カジュアルに本場スペイン料理を味わえる『メソン・バスカ』
『メソン・バスカ』は、1984年創業の老舗スペイン料理レストラン『タベルナ・カディス』の姉妹店だ。店長の今 大樹(こん ひろき)さんの気さくであたたかい人柄なためか、スペイン感あふれる店内もどこか優しく、一人でも入りやすい雰囲気である。
店名のバスカは、フランスとスペインの国境にある美食とアートの街、バスク地方のこと。バスク地方の田舎料理を日本人向けにアレンジしたメニューや、スペイン研修でシェフたちが現地の流行を取り入れて開発した料理を味わえる。
スペインの流行や名物を取り入れたランチパエリアコース
注文したのは2名からオーダーできるランチパエリアコース2500円。
サラダは、シャキシャキの葉物に自家製の人参ドレッシングがかかった一品。優しい甘味で野菜の味を引き立たせている無添加のドレッシングは、購入も可能。
マッシュルームオーブン焼きは、刻んだベーコンと生ハムがいい味を出し、オイルが染み込んだ肉厚のマッシュルームは食べ応え抜群。実はこのマッシュルームオーブン焼きは、『Museo del Jamon (ムセオ デル ハモン』というマドリードの生ハム博物館に併設されたレストランで提供されるメニューから着想を得たメニュー。
他にもスペイン研修から生まれたメニューは数多く、調味料にもこだわりが詰まっている。例えば、黒トリュフ香るフライドポテト550円。現地でよく見かけた、黒オリーブをカリカリに焼いて乾燥させた粉がかかっているので、気になった方はぜひオーダーを。
コースのメインが、大ぶりなエビにムール貝、アサリ、イカ、タコ、パプリカがたっぷりのパエリア。地産地消にこだわり、魚介のほとんどが船橋市場から、お米は千葉県のブランド米を使用している。日本人の好みにあうようにパエリア鍋で50分間炊き上げており、魚介の旨みがしっかり染みている。
デザートのバスクチーズケーキは、スペイン北部のサンセバスチャンにあるバスクチーズケーキ発祥の店の味に改良を加えた一品。トッピングの岩塩が濃厚な甘味をぐっと引き締める大人の味わいだ。
「パエリアってなに?」という人こそぜひ一度訪れてほしい
どの料理もボリューム・味ともに満点。これで2500円はお得すぎる。今回のランチコースには登場していないが、ミルキーでプリップリな牡蠣(生・蒸し)も通年食べることができるうえ、お値打ち価格でファンが多い一品だそう。コスパの秘訣を聞いてみると、「気持ちでなんとか頑張ってます」と笑う今店長。
20代前半のとき、偶然訪れた『タベルナ・カディス』の料理があまりに美味しく、バイト募集の張り紙を見て応募したという。20代半ばで店長となって以来、スペイン料理の良さを多くの人に知ってもらいたいという思いから、家族連れやおひとりさまも気軽に入れるお店づくりを徹底してきた。
「僕がゆるい感じの人なので、肩肘張らずにお越しいただけると嬉しい」という言葉通り、優しい店長が迎えてくれるので、「パエリアってなに?」という人こそぜひ訪れてほしい。
取材・文・撮影=佐野友美