約7,000冊の本に囲まれるブックカフェ

下北沢駅から5分ほど歩くと、喧騒から離れた落ち着きのある路地に出る。開放感あふれるガラス張りの扉の建物が『RBL CAFE』だ。

床から天井まで敷き詰められた本。圧巻の光景だ。
床から天井まで敷き詰められた本。圧巻の光景だ。

店内は壁一面が本棚になっており、すき間なくびっしりと本が敷き詰められている。その数、なんと約7000冊!

本棚にあるほとんどの本が、クイズ作家であるオーナーがクイズの問題を作成するために使用されたレファレンス・ブック(参考図書)だ。

うれしいことに、店にいる間はこれらの本を自由に読むことができる。入店したあとは、コーヒーなどのドリンクを1杯オーダーすれば120分間は滞在可能で、その後は30分ごとに200円の席料が追加される。「1日中じっくりと本を読みたい」「予定の合間にちょっと暇をつぶしたい」など、いろんなシーンで気軽に利用できるのが魅力だ。

「この店にある本は、まだ資料の一部なんです」と話すオーナーの仲野隆也さん。
「この店にある本は、まだ資料の一部なんです」と話すオーナーの仲野隆也さん。

オーナーの仲野隆也さんは、クイズ作家を本業としながら店を営んでいる。

「もともとクイズが好きで、大学生のときはクイズ研究会に入っていました。そこから徐々にクイズを解くことから、作ることに興味がシフトしていったんです。大学を卒業後、10年間はラジオのディレクターを務めていましたが、フリーランスのクイズ作家として独立したのち、クイズの制作会社を起業しました」

クイズ作家や経営者として経験を積むなか、仲野さんが『RBL CAFE』をオープンしたのは2016年8月のこと。一見、クイズとは無縁のようにも思えるカフェ。なぜオープンすることになったのだろう?

「コーヒーが好きだったので、喫茶店を開くことにも憧れがありました。そこで、自分が仕事場として使える事務所と、カフェとしての機能を併せ持った場所を作ってみようと思ったんです。また、レンタルスペースとして店を貸し出すことで、いろんな人との接触が生まれるのも魅力的でした

普段は自身の仕事をしながら店番をしているという仲野さん。そのため店内には電源やWi-Fiが完備されており、お客もPCなどを持ち込んで仕事ができる環境が整えられている。

読書をしたい人にはもちろんだが、外で仕事ができる場所を探している人にも重宝する空間だ。

辞典や図鑑、雑学本……気になる一冊を発掘

スポットライトで一席ずつ照らされているのも、うれしい心遣い。
スポットライトで一席ずつ照らされているのも、うれしい心遣い。

仲野さんに、空間のこだわりを聞いてみた。

「読書に集中してもらえるよう、一人席が中心になっています。照明はおさえめにして、BGMのボリュームにも気を遣っていますね。おしゃべりは禁止というわけではないですが、できるだけ小さな声でお願いしています。とはいえ、いつもお客様同士が周りの方に配慮してくださるので、BGMやPCのタイピング音以外はほとんど無音の状態です」

店の角には2人用のソファ席も。読書好き同士でまったりと過ごせる。
店の角には2人用のソファ席も。読書好き同士でまったりと過ごせる。

壁一面に本が敷き詰められているものの、席同士の感覚がゆったりと取られているため決して窮屈には感じない。

リラックスしながら読書に没頭できるので、気づけば1時間、2時間……とあっという間に時間が経ってしまいそう。

歴史から宇宙まで、本のジャンルはさまざま。知的好奇心がくすぐられる。
歴史から宇宙まで、本のジャンルはさまざま。知的好奇心がくすぐられる。

そして本棚を見てみると、辞典や図鑑、雑学本など、実に幅広いジャンルの本が並んでいる。つい手に取りたくなる、専門性の高いタイトルばかりだ。普段は読む機会がない本との出合いが、自分の世界を広げれくれるはず。

さらにうれしいのが、本棚にある本だけではなく、自身で持ち込んだ本も読むことができるところ。『RBL CAFE』は、まさに読書をするために作られた空間なのだ。

読書のお供にコーヒーやラテ、ビールも

ブレンド、グアテマラなど数種の豆から選べるコーヒーは一杯700円。
ブレンド、グアテマラなど数種の豆から選べるコーヒーは一杯700円。

読書のお供となるのが、コーヒーをはじめとするドリンクメニュー。注文が入ってから一杯ずつ丁寧にハンドドリップで淹れるコーヒーは、豊かな香りと深い味わいで、読書タイムに安らぎをくれる。店のロゴが入った専用のマグカップもかわいらしい。

グラデーションが美しい抹茶カフェラテは一杯800円。
グラデーションが美しい抹茶カフェラテは一杯800円。

暑い季節におすすめなのが、アイスの抹茶カフェラテ。一杯ずつ茶せんで抹茶を点てる本格派のラテは、抹茶の心地よい苦みとミルクのまろやかさのバランスが絶妙。海外のお客からも好評だという。カフェメニューやソフトドリンクのほか、バドワイザーやハイネケンなど海外ビールもラインナップ。ぜひお気に入りの一杯を見つけて、読書の時間を彩ってみてほしい。

『RBL CAFE』では、店の空間を利用してクイズイベントやトークイベント、朗読会など多彩なイベントも不定期で開催している。

今後の予定を聞いてみると「2023年の夏から毎週、夜の時間帯に映画会とクイズイベントを開催しようと考えています。映画会はコーヒーやお酒を飲みながら、みんなで昔の映画作品をゆったりと観る会です。クイズイベントは、イギリスにあるクイズパブをイメージしています。店主がクイズを読み上げてお客さんが回答し、一番点数が高かった人には特典があるというもの。日本ではクイズといえば早押しが盛んですが、もう少しゆったりとしたイメージです。ふらっとお店に来てクイズを楽しめる、そんな空間を作りたいなと思っています」と意気込む仲野さん。

今後もさまざまな文化を発信する『RBL CAFE』から目が離せない。最新情報が気になる人は、ホームページやSNSをチェックしてみよう。

住所:東京都世田谷区代沢5-32-12/営業時間:土・日・祝13:00~19:00(月~金は不定期営業)
※臨時休業あり。詳しくはHPの「お知らせ」「スケジュール」から要確認。/定休日:不定/アクセス:小田急電鉄小田急線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩5分

取材・文・撮影=稲垣恵美