スタイリッシュな店構えのお粥専門店
錦糸町駅から徒歩5分、北斎通り沿いのI.T.O bldgというモダンなビルに、本格的な香港のお粥が味わえる専門店が入っている。自動ドアが開くと目に飛び込んでくるのが、真っ赤な壁面に書かれた『CAYU des ROIS』という店名。
天井が高く、広々とした店内はスタイリッシュな雰囲気。1階はテーブル席、2階はテーブル席とカウンター席があり、ゆったりとくつろぐことができる。
メニューを見ると、モッツァレラとフレッシュパルメザンの2種のチーズを使ったCHEESSE(チーズ)や、豚ひき肉ともやしに生ニラとネギを加えた辛味と酸味が特徴のRED(レッド)など、従来のお粥のイメージとは異なるバラエティ豊かなお粥が11種類並んでいる。
メニュー表に記載されたカロリーを見て驚いた。どれも非常に低カロリーなのだ。最高でも530kcalしかなく、NAMEKO(ナメコ)に至ってはわずか265kcal。「食べたら太るかな……」なんて気にせず、安心して食事を楽しむことができる。
とろ〜り濃厚、身体が喜ぶ絶品お粥
何を頼むか迷ったが、鮮やかなグリーンのPOPEYE(ポパイ)880円にランチセット330円を追加して注文することに。2015年のオープン以来、不動の人気ナンバーワンである。
一口食べて衝撃だったのは、とろっとろの食感!飲めそうなくらい滑らかで、今まで食べたことがない。一般的なお粥でもなく、雑炊やリゾットとも似ていない。
ほうれん草の素材を活かしたやさしい味だが、ベースのお粥からは中華系の味がしっかりと感じられ、独特なコクがある。塩気のある厚切りベーコンが、クリーミーで濃厚なお粥の旨みを引き立たせ、相性抜群である。
ランチセットには、シューマイ・イカ蒸し餃子・唐揚げ・ザーサイ・ミニ杏仁豆腐がついている。特に杏仁豆腐は口溶けがやわらかく濃厚。
ちなみに、POPEYEのカロリーは295kcal。しかし、深めの器にたっぶり盛られているため、ランチセットをつけるとなかなかボリューミーに。
「身体にやさしいご飯というコンセプトにしつつ、お粥=病人食というイメージを払拭したかったんです」と話す店主の郷さん。頂いた名刺を見ると、東京鋼材株式会社という文字が。鋼材?
「そうなんです。鉄鋼屋さんが2015年から新規事業として始めたのがお粥専門店CAYU des ROISなんです」。
オープンの条件は「お粥の本場香港の味を超えること」
郷さんによると、数年前に東京鋼材株式会社の社長(現会長)が体調を崩してしまったという。食欲が低下したときに思い出したのは、以前香港で食べた美味しいお粥。それを聞いた社員たちが協力して香港風お粥をつくったところ、非常に喜んでもらえたそう。
「商品化できるレベルまで改良して飲食店を始めよう!」と盛り上がる社員に社長が出した条件が一つ。それは、本場の味を超えること。
高いハードルを超えるため、選米から炊き時間まで並々でない研究を行った。香港に視察に行き、2年に渡って試行錯誤を繰り返した結果、ついに世間一般のお粥とは一線を画す新食感のお粥が完成する。
「お召し上がりいただければ、違いがすぐにわかります」という郷さんの言葉通り、一度味わうとまた食べたくなること間違いなしの逸品である。ここでしか味わえない至福の時間を王様気分でぜひ楽しんでほしい。
取材・文・撮影=佐野友美