
車体の反対側、右側面は、渋谷を象徴するハチ公などのランドマークや音楽、ファッションのアイテムがコラージュされたカラフルなデザインで、にぎやかな渋谷の街中を走っていてもパッと目を引く外観だ。
それにしても、バスに乗って観光なんて何十年ぶりだろう。小学生のころの遠足みたいで何だかワクワクしちゃうね。
席に座ったら、まずシートベルト。
配布されたイヤホンを目の前の音声ガイド機器に差し込む。言語は日本語、英語、中国語から選ぶことができる。
それでは出発!
出発して間もなく、渋谷駅前の「スクランブル交差点」が見えてくる。
このあたりは毎日のように散歩しているし車移動でもよく通るけれど、2階建てバスの高さからの眺めはやっぱり違う。
屋根のないオープンエアーならではの開放感、爽快感も格別だ。
屋根がないと天候が心配だが、途中から降雨の場合はレインポンチョが配布されると聞いて一安心。出発時から雨天の場合は、屋根を閉めた状態で運行されるとのことだ。
それから、特に暑い日は水分補給も忘れずに。フタつきの水筒やペットボトルなら持ち込み可なので、飲み物を「持参」してね、と「爺さん」(僕)からのアドバイス。
渋谷駅前のハチ公広場は今日もたくさんの人でにぎわっている。
忠犬ハチ公像の前で記念撮影しようと並んでいる方々の長い行列が見える。待ち合わせ場所として有名なハチ公像だけど、これでは人が多すぎてハチ公像を探すほうが大変かもしれないね(笑)。
コロナ禍の3年間は海外からの観光客の姿を見ることがなくなり寂しかったが、2023年は再びたくさんの方々が来てくれるようになり活気にあふれている。
最近は、渋谷駅周辺を歩いているのは日本人より外国人旅行客のほうが多いのではないかと思うこともあるほどだ。
それだけ渋谷という街が世界中の皆さんから注目されているということだね。
公園通りの坂を上っていく。
「SHIBUYA STREET RIDE」のテーマは、「世界にカルチャーを発信し続ける街、渋谷の魅力とその秘密を、代表的なストリートを巡りながら解き明かしていくカルチャーガイドクルーズ」。
音声ガイドでは、渋谷のそれぞれのストリートにどんな歴史があって、どんな人たちが集まり、どんな文化が生まれてきたのか、わかりやすく解説してくれる。
どんな内容かって?
ここで詳しく書くわけにはいかないので、皆さんもぜひ乗車して楽しんでほしい。
「渋谷PARCO」前の交差点を右折し、坂を下っていく。
『タワーレコード渋谷店』の前を通ってJRの高架と「宮下公園」の下を通り抜ける。
座席から高架が間近に見えるのも2階建てバスならではだ。
このあたりは高架下の壁に大きく描かれた「矢印アート」も見どころ。
「シブヤ・アロープロジェクト」という渋谷区の取り組みによるもので、災害発生時の「一時退避場所」の方向が来街者にもひと目でわかるようにイラストで表現されている。
その後、バスは明治通りを原宿方面へ。
原宿~国立競技場~神宮外苑
神宮前交差点を左折して表参道を進む。
以前この連載でも紹介した「明治神宮」の森が見えてくる。やっぱりあの森の存在感はすごいなあ。
原宿駅前の通りから、竹下通りの入り口が見える。
竹下通りは今日も個性的なファッションの若者でいっぱいだ。
千駄ヶ谷方面へ進むと、マンションや中学校、小学校などが見えてきて、ちょっと落ち着いた雰囲気の街並みになっていく。
こうしてバスで巡っていると、渋谷は「ストリート」によって雰囲気が全然違うことがよくわかる。
東京オリンピック2020のメイン会場として新しくつくられた「国立競技場」へ。
この国立競技場、「所在地」としては新宿区なのだが、実際には渋谷区と新宿区にまたがって建設されているのだ。
そういえば、この一角にかつて「日本青年館」があったのを皆さん覚えているだろうか?
国立競技場の南側に建て直された新しい日本青年館を見て、移転前のことをふと思い出した。昭和の時代は日本青年館の大ホールでテレビの歌番組などの公開収録や生放送がよく行われていたのだ。僕も公開番組などで何度もお世話になった。歌ったのは「お世話になりました」だったかな?(笑)
「国立競技場」をぐるりとまわったあとは、隣接する「神宮外苑」へ。「明治神宮野球場」の前を通って246(国道246号線)に出る。
ここは昔「青山ベルコモンズ」があったところだなあ……と、また昭和の思い出に浸りながら、青山(港区)から表参道へ。
表参道~明治通り~道玄坂~渋谷フクラス
表参道はその名の通り、明治神宮へ続く参道として整備されたものだ。
高級ブランドのブティックやおしゃれなレストラン、カフェなどが並び、渋谷のストリートの中でも、特に「大人の街」の雰囲気がある。
しかし、通りから一本入った原宿通りやキャットストリートは古着屋などが多く、独特のストリートカルチャーが生まれている。
音声ガイドで印象的だった話をひとつ紹介したい。
表参道のケヤキ並木は、もともとは明治神宮創建の翌年、1921年に植樹されたのだが、戦時中、1945年5月の「山の手大空襲」で大部分が焼けてしまったそうだ。
現在のケヤキ並木は戦後に植えられた木と、わずかながら焼け残った木が並んでいる状態で、よく見ると幹の太さが違うから見分けがつくそうだ。
なるほど。今度、散歩しながらよく観察してみよう。
ツアーも終盤。明治通りを渋谷駅のほうに向かうと「渋谷スクランブルスクエア」が見えてくる。
2019年にオープンして以来、渋谷の新しいランドマークとして存在感を発揮している。
「新しもの好き」なうえに「屋上好き」でもある僕のお気に入りは、渋谷スクランブルスクエアの展望施設「SHIBUYA SKY」。
地上約230mもの高さから、360度さえぎるものなく東京の景色を眺めることができるのだ。高いところが苦手でなければ行ってみて。
道玄坂を通り、渋谷フクラスへ戻ってツアーは終了。50~60分のバスツアーもあっという間だった。
しかし、『SHIBUYA STREET RIDE』の渋谷ツアーはこれでおしまいではない。
バス降車後は、スマートフォンで「渋谷エリア街歩きガイド」のアプリを使って、渋谷の街を自由に「歩いて」楽しむことができるのだ。
乗車客だけがアプリのアクセスパスワードを教えてもらえるので、バス乗車中に気になった場所があればぜひ訪れてみてほしい。
新宿・東急歌舞伎町タワーへのアクセスコースが新登場!
「SHIBUYA STREET RIDE」は渋谷周遊コースに加え、新宿・歌舞伎町に2023年4月にオープンした『東急歌舞伎町タワー』につながるコースも運行が始まったそうだ。
世界有数の繁華街といわれる新宿、歌舞伎町。渋谷とはまた違った魅力をもった街だ。
両方の街を楽しみたいときには、新宿・渋谷間をオープントップバスで観光しながら移動するというのもなかなかいいアイデアだと思う。
進化を続ける渋谷の「今」を肌で感じられる「SHIBUYA STREET RIDE」。
見慣れた景色も2階建てバスから眺めると新鮮。渋谷の歴史に思いを馳せたり、新しい発見もあったりして楽しかった。
皆さんもぜひノッテみて!
SHIBUYA STREET RIDE
【運行日】
水曜日~日曜日および祝日(平日の月曜日・火曜日は運休)
【運賃】
おとな(中学生以上):3000円 こども(小学生以下):1500円
※デジタル街歩きガイド付き
※事前にインターネット決済・コンビニ決済で乗車券を購入すると割引あり(おとな:2000円、こども:1000円に)
【運行コースと運行時刻】
①SHIBUYA DISCOVERY ROUTE(渋谷周遊)コース
出発時刻:11:20、14:30、18:20(3便/日)
②SHINJUKU CONNECTED ROUTE(渋谷⇒新宿歌舞伎町)コース
出発時刻:15:40(1便/日)
③SHIBUYA CONNECTED ROUTE(新宿歌舞伎町⇒渋谷)コース
出発時刻:10:10、17:10(2便/日)
※各コース所要時間約50~60分(途中降車なし)
【予約・詳細】
東急バスの公式Webサイト
https://www.tokyubus.co.jp/SSRIDE/
※「発車オーライネット」から事前予約や空席照会が可能
※当日空席があれば予約なしでも乗車可能
撮影=阿部 了 構成=丹治亮子