家系激戦区の工学院通りで地元民に好評

店内はカウンター席が並ぶ。
店内はカウンター席が並ぶ。

JR蒲田駅から日本工学院へと続く工学院通りは、朝から学生を中心に人通りが多い。居酒屋や食堂、ラーメン店など、道の両脇に飲食店がびっしりと立ち並ぶ。『らーめん吟太』は、工学院通り商店会のアーチをくぐってすぐの場所にある。

朝10時からの開店で、ほかの飲食店よりも早くから営業をしているため、学生や地元の人たちの利用が多いという。入り口のガラス戸には「ライス無料 終日食べ放題」というポスターが貼られている。学生や大食漢にはたまらないだろう。

店長の黒坂寛幸さんは、「常連の方の中には毎日のように通う方や、1日に2回来店する方もいらっしゃいます」と話してくれた。

飲食店ひしめく工学院通りに軒を連ねる。
飲食店ひしめく工学院通りに軒を連ねる。

新しさを感じる「シン・家系」らーめん

のり玉らーめん。らーめんはすべて細麺の替え玉100円ができる。
のり玉らーめん。らーめんはすべて細麺の替え玉100円ができる。

入り口近くに券売機があり、おすすめだというのり玉らーめん880円を購入。食券を渡す際には家系恒例の「麺の固さ・脂の量・味の濃さ」の好みを伝える。

食券を渡す際に好みを伝えよう。
食券を渡す際に好みを伝えよう。

しばらくして丼が到着すると、豚骨醤油スープのいい香りが鼻をくすぐる。見た目も豪華で、のりが増量され、味玉がトッピングされている。

まずはスープをひと口。家系ならではの濃厚さとかえしの塩味が広がるが、くどさを感じさせない。見た目は普通の家系だが、今まで味わったことのある家系スープとは異なっている。

黒坂さんは「スープには豚骨を使っています。豚骨の旨味が広がりやすい温度帯を維持するため、こまめに火力を調整しながらマイルドスープに仕上げています。営業中は常にスープを炊き続け、旨味が蓄積されたスープに新しいスープを注ぎ足しながら作っています。これは呼び戻しという技法で、安定した味で提供できるように努めています」

また「毎日、おいしくなるように愛情を込めて作っていますよ」と教えてくれた。

「8時間かけて炊いたスープが自慢です」と店長の黒坂寛幸さん。
「8時間かけて炊いたスープが自慢です」と店長の黒坂寛幸さん。

トッピングも旨い。しっかりと味が染み込んだチャーシューは噛むごとに豚本来の味わいが増す。味玉はチャーシューの煮汁に漬け込んでいて、スープとの相性もいい。

卓上の調味料は、醤油や酢、ラー油のほか、ニンニクや豆板醬、ショウガと盛りだくさんだ。黒坂さんが特におすすめだというのが、ラーメンコショー。スープに振りかけることによって「味が引き締まり、旨さがアップする」という。

卓上には調味料が充実しているので、自分好みに入れて味変を楽しもう。
卓上には調味料が充実しているので、自分好みに入れて味変を楽しもう。

家系にはやっぱりライスを合わせたい

一粒一粒立っているライスはスープとよく合う。
一粒一粒立っているライスはスープとよく合う。

無料で食べられ、おかわりもできるライスも外せない。ガス釜で炊かれたライスは艶やかで見るからにおいしそう。ひと口食べてみると若干固めの炊き上がりだ。

黒坂さんは「スープに合うようにあえて固めに炊いています。スープを浸した海苔で巻いたり、おじや風にして食べるのに最適かと思います」。

ライスは少しにしようと思ったが、あまりのおいしさに、ついついお代わりをしてしまった。

とにかくおなかいっぱいになってもらいたい

トッピング満載のスペシャルらーめん。
トッピング満載のスペシャルらーめん。

黒坂さんは「これもおすすめです」とスペシャルらーめん1180円も紹介してくれた。のりやチャーシューが増量され、味玉と刻みネギがトッピングされている。次回訪れた際にはぜひ食べてみたい。

黒坂さんは「家系としてはマイルドなスープなので、年配の方や小さなお子さんにも食べやすくなっていると思います。らーめんとライスでおなかいっぱいになって幸せになってもらいたいです」と話してくれた。

しっかりと豚の出汁が効いたスープでありながらも食べやすい家系。「最近は家系の濃い味がちょっとつらい」と思っている人でもしつこくないのでおいしく食べることができるだろう。新しさすら感じられる「シン・家系」を試してみることをおすすめする。

「ぜひご来店をお待ちしております!」
「ぜひご来店をお待ちしております!」
住所:東京都大田区西蒲田7-1-8/営業時間:10:00~23:00(土・日は~22:00)※変更の場合あり/定休日:なし/アクセス:JR京浜東北線蒲田駅から徒歩2分

取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン